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社会不安障害の原因「公的自己意識」

社会不安障害の原因「公的自己意識」とは④

コラム③では、社会不安障害の問題点について解説していきました。今回は、社会不安障害の原因「公的自己意識」について解説していきます。

公的自己意識と社会不安

社会不安障害を考える上で「自意識」とは何かを理解することはとても重要です。心理学の世界では自意識を2つに分けます。

1.公的自己意識

1つ目は公的自己意識です。これは周囲からの評価を意識すること指します。

「馬鹿にされてはいけない」
「他人から変に思われていないか?」
「恥をかいてはいけない!」 特にこうした周囲の目を気にしてしまう傾向がある方は注意が必要です。

「公的自己意識」が高くなると社会不安障害を招きやすくなると考えられています。常に変化する周囲の意見に一喜一憂していると、素直な自分を出せなくなり心理的にマイナスな影響を与えてしまいます。

2.私的自己意識
2つ目は私的自己意識です。周りからの評価よりも、「自分がどうしたいか」を大切にする自己意識です。他人の意見に大きく左右されないため、公的自己意識よりもメンタルヘルスが安定していると考えられています。もちろん過剰になりすぎると、自己中心的な印象を与えてしまいますが、社会不安障害な傾向がある人は、私的自己意識に欠けている場合はが多いので意識して増やしていきましょう。

・社会不安と公的自己意識
心理学の研究では、対人恐怖と「公的自己意識」の関係を調査した論文があります。堀井(2001)は高校生(256名)と大学生(271名)の男女に対して、対人恐怖傾向と公的自己意識に関する調査を行っています。

この論文では、「対人恐怖心性」と「公的自己意識」の関係について、男子と女子の群に分けて相関分析を行っています。その結果が下図となります。

男子、女子ともに、対人恐怖心性(社会不安障害)が高いと公的自己意識も高いという結果が出ています。図の中にある数字は、相関係数と言われて、関連の強さを表します。.500以上の項目は心理学的に影響は比較的強いと考えます。対人恐怖傾向と「他人の評価が気になる」という心性は関連があることがわかります。

こうした公的自己意識を低くして、社会不安障害傾向を改善していくことにはどうしたらよいでしょうか? 

自己観察で対人恐怖症を軽減

気にしない対処法

公的自己意識を和らげるコツを2つ紹介していきたいと思います。

1:過度に良く見せようとしない
公的自己意識が高い人は、「自分を良く見せよう」「相手からよく見られたい」と考えがちです。そのために、他人からの評価がいつも気になり、社会不安障害な状態に陥ってしまいます。

他人の評価に左右されないためには、必要以上に自分を良く見せようとしないことが大事です。時には、失敗する姿を見せてもいいですし、ダメな自分をさらけ出す勇気も必要です。

“良く見られたい”と常に思っている人は、思い切ってありのままの自分をさらけ出す場面を作ってみましょう!

NG例
・笑顔より無表情の方がクール(綺麗)
なるべく無表情

・年収は平均的だが、成功者に見られたいので
ブランド物を買って着飾る

OK例
・笑顔より無表情の方がクール(綺麗)
だけど本当に面白い時は声を出して笑う

・成功者に見られたいからという理由でブランド品は買わない

 2:“見る意識”へ切り替え
周囲から評価が気になってしまうときは、“他人から見られている”意識から、“自分が見ている”という意識に切り替えることが大切です。見られているという受け身的な立場から、自分が相手を見るという能動的な意識を向けることです。

具体的には、

・相手の話をよく聞く
・相手の行動をよく観察する

といったことです。

相手の話にしっかり耳を傾けたり、行動を観察することで、“自分が見られている”意識から、“自分が見ている”という意識になります。そうすることで、相手に意識が集中し、公的自己意識が薄れていきます。

つまり、社会不安障害が薄くなり、人と接することが楽になっていきます。“見られる視点”から“見る視点”へ切り替えて、公的自己意識を和らげていきましょう。

NG例
・雑談場面で沖縄旅行の
話題を話したいが、うまく話さないと
恥ずかしいから話さない

・周囲が勧めるから、本当は目指したい夢があったが
大手の会社に入る

OK例
・雑談場面でうまく話せなくても
OKたまには自由に話す!

・本当にやりたいことが
あるので自分で起業する

恐怖心をなくして対人恐怖症を軽減しよう

社会不安障害に対処

いかがでしょうか。公的自己意識の高さと、社会不安障害の傾向は統計的にも相関関係が確認されています。つまり、自分が評価されていることを強く意識する人は、社会不安障害ともかかわりが深いことを示しています。

公的自己意識を改善して、社会不安障害に対処していくには、自分を良く見せようと背伸びしないことです。ありのままの自分で他人と関わっていくという姿勢が大事になります。

次回は社会不安障害の原因「ソーシャルスキルの不足」についてご紹介します。

★ 背伸びしない自分で社会不安障害を克服!

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目次

①社会不安障害とは‐概観
②社会不安障害の症状を!
③対人恐怖心性の問題点
④原因「公的自己意識」とは
⑤「ソーシャルスキル不足」
⑥診断とチェック
⑦認知行動療法で症状を緩和
⑧「不安階層表練習」
⑨対処法「あるがままに」
⑩「ソーシャルスキルトレーニング」
⑪症状を改善する「薬物療法」

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
堀井俊章(2001) 青年期における自己意識と対人恐怖心性との関係 山形大学紀要12,4