自分が嫌いでしょうがない心理と対処法「リフレーミング」②
コラム①では、自分が嫌いな3つの原因とその改善策について紹介してきました。具体的には、「自分の悪いところに目が行く」「自分らしさの未確立」「周りのサポート」が対処法でしたね。今回は、自己嫌悪の原因の1つ目「ソーシャルサポートが少ない」の対処法リフレーミングをお話していきます。
視点を変える「リフレーミング」
リフレーミングとは、
「これまでのものごとを見る枠組みを変えて、違う枠組みで見ること」
を指しています。
つまり、視点を変えて物事を見るためのテクニックです。家族療法や解決志向アプローチ(Solution Focused Approach :SFA )などの心理療法で用いられています。
自分の悪い部分に目が行きがちな人は、物事のマイナス面ばかりを考えてしまい、自分を嫌いだと感じている可能性があります。しかし、物事にはネガティブな部分ばかりではなく、必ずポジティブな面が存在するはずです。リフレーミングとは、今の物の見方を変えて自分の中の良い面を探していこうとすることを指します。
リフレーミングの技法は、学校場面では、教育が難しい生徒の対応方法を考えることに活用されたり、仕事面では社員のモチベーションを上げるための企業研修などでも用いられます。このように様々なところでリフレーミングは活用されています。
ここで、1つ例をお話しします。
以前、台風でリンゴがたくさん落ちてしまい、商品にならなくなってしまった事というニュースがありました。しかし、その中でも「落ちないリンゴ」も存在し、これが話題を世間の呼びました。落ちなかったというポイントを売りに販売したのです。その名も落ちないリンゴ。すると、受験生たちに非常に価値のあるものとして、受け入れたという話です。
これは、
「リンゴが落ちたから売り物にならない」
↓
「落ちなかったリンゴはとても価値がある」
といった具合に、リンゴが台風で落ちてしまったという事実の捉え方で、人の気分に変化を与えるということです。
自分が嫌いな高橋さんの事例
先ほどご紹介した、リンゴの例に限らず、リフレーミングは自分自身についても使うことができます。
以前、私のもとに高橋さんという方が訪れました。対人恐怖がとても強い方で、これまでにひきこもりを経験したこともあったようです。高橋さんは、自分が嫌いな気持ちが強く、自信が持てていない印象でした。カウンセリングの中で高橋さんは小さい頃から自分が嫌いだったとお話しされていました。
その理由としては、
「要領が悪い」
「理屈っぽい」
「機転が利かない」
といくつものな面で、マイナスな評価を自分に下していたことでした。そこで高橋さんと話しをしていくなかで、リフレーミングを活用して良い点を探していきました。
すると、自分を違った角度から見ることができ、
「コツコツと物事に取り組む」
「慎重に考えてから行動する」
「相手に対して誠実な丁寧な対応ができる」
と、たくさんの長所を挙がってきました。
高橋さんは、「考えてみれば案外自分にも長所があったんだなぁ・・・」と自分を肯定的に見ることができるようになったようでした。現在では、プライベートや仕事面でも充実した様子で、自分に誇りを持って生活していると言います。
今回の高橋さんのように、自分の悪い面をポジティブに考え直してみると自分が嫌いという感覚を軽減することができるでしょう。
短所も裏を返せば長所になる?
後日、高橋さんがカウンセリングを卒業してからしばらく絶ったある日、顔を出してくださいました。高橋さんは、あることに気づいたようです。
このように「自分の短所ところだと思っていた部分は、裏を返せば長所だつた」とおっしゃっていました。一長一短という言葉があるように、自分のデメリットと感じるところ、あなたのメリットでもあるかもしれません。
リフレーミングを実践しよう!
それでは、あなたの自分が嫌いなところについてリフレーミングをしてみましょう。高橋さんの事例を踏まえて、気軽にやってみてください。
問題①
あなたが考える、自分の「悪いところ」を挙げてみてください。
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問題②
「悪いところ」をポジティブな点に言い換えてみましょう。
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・
・
解答例
問題①
あなた自身が思う、「悪いところ」を挙げてみてください。
・「短気でせっかち」
・「すぐ落ち込んでしまう」
・「緊張しやすい」
問題②
「悪いところ」を良い点として言い換えてみましょう。
・「てきぱきと物事を進める」
・「反省ができる」
・「熱心に取り組める」
など
そして、悪いところの言いかえはこんな感じでしょうか。
自分が嫌い!でも良いところがある
今回は、自分が嫌い!に対処法するリフレーミングについてご説明しました。いかがでしたか。私たちには、良いところしかない人間もいなければ、悪いところしかない人間もいません。
つまり良い悪いの両面あって始めて人間らしさが生まれるのではないでしょうか。「0か、100か」の話ではなく、バランスのとれた捉え方ができるようになれば、自分が嫌いという気持ちを軽減することができます。自分が嫌いという感覚に苦しんでいる時は、ぜひリフレーミングを活用してみてください。
次回は、自己嫌悪になる原因の2つ目「自分らしさの未確立」の対処法についてご紹介します。
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