>
>
>
絶望感から抜け出す方法-破滅思考を見つめなおす

絶望感から抜け出す方法-破滅思考を見つめなおす③

コラム①では、絶望の心理的な影響を概観していきました。具体的な解決策としては、「①フィンク適応理論」「②思考の見つめなおし」「③ソーシャルサポート」でしたね。

今回は、「②思考の見つめなおし」について解説していきます。

結論の飛躍とは?

絶望している時には、極端に思考のバランスが崩れた破滅的思考が強い状態です。この思考には、確かな根拠もないのに物事を極端に悲観してしまう「結論の飛躍」が影響している可能性があります

結論の飛躍とは、

「妥当な根拠もなしに否定的な結論に飛躍し、わかるはずのない将来を決めつけてしまう」

思考のことです。

たとえば、
・わたしは一生孤独だ
・わたしは一生失敗する

などが、結論の飛躍です。

結論の飛躍が絶望を強めるこの結論の飛躍思考に偏ると、将来を過剰に悲観してしまい、目標達成への意欲や行動力が低下してしまいます。思考を見つめ直すことで、柔軟な考え方にすることが大切です。

思考の見つめなおしワーク

さまざな視点を取り入れよう

柔軟な考え方を取り入れるおすすめの方法として、思考の見つめ直しワークをご紹介します。

思考の見つめなおしワークとは、

「5つの質問に答えながら自分の思考をバランスの取れたやわらかいものに変えていく方法」

です。このワークには正解はありませんが、いろいろな方向から考えることで思考や視野が広がり、取り組めば取り組むほど気分が良くなります(竹田, 2012)。

適応的な思考を育てる

こうした、柔軟な思考のことを「適応的な思考」とよぶことがあります。適応的な思考とは、簡単に言うと「○○かもしれないし、△△かもしれない」といった、さまざまな角度から物事をバランスよく見れる考え方です。

例えば、相手が自分を見て笑っていたとします。この時、自分は一生馬鹿にされる存在なんだ、と考えることは結論の飛躍です。

そうではなく、「笑顔で話しかけようとしたのかもしれないし、思い出し笑いしていたのかもしれない」と様々な可能性が考えられるはずです。このように様々な視点から物事を捉えることを適応的な思考といいます。

ワークで自己効力感UP!

竹田ら(2015)の研究では、認知の偏りが強い人を対象に思考の見つめ直しワークの効果を測定しました。認知の偏りとは考え方のクセのことで、結論の飛躍もその中のひとつにはいります。

ここでは、以下の2つの自己効力感の変化を調べました。

①ネガティブな思考の気づきに対する自己効力感
②適応的な思考を考えることの自己効力感

それでは、それぞれの結果を見ていきましょう。

①ネガティブな思考の気づきに対する自己効力感

まずは、「ネガティブな思考の気づきに対する自己効力感」についてです。以下のグラフをご覧ください。

絶望から抜け出そう

このように、ワーク「実施前」よりも、「実施後」の方がグラフが伸びていることが分かります。思考の見つめなおしワークを実施することで、自分のネガティブな思考に気づけるようになり、自己効力感が高まることが推察されます。

②適応的な思考を考えることの自己効力感

続いて、「適応的な思考を考えることの自己効力感」を見てみましょう。以下のグラフを眺めてみてください。

落ち込みから立ち直る

こちらの結果も、実施後の方がグラフが伸びていることがわかります。つまり、適応的な思考を考えることで、自己効力感が高まるということが示されています。

絶望が強い中で自分の「結論の飛躍思考」に気づくこと、またその思考を修正する過程が気分や感情の安定化や回復につながると考えられます。

見つめなおしワークを実践

まずは、 例題で具体的な流れを確認していきましょう。

<例題>
コラム②でご紹介したジロウさんの例を用います。おさらいをすると、

・第一志望の大学が不合格だった
・第二志望の大学には合格だった
・第一志望を夢見ていたので絶望

という状況でしたね。

理想の職に就くための受験だった

ジロウさんは、すでに就きたい職業が決まっていました。第一志望だった大学は、その職業に必要な資格試験への合格率が高かったのですが、第二志望の大学はそれほど高くありません。

そこでジロウさんは
・第二志望の大学では資格には受からない。
・もう目標の職業に就くことはできない。

と未来を勝手に決めつけて落ち込んでいます。ジロウさんは、この状況を改善するために結論の飛躍思考を修正する思考の見つめなおしワークをやってみることにしました。

絶望感の乗り越え方を紹介

思考の見つめなおしワーク

ターゲットとなる思考
「もう目標の職業に就くことはできない」
この思考があるときの気分は?【ワーク前の気分】
→とても気が重い。どんよりとしている。 

以下の質問に順番に答えていきます。

質問1:その考えがそのとおりだと思う理由は?
→入学する大学でその職業についている人は少ない。

質問2:その考えと矛盾する事実は?
→少ないけれど、ゼロではない。

質問3:その考えのままでいるデメリットは?
→やる前からあきらめてしまうと後悔する。モチベーションがわかない。

質問4:親しい人が同じ考えでいたら何と言ってあげる?
→あなたが数少ない合格者のひとりになればいいじゃない!

質問5:自分にどんなことを言ってあげると楽になれそう?
→合格者が少ないからといって可能性がゼロではない。できる限りがんばってみよう。

5つの質問をまとめて、バランスの良い考えにすると
→「その職業に就けるかは大学がすべてじゃない。合格できるかは個人の努力次第だから、できる限りがんばってみよう!」

そう考えると【ワーク前の気分】はどう変わる?
→気分が明るくなった。どんよりしていた気分が消えた。

このように少しでも気分が改善したらOKです。

絶望を解消する5つの質問

思考の見つめなおしを実践!

結論の飛躍思考を修正する練習していきましょう

では、次にあなた自身が結論の飛躍思考で落ち込んでしまう状況を考えて、思考の振り返りワークをやってみましょう! 

<ワーク>
あなたのターゲットとなる思考
→「            」

それを考えたときの気分は?【ワーク前の気分】
→「            」

 

質問1:その考えがそのとおりだと思う理由は?
→「            」

 

質問2:その考えと矛盾する事実は?
→「            」

 

質問3:その考えのままでいるデメリットは?
→「            」

 

質問4:親しい人が同じ考えでいたら何と言ってあげる?
→「            」

 

質問5:自分にどんなことを言ってあげると楽になれそう?
→「            」

 

5つの質問をまとめて、バランスの良い考えにすると
→「            」

そう考えると【最初の気分】はどう変わる?
→「            」

思考を柔軟にして絶望減!

練習問題はいかがでしたか。結論の飛躍思考を振り返り、バランスの良い考えにやわらかくすることで、次のような効果が得られます。

・物事のほかの面に気づく
・柔軟な思考に修正できる

思考の振り返りワークは、ポジティブ思考を推奨するものではありません。「結論の飛躍」を振り返り、別の角度からの視点に気づくことが目的です。

絶望して将来を極端に悲観する「結論の飛躍思考」に気づいたら、思考の振り返りワークで認知の偏りを修正してみましょう!ぜひ日常生活の中でワークを取り入れてみてくださいね!

次のコラムでは、絶望感から引き起こされる問題の原因「③自分ひとりで問題を抱え込む」の対策についてご紹介します。

★ 結論の飛躍思考に気づく!
★いろいろな面を見て思考をやわらかくする!
★柔軟な思考で絶望から回復!  
心理学講座

助け合い掲示板

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
竹田伸也(2012)マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック: 心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける,遠見書房.
竹田伸也, 太田真貴, 松尾理沙, & 大塚美菜子. (2015). 対人援助職者に対する認知療法によるストレスマネジメントプログラムの効果. ストレス科学研究30, 44-51.