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アサーティブコミュニケーションの意味とは,トレーニング方法

アサーティブコミュニケーションとは?意味,トレーニング方法

はじめまして!公認心理師の川島です。
今回のテーマは
「アサーティブコミュニケーション」
です。


当コラムの目標
・アサーションの基礎を学ぶ
・自他尊重のコミュ力を向上させる
・トレーニング手法を学ぶ

全体の目次
・アサーションの歴史,意味
・3つの自己表現タイプ
・診断,チェック
・アサーション6つのトレーニング手法

はじめに

私がアサーティブコミュニケーションの勉強を始めたのは15年前のことです。まだ心理の専門家としては駆け出しの頃でした。

アサーティブコミュニケーションの特徴は、とにかくわかりやすく、実践的であるということです。難しい言葉が少なく、初学者が人間関係を学ぶ上で、おススメの分野になります。

かなりしっかり記述したので長いコラムになってしまいました。

折りたたんである箇所
興味があるタイトルがあったら展開して読んでみてください♪

最初から展開してある箇所
初めての方にお勧めの箇所となります。ぜひご一読ください。

アサーティブの歴史,意味,哲学

まずは、アサーティブコミュニケーションの歴史と意味から確認していきましょう。

精神疾患と抑圧

アサーティブの始まりはアメリカです。1949年に出版されたSalterの「条件反射療法」が起源といわれています。当時のアメリカでは、精神的に問題のある患者は抑圧された環境にいました。

アサーティブ,歴史

Salterはこのような状況から、患者が人間的回復をするためには、主体的にアサーティブ(自己主張)することが必要だと主張したのです。

アサーティブコミュニケーション,歴史,精神疾患

主張訓練が始まる

そして1950年代に入り、Wolpe(1958)が神経症の治療において、アサーティブが不安抑制に有効であることを取り上げました。

対人関係がうまくいかない人や自己表現が苦手な人のための、カウンセリング法として活用され始めます。

より詳しい歴史に興味がある方は下記を参照ください。

アサーティブは、その後20年ほど精神医学の世界で、行動療法や対人関係療法の一部として発展することとなりました。

パーフェクトライトの出版

精神医療における活用だけだったアサーティブが、広く知られるようになったのは1970年代に入ってからです。そのころアメリカで
・題名 Your Perfect Right(あなたの完全な権利)
・著者 ロバートアルベティ マイケルエモンズ

ユアーパーフェクトライト

 というベストセラーになったアサーティブの本があります。

この本を契機として、人種差別や性差別を受けてきた人・特別な配慮やケアが必要な人の人権を守る方法として広がりました。

また教育や福祉、産業などの分野にも広がり、現在では社会的スキルのひとつとして位置づけられています。

そして日本では 1980年代になってから平木典子先生がアサーティブを「自己表現」と名付け、相互尊重のコミュニケーションと打ち出し、広まることとなりました。

トレーニングの広がり

人権問題に関わるときの有効なコミュニケーションとして広がったアサーションですが、現在ではさまざまな場面でのトレーニング方法として活用が広がっています。

・身近な人間関係のトラブル予防

親子関係や友人関係、夫婦や恋人、近所づき付き合いなど、日常生活にある習慣や価値観の違いから引き起こされるトラブルの改善や予防としても活用できます。

・セクハラ,パワハラへの対処

企業研修では積極的にアサーショントレーニングが取り入れられています。セクハラやパワハラへの対処、職場うつの予防、高圧的な上司の態度の抑制など、職場でのよりよい人間関係をつくることに活用できます。

・いじめの防止

アサーショントレーニングはいじめの防止にも有効です。特に学校現場では特別授業で取り入れられることが多く、訓練の効果も実証されています。

意味とは

アサーティブは単なる自己主張訓練から段々と、発展していきました。平木(1993)はアサーティブネスの定義を以下のように記述しています。

自分も相手も大切にした自己表現

自己主張を過剰に抑えるのでもなく、かといって自己中心的に生きるのでもなく、その双方のバランスのとれた自己表現がアサーティブコミュニケーションが目指すところなのです。

 

アサーションは日常のコミュニケーションに役立つ

アサーション権

アサ-ション権は、人間関係における憲法のような考え方です。互いに持つことで、人間関係が良好になってきます。

①尊重され、大切にされる権利

非人間的な扱いを受けたら「いやだ」「ダメ」など、自分の気持ちを主張する権利があるという考え方です。

たとえば、知らない土地で突然住むことを強要される転勤辞令は、アサーション権に反する可能性があるかもしれません。自分が嫌だと思うことはしっかり主張していいのです。5つのアサ-ション権

②自分で決定し責任をもつ

自分で決定し行動するという覚悟を持とうという考え方です。人生は一度しかありません。自分で判断し責任を持つこと必要なのです。

③過ちをおかす権利がある

チャレンジをした時には失敗してもいい!という考え方です。行動には失敗が伴うこともあります。失敗を責める必要はありません。私たちは失敗していい権利があるのです。この権利は、自分だけではなく、相手に対しても同じように認めるようにします。アサ-ション権

④不平等さを訴える権利

不平等に対して、自分の気持ちを伝えていいという考え方です。

たとえば、必死に働く従業員がいる状況で、経営者が非常に楽をしているようなブラック企業なら、職場の処遇を多少なり改善してもらう主張をしてもいいでしょう。

私たちは立場にかかわらず、不平等な状況に対して気持ちを伝えていい権利があるのです。

⑤あえて主張しな自由もある

自分の身に危険が及ぶ状況では、主張しない方がいい時もあります。無理をして主張することはありません。

自分の身を守る必要があれば、主張しない自由もあることを把握しておきましょう。無理に主張しなくていい権利

3つの自己表現

アサーションの考え方を紹介した、アメリカの心理学者ウォルピィ(Wolpe,J.)は、人間関係における自己表現には3つのタイプがあるとしています。

① 攻撃的タイプ
② 非主張的タイプ
③ アサーティブなタイプ

①攻撃的タイプ(アグレッシブ)

・どんな人がなりやすい?
 *権力や権威のある人
 *知識や経験が豊富な人
 *自尊心が低く防衛的
 *自己愛が強すぎる
 *共感性が低い

・攻撃タイプの特徴

このタイプは、自分を最優先に考えます。時には他人を傷つけたり踏みにじるような行動をします。自分の主張ははっきりと伝えるが、相手の気持ちは置き去りの状態です。

このタイプの人は、「言い負かす」「命令する」「大声で怒鳴る」などの自己表現をします。また勝ち負けで物事を決めたり 相手より優位に立とうとしたり、巧妙に相手を操作しようとすることもあります。

ジャイアンごめんなさい!

アサーション3つのタイプアグレッシブ

②非主張的タイプ(ノン・アサーティブ)

・どんな人がなりやすい?
 *自己肯定感が不足
 *見捨てられ不安
 *自己効力感の不足
 *権威的な両親による
  制限された家庭環境

・非主張タイプの特徴

自分の気持ちや意見を表現しなかったり、 しそこなったりするのがこのタイプの特徴です。あいまいな言い方や消極的な態度もこのタイプになります。

このタイプの人は「嫌われてしまうのでは…」「揉め事がおきるのでは…」という不安から、自分の意見を主張することを避けます。

また、相手を大切にしなかったことで集団や社会から排除させることを恐れている心理も働いています。

アサーション3つのタイプノンアサーティブ

③アサーティブなタイプ
(攻撃的・非主張定な黄金律)

・どんな人がなりやすい?
 *自己肯定感が育っている
 *幼少期に安定した愛着形成
 *基本的信頼感が高い
 *自己効力感がある
 *ソーシャルスキルが高い

・アサーティブタイプの特徴

 自分の気持ちを正直に率直に、その場にふさわしい方法で表現できます。 そして相手が自分と同じように、意見をすることもすすめることができます。

このタイプの人は、相手と意見がぶつかったときには、互いに意見を出し合い、譲ったり譲られたりしながら双方が納得のいく結論を出そうとします。

3つの自己表現の中では一番理想的なタイプです。

3つのタイプとストレス状況

学生180名(男性75名・女性105名)を対象に、無記名式の質問紙を用いて、アサーションとストレス反応について調査を行いました。

3つの自己表現と対人ストレスの割合

攻撃的タイプの人
いずれの対人ストレスについて、ストレス反応が高い傾向が分かります。

非主張的タイプ
アサ―ティブタイプの人と比べてストレスを感じやすく、対人劣等を高く感じる傾向にあることが分かりますね。

アサ―ティブなタイプ
いずれの対人ストレスについて、ストレス反応が少ない傾向が示されています。

つまり、自分の意見を率直に主張でき同時に自分の意見も需要できる人(=アサ―ティブタイプ)は、対人関係においてトラブルが生じにくく、良好な人間関係を築くことができるといえます。

アサーティブなタイプ

3つのタイプ診断,チェック

皆さんは3つの自己表現についてどんなタイプでしょうか?以下気になる方はチェックしてみましょう。

次の質問について
当てはまる場合→○
当てはまらない場合→×
で答えてください。A・B・Cどの項目に〇が多かったかで診断していきます。

A項目
①相手の長所よりも短所が気になる(○・×)
②否定されるとイライラする(○・×)
③思い通りにならないと言葉が荒くなる(○・×)
④他人のミスに厳しい(○・×)
⑤人の話を聞かない(○・×)

B項目 
① 引っ込み思案である(○・×)
② 自分に自信がなく、ダメ出しが多い(○・×)
③ いつも相手の意見に合わせて行動する(○・×)
④ 相手に認められるために意見を変える(○・×)
⑤ 相手に反論されると言い返せなくなる(○・×)

C項目 
① 正直な気持ちを打ち明け相談する(○・×)
② 相互理解をしようと努力する(○・×)
③ 自分の意見を主張できる(○・×)
④ 意見の食い違いは話し合いで解決する(○・×)
⑤ 避難されても、自分を卑下せず、
 相手の意見も尊重できる(○・×)

さて解答がそろいましたか。A・B・Cの項目で、〇が多かった項目はどれでしたか?目安は以下の通りです。

0~1個・・・傾向は薄い
2~3個・・・傾向ややあり
4~5個・・・傾向がかなり強い

********結果********

A項目の○が多かった人
A項目が多かった人は、攻撃的タイプの可能性が高いです。自分の気持ちを優先させるあまり、自分勝手な行動になっていませんか。自己主張が強く、相手の気持ちや考えを軽視しがちかもしれません。

B項目の○が多かった人
B項目が多かった人は、非主張的タイプの可能性が高いです。日ごろから自分の考えより他者への気遣いを優先していませんか。自分の主張は控えめで、相手に譲ることが多いでしょう。

C項目の○が多かった人
C項目が多かった人は、アサーティブタイプの可能性が高いです。自分も相手も大切にした自己表現ができているでしょう。その場にふさわしい方法でコミュニケーションができているのではないでしょうか。

アサーションタイプをチェック

 

トレーニングの実際

ここからは、アサーティブコミュニケーションのトレーニング方法を解説していきます。当サイトでは
・個人向けの手法を6つ
・指導者向けのやり方を2つ
紹介します。アサーティブ力を高めるために是非ご活用ください。

「だから、あなたはダメなのよ!」
「そんなことは言うべきではない!」

このような表現はアサーティブコミュニケーションの世界で「YOUメッセージ」と呼びます。「YOUメッセージ」は相手の権利を侵すリスクがある主張法です。Iメッセージでアサーティブなコミュニケーション

これに対して、主語を「私」にする手法をアイメッセージと言います。アイメッセージは相手の領域を大事にしながら主張する手法です。

「今の言葉…(私は)少し傷ついたかも…」
「そっかあ‥‥(私は)なんだか残念な気持ちになるな」

このように自分の意見を伝えるとき主語を「私は~」にしてみると、批判的な印象がグッと軽減できます。具体的なやり方は以下のコラムで詳しく解説しています。

参考にしてみてください。

アサーティブのやり方「アイメッセージとは」

DESC法は段階に応じた主張法です。主張には段階があります。主張をする際は、まずはマイルドな表現から始め、だんだんと強くしていくのが基本となります。アイメッセージと合わせて練習すると、手法の引き出しが増えます。是非基礎として抑えておきましょう。

アサーティブの技法「段階的主張-DESC法」

同じ主張を何度も繰り返して断る手法です。しつこい人を断るときに効果があります。

相手が何を主張してきても、壊れたレコードのように同じことを繰り返すことで相手が諦めてくれる可能性が高くなります。壊れたレコード法

相手のプラスの面をみつけて他者尊重の姿勢をもつことです。最初からすべてを否定するのではなく、相手のいいところを認めたうえで、相手が受け入れられる内容で提案をします。非常にスマートな断り方です。

部分肯定法

感謝とセット法は、お願いなどを柔らかく断る技術です。断り方がアサーティブな人は「感謝できる部分をセットで伝える」ことが非常にうまいのです。断り方のコツを解説ただ単に断るのではなく、まずは「ありがとう」「頼りにしてもらえるんだ!」とポジティブに受け止めてから、うまく断っていきます。

アサーティブトレーニング「感謝+断り法」

限界点を設定することで、曖昧な状況を作らないようにする手法です。比較的トラブルが発生しそうな場合に、おすすめな方法になります。

限界点は、数字などで明確にすると、問題が起こりづらくなります。困った時には限界点を設定をして進めてみてください。

限界設定コラム「意味・手法・具体例」

皆でできる価値観ワーク

アサーティブを学ぶ方法として、もっとも分かりやすいのが価値観を使ったワークです。価値観は人それぞれ変わってくるため、グループの意見をうまくすり合わせる必要があります。

アサーティブを学校や職場できる「価値観ワーク」

断りワークとは

社交的な場面では、自分ひとりが不快な気持ちになってしまう状況がいくつもあります。そんな時、攻撃的にも、非主張的にもならずに、アサーティブに主張する練習です。

アサーティブを育む「断りワーク」子ども編
アサーティブトレーニング「断りワーク」大人編

長谷川ら(2004)は言語聴覚士の学生26名に対して、アサーティブ・トレーニングを実施しました。トレーニング実施前に、学生たちに以下の3つの尺度(基準)を測定してもらいました。

1.相互作用不安尺度(IAS)
人と相互作用することで生まれる主観的な
対人不安感を測定する尺度。

2.特性的自己効力感尺度(SES)
一時的ではなく、長期的な日常での自己効力感
を測定する尺度。

3.アサーティブ・マインド・スーケル(AMS)
「自己表現に対する肯定的態度」「他者尊重」「合理的信念」
「率直さへの確信」の4つの要素から構成されるアサーティブ傾向
を測定する尺度。

そして、アサーティブ・トレーニング後にもう1度測定してもらい、実施前と実施後の結果を比較しました。以下の表は「アサーティブ・トレーニング前後で得点が変化した人の人数」を表したものです。

アサーティブ効果

このように、「相互作用不安」は得点が下がっている人数が多く、「自己効力感」「アサーティブ」では得点が上がっている人が多いですね。

この結果からアサーティブトレーニングを行うことで、不安が減って自己効力感が高まることがわかります。さらに、アサーティブに主張できるメンタリティも身に付けられることが推測されます。

 

まとめ+お知らせ

入門①まとめ

コラム①の解説は以上となります。

アサーティブトレーニングを日本で広めた平木典子先生は、アサーティブを学ぶことで「目的や課題を達成する力」「人と共に生きる力」を伸ばすことができるとしています。

アサーティブは対人ストレスの軽減はもちろん、自分自身をより成長させる要素ともなるでしょう。まずは自分らしく行動することで、アサーティブをはじめてみましょう。

講座のお知らせ

もし公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・対人不安の改善
・暖かい人間関係を築くコツ
・無条件の肯定のコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。お知らせ失礼いたしました。それではコラム②に進みましょう!

助け合い掲示板

1件のコメント

コメントを残す

    • ひかり
    • 2019年5月16日 1:08 PM

    私は攻撃的タイプと非主張的タイプが同じでした。
    相手に遠慮してしまい相手に合わせることが多いです。
    そんな非主張的タイプですが相手に合わせることにストレスが溜まると、
    攻撃的な一面をお相手に見せてしまいます。
    アサーティブを習得するためには自分の存在を肯定する必要があると思いました。

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
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*出典・参考文献
三田村 仰(2008)「行動療法におけるアサーション・トレーニング研究」人文論究,58,3,95-107
園田雅代(2002-03)「 概説:アサーション・トレーニング」創価大学教育学部論集,52,79-90,創価大学教育学会
平木典子(1993)「アサーション・トレーニング-さわやかな<自己表現>のために-」金子書房
平木典子(2012) 「アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法」講談社
関口奈保美,三浦正江,安岡孝弘(2011)「大学生におけるアサーションと対人ストレスの関係性:自己表現の3タイプに着目して」ストレス科学研究 26巻,40-47