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社会不安障害診断チェックで原因や治療法を知ろう

社会不安障害の原因とは・診断チェック!①

はじめまして!精神保健福祉士の川島です。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

今回は「社会不安障害」をについてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • 社会不安障害とは
  • 認知療法で克服
  • 不安階層表練習
  • あるがまま森田療法
  • SSTで会話力UP
  • 薬物療法の実際

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^) それでは早速、社会不安障害の基礎から解説させて頂きます。

なお動画バージョンもあります。対人恐怖症、社会不安障害、社交不安障害について共通の解説です。

*監修の川島(精神保健福祉士)が動画も解説しています。
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社会不安障害(SAD)とは?

社会不安障害(SAD)とは、人が集まる時や誰かと会う場面において不安や恐怖、緊張を抱き、その場面を回避することで社会生活が送りづらくなってしまう疾患のことです。例えば、実際に人とコミュニケーションをとる際に、

・失敗したらどうしようと考えてしまう
・人前でのスピーチが苦手で避ける
・嫌われているのでは?と心配する

などなど、社会的な場面で過度に不安を感じてしまう傾向にあります。その不安や緊張を無理やり抑えようと、ますます不安が増幅してしまいます。これらが、社会不安障害の特徴であると言えます。

SADの精神症状

対人恐怖症研究から

人間関係で恐怖を覚えるような症状は古くは「対人恐怖症」という名称を使っていました。70年ほど前は、人が怖いという症状は日本人特有と考えられ、森田正馬という心理療法家を中心に治療法が開発されてきました。

その後、国際的にもこのような症状があることが分かり、国際基準に合わせるため「社会不安障害(SAD)」という用語が使われるようになりました。近年ではさらにわかりやすい用語として、「社交不安障害」ということが一般的になっています。

社会不安障害の症状とは

それでは、社会不安障害の症状を見ていきましょう。主な症状としては、以下の2つが挙げられます。

・交感神経が過剰に働く
社会不安障害は交感神経が「優位な状況(興奮している)」ときに発生しやすいです。交感神経が優位なときは、心拍数が早くなり、血液を脳や体に送られます。そのため、交感神経の働きが健康的な範囲であれば、頭は冴え、身体能力を高まるのです。

しかし、過剰になると

・顔がこわばる、赤くなる
・汗をかく

・手足が震える
・おしっこが近い

このような身体症状が現れます。自分の身体症状が気になって「手が震えたらどうしよう、変に思われたらどうしよう」という予期不安につながり、社会場面を避ける要因になります。

・不安がコントロールできない
城月健太郎(2013)は、社会不安障害(SAD)患者14名と大学生251名に対し、不安のコントロール感に関する調査を行いました。下図をご覧ください。

社会不安

大学生の方が点数が高く、SAD患者のグラフが低くなっていますね。これは健康的な大学生は不安を上手くコントロールできる感覚があり、SAD患者は不安をコントロール感が低いことを示しています。このように不安をコントロールできる感覚に欠けた状態が続くと、社会不安障害が悪化する危険性があるため注意が必要です。

症状についてもっと理解を深めたい方は下記をご覧ください。
・発症年齢とは?
・感情をコントロールする
社会不安障害の症状をチェック!②

心理的な特徴

こうした不安がコントロールできない原因としては、社会不安障害特有の心理的な特徴が関わっていると考えられます。そこで、不安に影響していると考えられる特徴をいくつかご紹介します。

①社会不安障害の4つの問題点

社会不安障害はメンタルヘルスにどのような影響があるのでしょうか?堀井(2014)は大学生4461人を対象に対人恐怖心性について調べました。その結果、対人恐怖心性は、多くの恐怖の感情と関連があることが分かわっています。

問題点をより深く詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
・孤立・親密恐怖とは
・醜形恐怖のリスク
・人に攻撃されるのでは
社会不安障害が起こす4つの問題点③

②公的自己意識が強い

・公的自己意識とは
周囲からの評価を意識すること指します。「公的自己意識」が高くなると社会不安障害を招きやすくなると考えられています。

・私的自己意識とは
周りからの評価よりも、「自分がどうしたいか」を大切にする自己意識です。他人の意見に大きく左右されないため、公的自己意識よりもメンタルヘルスが安定していると考えられています。

心理学の研究では、対人恐怖と「公的自己意識」の関係を調査した論文があります。堀井(2001)は高校生(256名)と大学生(271名)の男女に対して、対人恐怖傾向と公的自己意識に関する調査を行っています。

この論文では、「対人恐怖心性」と「公的自己意識」の関係について、男子と女子の群に分けて相関分析を行っています。その結果が下図となります。

男子、女子ともに、対人恐怖心性(社会不安障害)が高いと公的自己意識も高いという結果が出ています。図の中にある数字は、相関係数と言われて、関連の強さを表します。.500以上の項目は心理学的に影響は比較的強いと考えます。対人恐怖傾向と「他人の評価が気になる」という心性は関連があることがわかります。

公的自己意識をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・過度に良く見せようとしない
・「見られている」から「見ている」に
社会不安障害の原因「公的自己意識」とは④

③ソーシャルスキル不足

・ソーシャルスキルとは
社会不安障害を抜け出すには他者と協調しつつ、自立している状態を目指す必要があります。こうした社会生活を健康的に過ごすための能力を専門用語で、「ソーシャル・スキル(Social Skill)」と言います。

相川(1996)によれば、ソーシャル・スキル(Social Skill)とは、対人場面において適切かつ効果的に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動と、そのような対人行動の発現を可能にする認知過程との両方を包含する概念であると定義しています。

少し難しい定義ですが、人間関係での好ましい振る舞いと、それができるようになる好ましい考え方の2つを含めてソーシャルスキルと定義しているのです。

・孤独感と関係
ソーシャルスキル不足による孤独感が強くなると、さらに人を避けるようになり社会不安障害が強まってしまいます。

いったん、回避行動が現れると雪だるま式に不安が膨れ上がり、悪循環に陥ってしまいます。少しでも、対人場面を避けたい!という考えが浮かぶようなら、早めの対処が必要です。

ソーシャルスキルをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ソーシャルスキルとは
・孤独感との関連研究
社会不安障害の原因「ソーシャルスキル不足」⑤

社会不安障害診断

現在の自分の状況を把握したい方はこちらの診断をご利用ください。症状が重たいか軽いかによって、対応が異なりますので、一度診断してみることをお勧めします。
社会不安障害診断とチェック⑥

コミュニケーション講座について♪

コラム1は折り返し地点です!ここで少しだけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。1人で抱え込まずに、専門家やたくさんの仲間と相談しながら進めていくと、心強いと思います。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらのコミュニケーション講座のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

社会不安障害の対処法

ここで社会不安障害を克服する方法について見ていきましょう。すべて読むのは大変なので、当てはまる部分だけクリックして参考にしてくださいね。

社会への不安の解決方法を見つける

①認知療法を試してみよう

・マイナスな予測や解釈
社会不安障害の人は、コミュニケーション場面でマイナスな予測や解釈をする傾向にあります。不安が増大する思考に囚われてしまい現実的にものを見れなくなってしまうのです。

・認知療法とは
認知療法とは、1960年代にアメリカで発展した、様々な精神疾患などの治療に用いられる精神療法です。認知とは、ものの受け取り方や捉え方のことを指します。同じ出来事でも、ものの捉え方によって、気分が落ち込んだり、逆に安心したりもするのです。

認知療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・認知療法4ステップ
・感情を数値化する
社会不安障害は認知行動療法で症状を緩和⑦


ここで30秒だけお知らせをさせてください♪ 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、暖かい人間関係のある社会を創ることを目的として、コミュニケーション講座を開催しています。

心理療法やソーシャルスキルの練習を勉強したい方はぜひお待ちしています。もしコラムを読んでみて、もっと心理学を学習したいと感じたら、こちらの心理学教室のページを参照ください。それでは先に進みましょう!

②不安階層表練習

・不安階層表とは
不安階層表は簡単に言うと、不安の強さを状況ごとに低いものから高いものへと順に表現したものです。社会不安障害が弱い場面から1つ1つ克服していく方法ですね。この表によって、小さな自信を積み重ねて最終的には克服を目指していきます。

・社会不安障害を少しずつ克服
具体的には、以下のような表を作り、不安点数の低いものトライして克服できたら次の段へと上がっていきます。それでも行動できない場合は、不安点数を下げて挑戦します。

不安階層表

ここで大事なことは
「社会不安障害が現れないことが目的ではない」
というこです。これは絶対に踏まえておきましょう。

社会不安障害を克服するのではなく
「社会不安障害によって様々な対人場面を回避する癖
を克服するのですね。この点を誤解しないようにしましょう。緊張している自分を責めずに、やるべきことをやるという習慣をつけていきましょう。

赤面症 治すには不安階層表をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・不安階層表の5ステップ
・練習問題でマスター
社会不安障害の症状を和らげる「不安階層表練習」⑧

③あるがまま森田療法

・感情を抑え込もうとする
緊張を感じた時に、多くの人は不安や恐怖を抑え込もうとしてしまいます。一見、冷静になろうとすることは適切な方法に見えますが、逆効果になってしまうことが多いです。

・「あるがままに」捉えよう
そこで、恐怖を無理に抑え込もうとせず、現れるがままに捉えるという姿勢が大切です。「森田療法」という技法では不安や緊張を感じても行動すればOK!という目的本位の考え方を重視しています。

森田療法は別名あるがまま療法と呼ばれるほど、感情をあるがままに見ることに重点を置いています。

この言葉の意味を考えると気分のままに振る舞う」「飾ざらない本当の自分」などが挙げられます。では、森田療法の”あるがまま”とはどのような違いがあるのでしょうか?

あるがまま森田療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・あるがままと感情
・不安は抑えなくていい
・目的本位を身に付けよう
社会不安障害の対処法「あるがままに」捉える⑨

④ソーシャルスキルトレーニング

・会話を避けてしまう
社会不安障害で会話に苦手意識があり、「対人場面を避けたい」「誘ってほしくない」という状態にいる方は要注意です。該当する方は会話力を高めることが重要です。

・ソーシャル・スキル・トレーニングとは
他者との適切なコミュニケーションの中で会話力を伸ばしていく「ソーシャル・スキル・トレーニング(Social Skill Training : SST)」をご紹介します。

具体的には、少しだげでもいいので自分から自己開示をして、相手と打ち解けるとっかかりを作っていきましょう。相手が安心した気持ちになれば、自分も相手への恐怖心が和らいでいきます。まずは準備して実践してみましょう!

初対面でよく出てくる話題は
・住所
・出身
・趣味
・家族構成
・仕事
です。この5つについては必ず1分程度は話せるように準備しておきましょう。

ソーシャルスキルをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・会話が続かないを克服
・練習問題でマスター
社会不安障害を克服する「ソーシャルスキルトレーニング」⑩

薬物療法での改善

・SSRI・SNRIとは
まず、もっとも一般的に社会不安障害で処方されるのが、以下の2つになります。

1.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
2.セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

「1」は精神を安定させるセロトニンの分泌を阻害する働きがあります。そして、「2」はセロトニンに加えて、意欲を高めるノルアドレナリンの分泌を阻害します。

「阻害する」と聞くと、逆に症状が悪化しそうなものですが、意図的に働きを抑えることで、脳がバランスを取るために「もっと増やせ!」と司令を送りつづけます。その結果、セロトニンやノルアドレナリンの分泌量を増やすことができ、社会不安障害の症状を改善することができるのです。

薬物療法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ベンゾジアゼピン系
・インデラルとは
・社会不安に効く漢方とは
社会不安障害の症状を改善する「薬物療法」の実際⑪

社会不安障害を克服しよう!

ここまで社会不安障害の症状や原因、解決策をお伝えしました。日々の社会生活にマイナスな気持ちを持つことで、孤独を感じたり、対人関係がうまくいかず、心身のバランスを崩すこともあります。

これからご紹介する社会不安障害の考え方を物事のとらえ方を変化させる方法を知り、社会不安障害の症状への理解が深まり、症状軽減のヒントを得ることができるでしょう。

次回は、社会不安障害の考え方を変える方法の1つ目「認知療法を試してみよう」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★社会不安障害の原因や対処法をチェック!理解を深めて対処しよう

目次

①社会不安障害とは‐概観
②社会不安障害の症状を!
③対人恐怖心性の問題点
④原因「公的自己意識」とは
⑤「ソーシャルスキル不足」
⑥診断とチェック
⑦認知行動療法で症状を緩和
⑧「不安階層表練習」
⑨対処法「あるがままに」
⑩「ソーシャルスキルトレーニング」
⑪症状を改善する「薬物療法」

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・音羽健司・森田正哉(2015). 社会不安症の疫学――その概念の変遷と歴史―― 不安症研究, 7, 18-28.
・城月 健太郎・児玉 芳夫・野村 忍・足立 總一郎 2013 不安のコントロール感に関する基礎的検討―社交不安障害の観点から― 心身医学, 53:408-415
堀井 俊章 横浜国立大学教育人間科学部紀要.  横浜国立大学教育人間科学部 編 16, 135-143, 2014-02

・国立研究開発法人日本医療研究開発機構 障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)
精神疾患の有病率等に関する 大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド 主任研究者 川上憲人 平成28(2016)年5月

・堀井俊章(2001) 青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要12,4

KAWAKAMI, N., TAKESHIMA, T., Ono, Y., UDA, H., HATA, Y., NAKANE, Y., NAKANE, H., IWATA, N., FURUKAWA, T. A., & KIKKAWA, T. (2005). Twelve-month prevalence, severity, and treatment of common mental disorders in communities in Japan:

preliminary finding from the World Mental Health Japan Survey 2002–2003. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 59, 441-452.

Mayo-Wilson, E., Dias, S., Mavranezouli, I., Kew, K., Clark, D. M., Ades, A. E., & Pilling, S. (2014). Psychological and pharmacological interventions for social anxiety disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet Psychiatry, 1, 368-376.