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怒りコントロール不足の問題・心身への影響

怒りコントロール不足の問題「心と体に悪影響」③

今回は心理学の研究を交えながら、怒りコントロールの必要性について解説していきます。

怒りコントロールができず、日常的に怒りの感情を覚える事が増えると、どのような影響があるのでしょうか。心理学の研究では、心理面・健康面に大きなデメリットがあることがわかっています。

*当コラムは動画解説もあります。テキストで把握したい方は飛ばして進んでください。

怒りコントロールができない問題

現在の生理学、心理学的な研究によると、怒りコントロールができないと、さまざまなマイナスの影響をもたらすことがわかっています。

研究①怒りが体に及ぼす影響

・怒りと体の仕組み
まずは怒りと生理的なメカニズムについて解説していきます。怒りは以下のプロセスで起こります。

①対人場面に遭遇
②怒りの思考
③扁桃体が反応
④交感神経が活発

対人場面で、理不尽な扱いを受けた方がいたとえいます。すると「扁桃体(へんとうたい)」が反応します。

・扁桃体とは?
扁桃体は、以下の部位に位置しています。

扁桃体の解説

扁桃体は怒りや恐怖、不安を感じる脳の部位で原始的な脳と言われています。危機を感じると、扁桃体が活発になり、合理的な判断がしにくくなります。

・交感神経とは? 
偏桃体が反応すると、「自律神経」が対応を始めます。自律神経には2種類あり、それぞれ以下のような働きがあります。

交感神経
緊張する、活力を上げる、心拍数が上がる
副交感神経
リラックス、休息する、心拍数が下がる

怒りがコントロールできない時の体では「交感神経」が優位になっています。体の反応が高まる中で心臓の鼓動が早くなり、血流や血圧が高まっていくのです。これは体が戦いの準備を始めているサインになります。うまく怒りコントロールができないと、暴言や暴力へと発展していきます。

交感神経が優位な状態

 

・怒りと病気のリスク
井澤ら(2004)は、男子大学生20名を対象に「敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連」において、怒りと生理的な影響の研究を行いました。その結果、衝動的な怒り情動を表す「短気」が、収縮期血圧・拡張期血圧の上昇と関連を示す結果が得られました。

怒りに関する研究と身体への影響

結果から、怒りコントロールができない人は、日常場面でも怒り喚起時に高い心臓血管反応性を示す傾向があるため、冠動脈疾患に罹患しやすい可能性があることがわかったのです。

研究②怒りでうつ病リスク増大

筑波大学の渡辺俊太郎(2004)は、大学生262名(男性150名、女性111名、性別未記入者1名)を対象に、「怒り感情が心身の健康に及ぼす影響に関する研究」を行いました。その結果、怒り持続傾向の高い男性は、副交感神経が低下し、抑うつにも影響を与えていることがわかりました。

また横山(2014)はうつ病と関連して、怒り発作の概念を取り上げています。怒り発作とは、以下のような条件で定義されています。

・過去6か月間でイライラ感が確認
・多少の煩わしい事にも過剰に反応
・過去1ヶ月間に1回以上の怒り発作
・怒り発作が自分本来の性格とは合わないと感じる

こうした突然の怒りを表す人は、うつ病を伴う比率が高いとされています。他にも、双極性障害(いわゆる躁うつ病)や若年性認知症においても、それまでの性格では考えられない激しい怒りを伴うことが知られています。もちろん、怒りコントロールもできなくなります。

怒りコントロールできない場合の心への影響

いずれにしても、突発的に怒りやすくなった場合は、精神疾患の可能性も視野に入れておく必要があります。精神疾患の場合は、心理療法や薬物療法などを視野に入れて改善していくことになります。

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目次

①アンガーマネジメントしよう
②定義・意味・歴史を解説
③危険性とは?心身への影響
④怒りコントロール診断
⑤怒りの正体「期待とギャップ」
⑥他責思考の改善がカギ
⑦「観察」で感情レベルを把握
⑧6秒ルールには深呼吸法が有効
⑨資格・講座・研修まとめ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 
・怒り感情が心身の健康に及ぼす影響に関する研究 筑波大学  渡辺俊太郎 2004
・Novaco, R.W. (1975) Anger Control: The Development and Evaluation of an Experimental Treatment. Lexington Books, Lexington.
・井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 早稲田大学