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怠け者の性格に対処「アイデンティティ確立」

怠け者(モラトリアム型)の性格に対処「アイデンティティ確立」③

コラム①では、怠け者の特徴や原因について概観していきました。怠け者の改善方法は、「①失敗Ok!60%基準法」「②アイデンティティの確立」「③生活リズムを整える」の3つでしたね。今回は、「②アイデンティティを確立」について解説していきます。

コラム1で解説した、モラトリアム型の怠け者の方にはぜひ参考にしてみてください。

怠け者とアイデンティティの確立

皆さんはアイデンティティという言葉をご存知でしょうか?アイデンティティとは、自分は自らの感覚、衝動、パーソナリティをもつ唯一の存在であると認識する(心理学辞典,2013)とされています。簡単にまとめると「自分らしさ、自分なりの価値観」を意味します。

アイデンティティの確立は、モラトリアム型の怠け者を克服するうえで不可欠な要素と言えます。人は大人として成長する過程でアイデンティティを模索すると言われています。

中学生以降の思春期〜青年期の20歳前後に、「自分と人とは違う人間だ」と気づきそれを受け入れ、「自分はどのように人生を生きていくのだろう」と自分らしさを見つけていきます。そして、「これこそが本当の自分の生きる道だ」という自分を発見し自我を定めることを「自我同一性(アイデンティティ)の確立」呼びます。

怠け者の特徴

怠け者とモラトリアム

怠け者の時期など無気力な状態を「アイデンティティが拡散している状態」と呼びます。無気力とアイデンティティ拡散傾向の関連について研究がおこなわれています。

下山(1992)は大学2年生369名を対象に、アイデンティティ拡散傾向とモラトリアムのタイプとの関連をアンケート調査しました。下記図は結果の一部です。モラトリアム「回避型」とは、人生での重要な決定を徹底的に避けるタイプのことで、できる限り「何もしない。怠け者で過ごしたい」と考える、無気力な人を指します。

アイデンティティとモラトリアム回避型との関係

調査では、モラトリアム「回避型」の得点と、アイデンティティ拡散傾向は正の相関にあることが分かりました。つまり無気力傾向が強い怠け者ほど、アイデンティティ拡散傾向が高いということです。このように研究での結果が示すように、アイデンティティ拡散と怠け者には関連があると言えそうです。

あなたのアイデンティティは?

皆さんは次の問いに対して、どの程度答えることができますか?具体的に考えてみましょう。

「私は何者なのだろう?」
「私はどんな人生を歩みたいか?」
「私はどんな仕事がしたいのか?」
「私はどうして生きているのか?」

これらの問いに全く答えられない人は、アイデンティティが拡散している可能性があります。もしかしたら無気力になりやすい怠け者かもしれません。一方で、すらすらと答えられる人は、すでにアイデンティティを確立していて、自分なりの生きる価値観がしっかりしていて生き生きと行動している方が多いでしょう。怠け者傾向をチェック

2つの方法で怠け者を改善

それではアイデンティティを確立するためには、どうすればいいのでしょうか。今回は「質問法」「好奇心ツリー」の2つの方法を紹介します。

怠け者の改善法1「質問法」

アイデンティティを確立していくには、まずは自分がどんな人間になりたいかを意識することがスタートとなります。アイデンティティに関わる質問を通して、自分がどんな生き方をしたいかを整理していきましょう。

以下の6つの質問について、直観的に当てはまる言葉を回答してみましょう。明確な答えでなくてもOKです。最初は軽い質問からはじめていきます。徐々に深くなっていきますよ!

質問1
「私は〇〇をたくさん食べたい」
質問2
「私は〇〇に行きたい」
質問3
「私は20年後〇〇に住んでいたい」
質問4
「私は〇〇な異性が好きだ」
質問5
「私は〇〇の仕事にかけている」
質問6
「私は〇〇するときに生きがいを感じる」

うまく答えられない項目も多くても落ち込む必要はありません。アイデンティティを確立していく作業は、つらく難しいため、とても時間がかかるものです。まずは日々の中で、自分はどんな生き方をしていきたいかを意識することが大切です。日記やブログを書くこともおすすめします!怠け者を改善する質問表

怠け者の改善法2「好奇心ツリー」

「自分のやりたいを見つける!」といっても、エネルギーが必要です。また「そんなのないよ・・・」と感じる方も多いと思います。好奇心を広げていくには、いろいろな事に興味をもつ拡散的好奇心を刺激することが大切です。「好奇心ツリー」は私たちがワークでも用いる手法で、自分自身でも気づかなかった興味関心に気付くきかっけにもなります。以下の6つの手順で自分の好奇心ツリーを完成させ、怠け者改善を図っていきましょう。

①準備段階
興味関心があることを箇条書きで書き出します。どんなに小さなことでもOKです。

たとえば
・会話力をつけたい
・旅行にたくさん行きたい
・ライブに行きたい
・異性にもてたい
・飲食店を開業したい

②ランキング化
①の項目にランキングを付けます。

1位 会話力
2位 旅行
3位 異性にもてたい
4位 ライブ
5位 飲食店開業
→1位を採用します

③テーマに関連するワードで木を創る
②で採用した事をテーマに関連ワードで木をつくります。

テーマ「会話力をつけたい」
ⅰ中央の幹にはテーマを書く
ⅱ大きい枝を書く
 話し上手、声、笑顔、聴き上手

好奇心ツリーの例④枝に葉っぱ、果物、お花など自由に書く
たとえば、
聴き上手の枝には、
・共感
・質問
・オウム返し
・あいづち
など・・・・、声の枝には、滑舌、適度な静穏、前歯を見せる などを書き込みます。

好奇心ツリーの書き込み例バラバラの情報が整理されることで分かりやすくなります。

⑤葉っぱが、無い部分をチェックします
木に葉っぱなどが無い部分があると思います。この部分は、知識が不足してる部分です。

完成せずなんだかムズムズすると思いますが、このムズムズが怠け者の改善につながるのです。

⑥調べて葉っぱを増やす
しっかり調べて葉っぱを増やしましょう。インターネットで調べても構いませんが、誰かに聞いてみたり専門書を探してみるのもおすすめです。さまざまな情報源から調べてみると面白いですよ。興味関心の見つけ方

好奇心ツリーはいかがでしたか。好奇心を持つには、拡散的好奇心を刺激することが大切です。自分が今やっていることの中から始めて行くと取り組みやすいと思います。 

無気力症候群を改善しよう

怠け者の性格を改善する方法として、アイデンティティの確立につながる「質問法」「好奇心ツリー」の2つをご紹介しました。アイデンティティは、さまざまな経験をし、悩み、模索する中で、少しずつ構築されていきます。焦らず自分のペースで確立して怠け者になってしまう無気力感を改善していきましょう!

★ アイデンティティ確立で怠け者を改善!2つの方法で始めよう

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目次

①3種類の怠け者-概観
②失敗OK!60%基準法
③アイデンティティの確立
④生活リズムの整え方
⑤簡易診断・チェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・愛着障害 子ども時代を引きずる人々 岡田 尊司 光文社新書
・認知行動療法を学ぶ(下山晴彦編 金剛出版,2011)
・認知行動療法(坂野雄二 日本評論社,1995)
・自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100
・斎藤(2003)自己志向的完全主義の特徴 対人社会心理学研究, 9, 2009