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対人不安や障害を解消する思考を知ろう

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対人不安や障害を解消する思考を知ろう!③

コラム②では、対人不安になってしまう原因の1つ、「完璧を目指してしまう」の対策を考えました。マイナスに作用していた完璧主義をプラスに作用する完璧主義に変えることで、対人不安を克服するという内容でしたね。

今回は、対人不安になってしまう原因の2つ目「失敗への注目グセ」について解説します。ネガティブな事ばかりに目を向けてしまうことで、いつの間にか対人不安や障害を引き起こす場合があります。それでは早速、具体的な例をみていきましょう。

聴衆へ不安が強い田中さんの事例

田中さんはメーカーに勤務し10年目。勤続年数も長くなり、ユニットリーダーを任されるようになりました。大勢の前で発表やプレゼンする場面も自然と多くなります。

先日も、社内会議で新しいプロジェクトについて発表していたところ、聴衆の数人がニヤニヤ笑っているのに気付きました。田中さんは

「自分が笑われている」
「周囲からバカだと思われたに違いない」

と感じ、途端に対人不安が強くなってしまいました。すっかり自信をなくした田中さんは、うまく発表できなくなり、結局本当に伝えたかった内容は伝わりませんでした。
ここでのポイントは、数人がニヤニヤ笑っていたのを田中さんが「どう感じたか」です。

 

対人不安や障害は「どう受け取るか」

「ニヤニヤ笑っていた=自分が笑われている」
と田中さんはとらえましたが、本当に田中さんに対して笑っていたのでしょうか。隣の人とのひそひそ話が面白かったのかもしれませんし、ただ単に思い出し笑いをしていたのかもしれません。本当のことはわからないのです。

それにもかかわらず、「ニヤニヤ笑っている=笑われている」と感じたことで、不安が強い状態になり、発表もうまくいきませんでした。

このように、ある出来事に対して自分がどう受け取るかが、気持ちを左右します。ネガティブに受け取ってしまうと対人不安が強くなり、結果として自らのパフォーマンスを低下させてしまうのです。

 

不安や障害を解消する為に大切な事は?

実際に正しいかどうかわからないことで悩み、ネガティブになってしまうことは、よくあることです。そしてそのことが対人不安や障害の正体だったということも、少なくありません。まずは状況をきちんと把握することが大事ですが、実際に何が正しいのか、いつも確認できるとは限りません。その過程で自分自身で誤った認識や考え方をすることがあります。

心理学では認識や判断、考え方を「認知」といい、それが歪んでいると悪い影響を受けてしまいます。

「認知」と聞くと難しい言葉かもしれませんが、例えば「あの人から嫌われた!」と考えた場合、嫌われたという出来事よりも、「嫌われた」と認識したということが大事なのです。同じ出来事でも嫌われたと感じない人もいるはずです。気分や感情は事実ではなく自分が認知した結果、ネガティブな感情は歪んだ認知が生み出すのです。

例えば、仕事中にミスをしたらみなさんはどう考えるでしょうか?
「誰でも起こることだ。今度からチェックを入念にしよう」
「もう自分はおしまいだ!自分なんて必要とされない!」
もし、自分はおしまいだ!と考える人は認知の歪みが起きているといえます。認知の歪みとは非合理的な誤った考えのことです。

認知の歪みは言わば心の癖のようなものなので、自分で修正することもできます。考え方などの心の癖=認知の歪みを修正する専門的な方法を認知行動療法といいます。

与えられた現実の中で様々な可能性を考えて、その中で妥当な判断をし、「認知の歪み」をできるだけなくしていくことが大切です。「どう感じるか」に正解はありませんが、1つの見方にとらわれないことで強い不安を避けることができ、対人不安や障害を解消されます。

それではここで、1つの見方にとらわれないための練習問題に取り組んでみましょう!

 

練習問題で対人不安や障害を軽減しよう

以下に提示される問題に対して、「何か他の可能性はないか?」と考えてみてください。

【練習問題1】
私は上司にひどく怒られている。最近はほぼ毎日だ。私がダメな部下だからに違いない。
(他の可能性はないでしょうか?)

 

【解答例】
この場合は、「怒られるのは期待されているから」かもしれません。ちょっとひねくれた見方をすると、「上司の性格や指導法に問題がある」のかもしれません。対人不安の方は「いつも自分に原因がある」と思ってしまうので、こういう考え方も時には必要です。

 

【練習問題2】
ある先輩は、私が話しかけてもいつもそっけない返事しか返ってこない。私はきっと嫌われているに違いない。
(他の可能性はないでしょうか?)

 

【解答例】
先輩はシャイなのかもしれません。あなたと関わりたいのに、やり方がわからず、ついそっけない態度をとってしまっているのかもしれませんよ。お互い悪いようには思っていないはず。もし距離を縮めたいなら、あなたが話しかけ方を工夫することで、きっかけがつかめるかもしれませんね。

 

【練習問題3】
今日、プレゼンテーションに失敗してしまった。同僚の冷たい視線が突き刺さるようで、明日は会社に行きたくない。
(他の可能性はないでしょうか?)

【解答例】
難しいプレゼンテーションだったので、ねぎらってくれるかもしれません。
あなたができる人なので、発表者に選ばれた可能性があります。
そもそもプレゼンテーションは失敗だったのでしょうか?

 

視野を広げると可能性が広がる

練習問題をやってみていかがでしたか?ここでの答えはあくまで例で、正解はありません。いろいろな考え方が出てくればくるほど素晴らしいです!ここにはない解答例を、ぜひ見つけてくださいね。

そして日常生活の様々な場面で、「可能性を広げた考え方」を意識してみてください。対人への不安や障害を解消させるには、視野を広げる練習を習慣にしてしまうことです。

失敗する自分やネガティブな考え方だけに注目するのではなく、視野を広げて様々な可能性を考えてみてください。考え方の可能性が広がると、対人への不安や障害の克服だけでなく、ストレスの軽減や、やる気の向上などの効果も期待出来ますよ。

次回のコラムでは、対人不安になってしまう3つ目の原因「周りの目を気にしてしまう」について解説していきます。次回のコラムもお楽しみに!

★ 受け取り方が対人不安や障害を強めている
★ 1つの見方に捉われない事が対人不安を解消するカギ
★ 対人不安や障害の解消は視野を広げる練習が効果アリ

 

出典
認知行動療法を学ぶ(下山晴彦編 金剛出版,2011)
認知行動療法(坂野雄二 日本評論社,1995)



ネガティブな捉え方を改善する考え方を身に付けていこう!