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優越感の意味とは心理学的なメカニズム

優越感とは?意味や心理学的なメカニズム-公認心理師が解説

はじめまして!公認心理師・精神保健福祉士の川島です。
今回のテーマは
「優越感」
です。

 

  • 改善するお悩み
  • 他人より優っていたい
  • 自分に自信がない
  • 劣等感が強い
  • 全体の目次
  • 優越感の意味とは?
  • 研究紹介
  • うまく付き合う3つの方法
  • 発展 劣等感コラム
  • 助け合い掲示板

コラムを読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。せひ最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもお待ちしています。

優越感の意味とは? 

意味とは?

優越感の定義を見ていきましょう。心理学辞典(1999)によると、以下のように定義されています。

容姿、体力、知的能力、性格、血筋、財産、社会的地位などの点で、自分が他者よりも優れているという感情である。この感情の背後には、権力欲、支配欲、名誉欲などの欲求の隠れていることが多い。

優越感とは、ステイタスが他人よりも自分の方が優ってると感じる感覚であり、その背後には相手に勝ちたい!主導権を握りたい!認められたい!という心理が隠れているとされています。

優越感とは?意味,定義

提唱者

優越感という用語を初めに提唱したのは、アルフレッドアドラーです。「嫌われる勇気」で日本でも有名になりましたね。

アドラーは「優越コンプレックス(superiority complex)」という言葉を研究の中で使用していました。優越コンプレックスは、劣等コンプレックスを克服する必要性から生じたと主張しました。

優越感,アドラー

私たちの心には自分自身を守る心の仕組みがあります。これは心の防衛機制と言われます。優越感は劣等感で傷つく自分の心を守るために、生じるとアドラーは考えたのです。

精神医学,心理学での取り扱い

・精神医学と優越感

優越感は精神医学の世界では使われない言葉です。アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5にでは使われません。

精神医学の世界では、優越感に比較的近い概念として

「誇大妄想(Grandiose delusions)」

という言葉を使います。誇大妄想は、自分の能力、立場、権力などの優位性を過剰に感じる症状を意味します。誇大妄想は双極性障害で60%程度、統合失調症で50%程度生じるとされています。

・心理学と優越感

心理学の世界では、劣等感と優越感はどちらもよく使われる言葉です。例えば論文検索サイトのグーグルスカラーでは劣等感が14,000件程度ヒットする一方で、優越感は15,000件ヒットしました。

学術的にも比較的人気の研究対象であると言えそうです。

優越感

優越感研究

以下心理学における優越感の理解を深めていきましょう。優越感に対する研究は複数あります。折りたたんで記載をしたので、気になるタイトルをクリックして展開してみてください。

伊藤ら(2011)らは、大学生273名を対象に自尊感情や優越感の構造について調査しました。その結果、「見た目」と優越感には正の相関関係があることがわかりました。

優越感を高める要素見た目

見た目の良さはやはり、人よりも優れているという感覚を高めることになるといえそうです。

見た目は優越感を高める

見た目と同じくらい、優越感に強い影響を与えるのが「知的」でした。知識や知性の豊かさも、優越感をとても高めることができます。

優越感を高める要素とは?

学業だけではなく運動能力も優越感を高める結果が得られました。スポーツの成績も優越感を高めてくれるのです。優越感を高める運動神経このように自分の見た目や学業、スポーツの成績など、性格や個性に満足できると優越感が高まるといえます。

講師の視点  優越感と自尊心もまた正の相関関係にあります。すなわち自尊心が高まると同時に優越感も高くなりやすいのです。自尊心を高めることは、極めて重要なことですが、同時に尊大にならないように注意しなくてはなりません。

小平(2002)は、女子大学生219名を対象に、自己不一致が優越感にどのような影響を与えるかを調査しました。自己不一致とは、理想と現実とのギャップのことです。その結果は以下のようになります。

優越感 

調査の結果、こうありたい(理想)という自分と、現実の自分にギャップが小さいときに、優越感が高くなるということがわかりました。

直感的に理解しやすい言葉を使うと、うまくいっている…という感覚があるほど優越感を持ちやすいということですね。

講師の視点  アドラーは、劣等感は優越感につながると主張しているので、逆の結果になっているようです。解釈がなかなか難しいところです。

優越感が強い人は、

・周りよりも優っていたい
・相手に舐められたくない
・下に見られることに過剰に反応

といった傾向があります。

実はこのような性質は、対人恐怖と深い関わりがあることが報告されています。具体的には、

優越感にこだわる
  ↓
勝ち負けで人を評価
  ↓
絶えず緊張状態
  ↓
対人恐怖が強まる

上記のような流れで、優越感が対人恐怖につながります。人間関係を優劣で判断することで、自分の劣っている部分に視点がいき、人が怖くなってしまうのです。

優越感にこだわる問題

馬鹿にされたくない‐心理学的研究

西村・井上(2008)は、141名の大学生を対象に優越感に関する調査を行いました。その結果、人から馬鹿にされたりすることを我慢できない人ほど、対人恐怖の傾向があることが分かりました。

以下の図をご覧ください。横軸は、右に行くほど対人恐怖が高く、馬鹿にされたくない気持ちも強くなっています。全体的に右肩上がりであることがわかりますね。

優越感 対人恐怖

つまり、優越感を持つことは、逆説的に馬鹿にされたくない心理を呼び起こし、人と接することに躊躇しやすくなると推測できます。

一方で、優越感が少ない人は、優劣で人を判断しなくなります。その結果、警戒する必要がなくなりオープンな人間関係を築くことができるのです。

優越感との付き合い方

最後に優越感と現実的にどのように向き合っていけばいいのか?3点ほど提案させて頂きます。

土俵を降りたら忘れる

現代社会は競争社会です。競争することはお互いを高めることに繋がります。その意味で、

勝った負けた
優れている優れていない

の世界を持つことは大事です。一方で、勝ち負けだけで人生を生きていくと特に人間関係は歪んだものになります。

・偏差値で人を判断する
・肩書で判断する
・友人の数で判断する

このような思考に凝り固まった人と、私たちは付き合いたいと思えません。そして自分自身の価値も周りとの比較でしか測れなくなってしまいます。

優劣意識は「土俵に上がっているとき」だけこだわり、「土俵から降りたとき」は、お互いの良さを認め合うような気持ちをぜひ大事にしてください。

もしあなたが、絶えずステータスで判断してしまう、他者と比較することが癖になっていると感じたら、下記のコラムをぜひご覧ください。

無条件の肯定-ストロークコラム

優越感,対処法

劣等感を健康的に活かす

復習をすると、アドラーは劣等感の裏返しが優越感であると主張しています。そして劣等感は、

・前向きな生き方に役立てるべき
・社会のために役立てよう!

と強く主張しています。例えば、肌が汚い…という劣等感があったとします。この時、お肌をきれいにする薬品を開発して、同じ悩みを抱える人を救おう!こんな考え方が推奨されています。

劣等感を、誰かに勝つ!!というエネルギーに結びつけるのではなく、誰かの役にたとう!という力に使っていくイメージですね。

そうした生き方が自分も周りも幸せにすると主張しているのです。劣等感が他者へ勝ちたい…という力に変わっている感覚がある方は下記のコラムを参照ください。

劣等感の原理と健康的な活かし方

劣等コンプレックス,優越コンプレックス

自分らしさを確立する

優越感を克服するには、アイデンティティを確立することが不可欠です。アイデンティティの確立とは

・やりたいことをみつける
・取り組む課題がはっきりしている
・自分の個性を認めている

という心理を意味します。自分とはなにか?どう生きるべきか?という価値観が定まってくると、人の評価はそこまで気にならなくなってきます。

ゴッホの生き方

例えば、ゴッホは生前まったくもって評価されなかった画家ですが、自分が描きたい絵を描き続けていました。生前に売れた絵は『赤い葡萄畑』の1枚のみだったと言われています。他人と比較しない

ゴッホは誰からも評価されず生涯を終えましたが、きっと優越コンプレックスとは無縁の生活を送っていたのではないでしょうか。

相田みつをの生き方

相田みつをは日本人であれば誰でも知っている有名な詩人です。いまでこそ有名ですが、生前は有名ではありませんでした。

相田は詩の完成度に徹底的にこだわったとされています。一度売れた詩を、完成度が低かったことを後悔し、相手の家に押しかけ買い戻し、そして燃やしてしまうという暴挙?に出ています。

ゴッホも相田も相手との比較ではなく、自分との勝負をしていたのだと思います。このように、自分らしく生きる指針ができると、他人の目や優劣意識はそこまで気にならなくなっていくのです。

自分らしさがわからない…何をしていいかわからない…という方はこちらのコラムを参照ください。

アイデンティティ確立コラム

 

まとめ‐助け合い掲示板

まとめ

今回は優越感について見ていきました。人よりも優っていたいという気持ちは、特に努力の原動力となることも多いですが、行き過ぎると悪影響を及ぼします。

人は理想と現実のギャップが大きいほどストレスを抱えてしまいます。ぜひ適度な優越感を保ってメンタルへルスを良好してくださいね。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。それでは入門②に進みましょう!

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・西村美咲・井上健 2008 対人恐怖における優越コンプ レックスについて 臨床教育心理学研究 34,1-6.
・中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣
・伊藤 正哉・川崎 直樹・小玉 正博(2011),「自尊感情の3様態―自尊源の随伴性と充足感からの整理―」,心理学研究,81,6,pp.560-568.
・小平 英志(2002),「女子大学生における自己不一致と優越感・有能感、自己嫌悪感との関連-理想自己と義務自己の相対的重要性の観点から-」,実験社会心理学研究,41,2,p165-174.