>
>
>

対人不安を克服!前向きな思考をもつコツを確認しよう

対人,不安,克服


対人不安を克服!前向きな思考をもつコツ②

コラム①では、対人不安になってしまう3つの原因をあげました。具体的には「①完璧を目指してしまうなどの神経質な性格」「②失敗への注目グセ」「③周りの目を気にしてしまう」でしたね。

今回のコラムでは、原因の1つである「完璧を目指してしまう」を解決していきます。

「失敗したくない」
「相手に悪く思われたくない」
という気持ちは、ほとんどの人が持っている当たり前の感情と言えます。しかし、その感情は自分自身に過度なプレッシャーをかけ、不安にさせる原因にもなるのです。言ってみれば「消極的な完璧主義」です。

心理療法の世界では、このことを「失敗の予言」と呼ぶことがあります。つまり、失敗したくないと思うあまり、自ら失敗を招いてしまっているのです。

失敗の予言は「ピグマリオン効果」「予言の自己成就」とも呼ばれます。予言の自己成就とは、誤った予言や噂を信じて、行動することで、あるはずもしない事柄(予言)が本当に)実現してしまうことをいいます。このような考え方や現象は私たちの日常生活はもちろん、ビジネスや経済業界でも起こることがあります。特にビジネス業界では噂一つで倒産を招くこともあります。

予言の自己成就の有名な事例として、アメリカの銀行倒産があります。もうずいぶんと昔の話ですが、ある銀行に「近々倒産するらしい!」と噂が流れました。本当はありもしない情報なのに、それを信じて心配人たちは、たちまち銀行から預金を引き出したのです。その結果本当にその銀行が倒産をしてしまいました。

日常生活においては、例えばテストや受験勉強で

「高い点数をとらねければ!」
「でももしかしたら不合格なんじゃ…!」
と心配し不安になります。その不安を次第に信じ込んでしまい勉強が手につかなくなると、テストや試験では本当に点数が悪くなったり、不合格になります。本来は心配しすぎて勉強がてにつかないことで、学習が定着しなかったことが点が伸びない原因なのに、しっぱいが予言であるかのように

「やっぱりテストではいつも点数が悪い!」
「行きたいところに限って志望校は不合格だ」
などという誤ったジンクスが出来上がるのです。

 

それでは、具体的な例をみていきましょう。

 

対人不安を強めている思考とは?

ここで、周囲からの評価を気にしすぎてしまう鈴木さんの例をご紹介します。

鈴木さんの職場は3年ごとに部署異動があります。新しい職場では自己紹介をしますが、「第一印象が肝心だ」と、鈴木さんは考えます。必死に練習をしたのですが、当日になると思い出せない部分もあり、自己紹介は満足のいかない結果となりました。

自己紹介が終わった後も、そのことが頭から離れず「完璧に内容が伝えられなかった」という後悔で落ち込んでしまいます。そして、

「周りの人にこれ以上悪い印象を持たれてはいけない」
「仕事でも絶対失敗してはいけない」

と考えるようになりました。新しい職場では対人不安がますます強くなり、その不安な気持ちを解消できずにいます。この中で、どの部分が「消極的な完璧主義」なのでしょう。

まず「自己紹介は失敗してはいけないと必死に練習したこと」
そして「練習通りに完璧に言わなくてはならないと思ったこと」

ですね。自己紹介を失敗した鈴木さんは、これからは失敗できないという気持ちが強くなり、ますます完璧を求めてしまうようになりました。

 

非合理的思考に気付いて対人不安を克服

消極的な完璧主義のポイントは、

「絶対に」
「〜しなくてはならない」
「〜してはならない」
という考えをしてしまうことです。

思わず力が入ってしまうようなフレーズで、気持ちも前向きになりづらいですよね。これらのフレーズを心理学では「非合理的思考(イラショナル・ビリーフ)」と呼びます。

あなたが苦手だと感じるような対人場面では「合理的思考」つまり、あなたにとってプラスに作用する考えが、不安を取り除いてくれます。そのため「非合理的思考」に気付くだけでも気持ちがラクになる効果があります。

これから、完璧主義をプラスに変える方法をご紹介していきます。まずは「非合理的思考」に気付いて気持ちを楽にしていきましょう。

 

プラスの力にかえて対人不安を克服!

対人不安の原因にもなってしまう完璧主義ですが、決して悪い面ばかりではなく、完璧主義がプラスに作用することもあります。それは、「より良くなりたい」と思うときの完璧主義です。

例えば、
野球の試合で1点リードしているときに、
「何とかリードを守りきらなければ」
「そのためには少しのミスも許されない」
と思うのが消極的な完璧主義で、緊張してかえってミスが出やすい状態になってしまいます。

「どうせなら大量得点で完全勝利してやろう!」
と思うと、いつの間にか緊張も忘れ、のびのびとプレーすることができます。これが完璧主義のプラスの作用です。

対人関係の場面で考えると、
「話しかけて悪い印象を持たれたくない(=だから話しかけない)」
と思うのが消極的な完璧主義で、
「いろんな人にたくさん話しかけてみよう!」
と思うのがプラスの作用です。

思い切って話しかけてみることで、不安がなくなり、気持ちがラクになるはずです。完璧主義をプラスの力に変えて味方にするために、練習問題を通して考え方を身につけましょう。

 

練習問題で対人不安の克服を目指そう!

完璧主義やイラショナルビリーフ、予言の自己成就など…どこから手をつければよいかと混乱されている方もいるかもしれません。

ここで少し気分を変えて、以下に、対人不安のもとである「消極的な完璧主義」の考えが含まれている文章をご紹介します。どこがそれに当てはまるのかを見つけ、プラスに作用する考えに変えましょう。

【練習問題1】
プレゼンで絶対に失敗しないように、無難な内容にしよう。
(どこが消極的な完璧主義ですか?)

 

(プラスに変えてみませんか?)

 

【解答例】
消極的な完璧主義
⇒「絶対に失敗しないように」の部分
プラスに変換
⇒どうせなら細かいところまで参考資料を調べて、誰にでも伝わるような、とことんわかりやすい内容にしよう!

 

【練習問題2】
最初の自己紹介だから絶対に失敗してはいけない。
(どこが消極的な完璧主義ですか?)

 

(プラスに変えてみませんか?)

 

【解答例】
消極的な完璧主義
⇒「絶対に失敗してはいけない」の部分
プラスに変換
⇒せっかくだから、笑いの1つくらいとれるように練っていこう!
(楽しめるものに変えるのも1つの方法です)

 

前向きな思考で対人不安を克服しよう!

練習問題をやってみていかがでしたか。解答例は、あくまで一つの例です。みなさんが前向きになれて、不安が軽くなる解答であれば、どんなものでも正解です。自分で自分を追いつめ、マイナスに作用していた完璧主義をプラスの力に変えることができれば、対人不安を克服できますよ!

次回のコラムでは、対人不安になってしまう2つ目の原因「失敗への注目グセ」について解説していきます。次回のコラムもお楽しみに!

★「失敗の予言」は対人不安を自ら強めてしまう
★ 非合理的思考に気づいて克服の大きな一歩を!
★ プラスの思考に変えて対人不安を克服しよう

 

出典
・中野正大 (1995)予言の自己成就―<意図せざる結果>と<誤った>状況の期待―(中野正大 ソシオロジ 1995)
・”予言の自己成就”と合理性 : ブール代数分析による思考実験 社会学評論 47(2), 156-170, 1996-09-30  



完璧を目指す事で強めているネガティブな気持ちを対処していきましょう。