>
>
>
アサーションとは?意味やトレーニング方法を解説

アサーションとは?意味やトレーニング方法をチェック

日々のコミュニケーションでは、悩みがつきませんよね。ちょっとした言動で人間関係が悪化したり、逆にスムーズに行くこともあるため、コミュニケーションを円滑にするスキルは身に付けておきたいと思う人が多いでしょう。

そんなコミュニケーションスキルの中でも、人間関係のトラブル予防や改善に有効なのが「アサーション」です。本コラムでは、アサーションについての意味やトレーニング方法、スキルアップのコツを確認することができます。

みなさんはじめまして!社会心理学の専門家・精神保健福祉士の川島です。私は社会心理学の大学院で、成人のコミュニケーションについて研究をしてきました。現在では成人向けのコミュニケーション講座の講師として活動しています。そんな私が、本コラムで「アサーション」を解説していきます。目次はこちらです。

  • アサーションとは?意味・効果
  • 自己表現3つの種類と特徴
  • 自己表現のタイプをチェック
  • 相手と通じ合えない理由
  • 4つの方法で理想を目指す!
  • 5つの事例でトレーニングを
  • まとめ-身につく2つの力

しっかりとお伝えしたいので読み終わるのに8分ほどかかります(^^;ちょっと大変ですが、ぜひお付き合いください。

「アサーションとはどんな意味?」
「トレーニングでスキルが身につく?」
「コミュニケーションに効果があるの?」

アサーションに関する疑問を解消して、コミュニケーションスキルを高めていきましょう!

アサーションとは?意味や歴史、効果など基本知識

「アサーション」という言葉は、何度か耳にしたことがあるかもしれませんが、ここで改めてアサーションの基礎知識から、確認していきましょう。

アサーションとは、自分も相手も大切にする自己表現のことで、自他自尊の自己表現ともいわれています。アサーションでは

・自分の考えや気持を正直に伝える
・相手の意見や気持ちも大切にする

これら2つについて、状況に応じてバランスよく取り入れことが大切とされています。まずは自分のことを考え、他者にも配慮するという自己表現がアサーションです。

アサーションは日常のコミュニケーションに役立つ

実はアサーション(assertion)という言葉は、 英和辞典で調べると「主張」「断言」といった意味で紹介されています。そのため「実用的な主張法」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかしそれは違います。アサーションを学ぶことで、営業トークがうまくなる!話し方がうまくなる!というわけではありません。

アサーションの自己表現には「相手とどのようなコミュニケーションをするか」を考えていくて要素が含まれています。そのためアサーションを学ぶことで、よりよい人間関係のあり方を身に付けることができます。

日常生活では、言いたいことが言えなかったり時には相手を傷つけてしまう事もありますよね。そんな日々のコミュニケーションが、よりよくなる効果が得られるのが「アサーション」です。

アサーションが生まれたのは?

アサーションの始まりはアメリカです。1949年に出版されたSalterの「条件反射療法」が起源といわれています。当時のアメリカでは、精神的に問題のある患者は抑圧された環境にいました。Salteはこのような状況から、患者が人間的回復をするためには、主体的にアサーション(自己主張)することが必要だと主張したのです。

そして1950年代に入り、Wolpe(1958)が神経症の治療において、アサーションが不安抑制に有効であることを取り上げ、対人関係がうまくいかない人や自己表現が苦手な人のための、カウンセリング法として活用されました。

アサーションは、その後20年ほど精神医学の世界で、行動療法や対人関係療法の一部として発展することとなりました。

アサーションの意味や歴史を解説精神医療における活用だけだったアサーションが、広く知られるようになったのは1970年代に入ってからです。そのころアメリカで
・題名 Your Perfect Right(あなたの完全な権利)
・著者 ロバートアルベティ マイケルエモンズ

 というベストセラーになったアサーションの本があります。この本を契機として、人種差別や性差別を受けてきた人・特別な配慮やケアが必要な人の人権を守る方法として広がりました。また教育や福祉、産業などの分野にも広がり、現在では社会的スキルのひとつとして位置づけられています。

そして日本では 1980年代になってから平木典子先生がアサーションを「自己表現」と名付け、相互尊重のコミュニケーションと打ち出し、広まることとなりました。

アサーショントレーニングの効果

人権問題に関わるときの有効なコミュニケーションとして広がったアサーションですが、現在ではさまざまな場面でのトレーニング方法として活用が広がっています。

・「身近な人間関係」のトラブル予防
生活の広い範囲でアサーショントレーニングを取り入れることができます。親子関係や友人関係、夫婦や恋人、近所づき付き合いなど、日常生活にある習慣や価値観の違いから引き起こされるトラブルの改善や予防としても活用できます。

・「職場」でのストレス軽減や予防
企業研修では積極的にアサーショントレーニングが取り入れられています。セクハラやパワハラへの対処、職場うつの予防、高圧的な上司の態度の抑制など、職場でのよりよい人間関係をつくることに活用できます。またアサーションによる自己表現が、創造的な製品開発や企業運営の促進につながる効果も得られています。

・「学校」でのいじめ予防
学校ではいじめが問題となっていることから、相手も自分も尊重する意味でアサーションの研究が盛んです。

・「面接」など自己PRでの自己表現
海外では、求職者のためのアサーショントレーニングが盛んです。受験や入社などの面接試験では、上がってしまい十分な自己PRができないものです。自己PRのためのアサーションをトレーニングすることで、面接試験で満足できる自己PRも可能になります。

・「ストレス過多の職種」での健康保護や維持
ストレスが多い職業に就いている人へのアサーショントレーニングもあります。看護師やカウンセラー、医師や教師、サービス業など人との関りが多かったり、援助が中心となる職種は、自分の限界を超えて他者を優先しがちです。自分も他者も大切にするアサーションの考え方を取り入れることで、従事者の精神的健康の保護・維持につなげることが可能です。

自己表現3つのタイプ・特徴

アサーションの考え方を紹介した、アメリカの心理学者ウォルピィ(Wolpe,J.)は、人間関係における自己表現には3つのタイプがあるとしています。

① 攻撃的タイプ
(アグレッシブ)


② 非主張的タイプ
(ノン・アサーティブ)


③ アサーティブなタイプ
(攻撃的・非主張的の黄金率)

自分以外のタイプも理解しておくと、人間関係が安定しやすくなりますので、ぜひ全ての自己表現の理解を目指してくださいね。今回は3つの自己表現がイメージしやすいよう、アニメドラえもんのキャラクターに例えて紹介していきますね。

①攻撃的タイプ(アグレッシブ)

ドラえもんでいえばジャイアンタイプです。このタイプは、自分を最優先に考えます。そして時には他人を傷つけたり踏みにじるような行動をします。自分の主張ははっきりと伝えるが、相手の気持ちは置き去りの状態です。

このタイプの人は、「言い負かす」「命令する」「大声で怒鳴る」などの自己表現をします。また勝ち負けで物事を決めたり 相手より優位に立とうとしたり、巧妙に相手を操作しようとすることもあります。

アサーション3つのタイプアグレッシブ

・どんな人がなりやすい?
 *権力や権威のある人
 *知識や経験が豊富な人
 *自尊心が低く防衛的
 *自己愛が強すぎる
 *共感性が低い

・攻撃的タイプの注意点!
このタイプの人は、必要以上に威張る傾向があり、自分の意見や態度で相手をねじ伏せるため、結果的に意見が通ることが多いでしょう。しかし後味の悪い状況をつくることが多いため、利害関係でつながる人間関係を除き、敬遠されたり孤独になりやすいかもしれません。そのため、安定した人間関係を築くことが難しいといえます。

②非主張的タイプ(ノン・アサーティブ)

ドラえもんでいえばのび太タイプです。このタイプは、自分よりも他者を優先し、自分を後回しにします。自分の気持ちや意見を表現しなかったり、 しそこなったりするのがこのタイプの特徴です。あいまいな言い方や消極的な態度もこのタイプになります。

このタイプの人は「嫌われてしまうのでは…」「揉め事がおきるのでは…」という不安から、自分の意見を主張することを避けます。また、相手を大切にしなかったことで集団や社会から排除させることを恐れている心理も働いています。

アサーション3つのタイプノンアサーティブ

・どんな人がなりやすい?
 *自己肯定感が不足
 *見捨てられ不安
 *自己効力感の不足
 *権威的な両親による
  制限された家庭環境

・このタイプの注意点!
このタイプの人は、自分の欲求を抑える苦しさや相手から大切にされないみじめな気持ちから、欲求不満などが積もりがちです。また相手に対して「あなたの言うとおりにしてあげたのに…」といった恨ましい気持ちが残ってしまう事もあります。そして溜まった怒りが時には爆発したり、負荷に耐え切れなくなったときには、心身症になることもあるため注意が必要です。

③アサーティブなタイプ(攻撃的・非主張的の黄金率)

このタイプは、ドラえもんでいえばしずかちゃんタイプです。 自分の気持ちを正直に率直に、その場にふさわしい方法で表現できます。 そして相手が自分と同じように、意見をすることもすすめることができます。

このタイプの人は、相手と意見がぶつかったときには、互いに意見を出し合い、譲ったり譲られたりしながら双方が納得のいく結論を出そうとします。3つの自己表現の中では一番理想的なタイプです。

・どんな人がなりやすい?
 *自己肯定感が育っている
 *幼少期に安定した愛着形成
 *基本的信頼感が高い
 *自己効力感がある
 *ソーシャルスキルが高い

アサーティブなタイプ

・アサーティブは理想的?
ここで3つの自己表現と対人ストレスの関係を示した研究をご紹介します。

関口ら(2011年)は首都圏の大学に通う大学生180名(男性75名・女性105名)を対象に、無記名式の質問紙を用いて、アサーションとストレス反応について調査を行いました。その中で、3つの自己主張の中でアサーションタイプの人が、もっとも対人ストレス反応が出にくいことが分かりました。

3つの自己表現と対人ストレスの割合

グラフから、
攻撃的タイプの人は、いずれの対人ストレスについて、ストレス反応が高い傾向が分かります。
非主張的タイプの人は、アサ―ティブタイプの人と比べてストレスを感じやすく、対人劣等を高く感じる傾向にあることが分かりますね。
アサ―ティブなタイプは、いずれの対人ストレスについて、ストレス反応が少ない傾向が示されています。

つまり、自分の意見を率直に主張でき同時に自分の意見も需要できる人(=アサ―ティブタイプ)は、対人関係においてトラブルが生じにくく、良好な人間関係を築くことができるといえます。

・いろいろな自分がいる!
理想的なアサーティブですが、どんな状況でもアサーションできる人はいないといってもいいでしょう。多くの人は「誰か特定の人の前だと言えない…」「自分が親の立場になると攻撃的になってしまう…」など、自分と相手の関係や状況に応じて、攻撃的だったり非主張的だったりします。

このような状況は、長く作られた特定の行動パターンのため、状況ごとに習慣化されています。すぐには改善ができませんが、トレーニングをすることでアサーティブなコミュニケーションができるようになりますよ。

チェック!あなたの自己表現はどのタイプ?

ここで、自分の自己表現タイプをチェックしていきましょう。

次の質問について
当てはまる場合→○
当てはまらない場合→×
で答えてください。A・B・Cどの項目に〇が多かったかで診断していきます。

A項目
①相手の長所よりも短所が気になる(○・×)
②否定されるとイライラする(○・×)
③思い通りにならないと言葉が荒くなる(○・×)
④他人のミスに厳しい(○・×)
⑤人の話を聞かない(○・×)

B項目 
① 引っ込み思案である(○・×)
② 自分に自信がなく、ダメ出しが多い(○・×)
③ いつも相手の意見に合わせて行動する(○・×)
④ 相手に認められるために意見を変える(○・×)
⑤ 相手に反論されると言い返せなくなる(○・×)

C項目 
① 正直な気持ちを打ち明け相談する(○・×)
② 相互理解をしようと努力する(○・×)
③ 自分の意見を主張できる(○・×)
④ 意見の食い違いは話し合いで解決する(○・×)
⑤ 避難されても、自分を卑下せず、
 相手の意見も尊重できる(○・×)

さて解答がそろいましたか。A・B・Cの項目で、〇が最も多かった項目はどれでしたか?

アサーションタイプをチェック

結果
A項目の○が一番多い人
A項目が多かった人は、攻撃的タイプです。自分の気持ちを優先させるあまり、自分勝手な行動になっていませんか。自己主張が強く、相手の気持ちや考えを軽視しがちかもしれません。

B項目の○が一番多い人
B項目が多かった人は、非主張的タイプです。日ごろから自分の考えより他者への気遣いを優先していませんか。自分の主張は控えめで、相手に譲ることが多いでしょう。

C項目の○が一番多い人
C項目が多かった人は、アサーティブタイプです。自分も相手も大切にした自己表現ができているでしょう。その場にふさわしい方法でコミュニケーションができているのではないでしょうか。

アサーティブできない4つの理由

3つの自己表現から自分のタイプは確認できましたか。攻撃的タイプ・非主張的タイプの人の中には「なぜアサーションできないのだろう…」と思っている方もいるかもしれませんね。

アサーションが理想的なコミュニケーションだとわかっているのに、なぜ私たちはアサーションできないのでしょうか。ここでは、アサーションできない主な原因を4つご紹介します。

①自分の気持ちを把握できていない
自分の気持ちがはっきりつかめていない状況ではありませんか?自分の考えが不明確な状態では、アサーションできないのは当然です。

アサーションできない理由自分の気持ちを把握することが苦手な人は、幼少期に素直な自己表現をした経験が少なかったかもしれません。感情表現を嫌う大人に育てられた子供は自分の気持ちを抑えるため、自分の内面に鈍感になります。その結果、自分の気持ちがはっきりと把握できないのです。

アサーションでは、「自分の考えや気持を正直に伝えること」がもっとも大切です。自分の気持ちを把握することを第一にトレーニングをしていきましょう。

②結果や周囲を気にしすぎる
コミュニケーションするときに、結果や周囲の反応ばかり気にしていませんか?相手に伝わるかどうかを怖れていては、アサーティブにはなれません。

結果を気にしすぎてアサーションできないコミュニケーションでは「伝わる」ことが大切です。しかし伝わるかどうかは、自分の伝える行為と合わせて相手の受け取る行為にも関わるため、自分の努力だけはクリアできないことが必ずあります。伝わるかどうかを怖れていていてはコミュニケーションは成り立ちません。

アサーションで大切なことは、言いたいことが伝わるかどうかではなく、自分の気持ちを素直に伝えることができるかどうかです。まずは、自分の気持ちを精一杯の努力で表現することからトレーニングしていきましょう。

③アサーション権を理解していない
アサーションが基本的人権のひとつと理解していますか?アサーションは、自他自尊の自己表現ですから、基本的人権を守るための考え方です。アサーションには、「誰もが等しくアサーティブになってよい」という考えのもと様々なアサーション権があります。

たとえば
・自己主張する権利

「自分がツライと感じているとき」「誰かから権利を侵害されているとき」こんなときは自分を守るために、相手に伝えることをアサーションでは大切にしています。これは自分だけではなく相手に対しても同じです。
・自己主張しない権利
「職場で疲れきっているとき」「受験で友人は落ちて自分だけ合格した」こんなときは、伝えないということも選択できます。

アサーションは、自分の感情を伝えることも、伝えないことも状況に合わせて自由に選んでいいのです。自分の気持ちに素直になるトレーニングをしていきましょう。

④アサーティブな考え方が持てていない
常識に固く縛られていませんか?私たちは、たくさんの思い込みや正しいと感じたことを信じて生活しています。

たとえば
・物わかりのいい人は好かれる
・部下は上司には従うべきだ
・人を傷つけてはいけない
・愚痴はこぼしていけない
・負けることはよくないこと
このような考え方は、多くの人が子供のころから教わってきたでしょう。しかしよく考えてみると誰にでも適応されるわけではないことが分かります。しかし積み重なることで、当然のことのようになってしまうのです。

ものごとの常識は、時代や状況によって変化します。アサーティブなコミュニケーションでは、自分なりの考えを持って、対人関係で変化させることをが必要です。トレーニングで身に付けていきましょう。

アサーショントレーニングでコミュニケーション力をUP

ここからは、アサーショントレーニングに有効な方法を解説していきます。

アサーショントレーニングは、繰り返し実践することが大切です。その場にふさわしいコミュニケーションができるようトレーニングしていきましょう。

①「あなた」を「私」に変えてみよう

主語を「あなた」から「私」に変えることで、相手を傷つけない発言ができるようになります。

たとえば、相手に不満があるとき

主語が「あなた(YOU)」の場合
「だから、あなたはダメなのよ」
主語を「私(I)」に変えると
私はあなたの行動に悲しくなるの」

このように自分の意見を伝えるとき主語を「私は~」にしてみると、批判的な印象がグッと軽減できます。

このように主語を「私」にして伝える方法をIメッセージといいます。Iメッセージは、攻撃的タイプの人におすすめのトレーニングです。ぜひ普段から、主語を「私」する会話を心がけてみてください。

Iメッセージでアサーティブなコミュニケーション

次の文章は主語が「あなが(YOU)」になっています。Iメッセージに変えてみましょう。

問題1
「何度言えば、あなたはわかるの?」

問題2
 「あなたはいつも遅刻ばかり」

 

【解答例】
問題1
「何度言えば、あなたはわかるの?」
→「これは大事なことだから、あなたが覚えてくれると私は助かるよ。」

問題2
 「あなたはいつも遅刻ばかり」
→「私はあなたと会うのを楽しみにしてたから、ちょっと寂しい気持ちになったわ。」

 

②「感情」と「行動」を一致させよう

自分の感情を理解して、素直に表現することがアサーションコミュニケーションの第一歩です。ネガティブな感情も我慢することなく、適切に表現をしましょう。

たとえば、
貸した物をなかなか返してくれない友人が、随分前に貸したゲームソフトをやっと返してくれまた。友人は「ごめんね。返すの忘れてた」 と謝ってきました…。

このとき、あなたならどのように返しますか?「うん、大丈夫だよ」 と笑顔でフォローしますか?

表面的には笑っていても、心の中ではイライラしたり悲しかったり、内心モヤモヤしていませんか。ネガティブな感情は誰にでもあり 自然な感情です。たとえネガティブな感情だとしても、自分の感情に素直な表現をすることが大切です。

感情と行動を一致させてアサーティブする

自分の感情を理解して適切に表現していく方法を、次の状況でトレーニングしていきましょう。

【例文】遅刻クセのある友人がいます。あなたは、その友人と 旅行へ行くことになりました。しかし当日、その友人は 1時間遅刻してきました。待ち合わせ場所に現れた友人は 「ごめんね~」と謝っています。」

質問1
あなたなら相手にどのように返しますか?

質問2
このとき、あなたの心の中はどう感じていますか?また、行動と矛盾している点はありますか?

質問3
自分の心と一致する行動は?

【解答例】
質問1
あなたなら相手にどのように返しますか?
→「ううん、大丈夫だよ」、「じゃぁ、行こうか♪」「・・・あぁ、気にしてないよ。」

質問2
このとき、あなたの心の中はどう感じていますか?また、行動と矛盾している点はありますか?
→約束をないがしろにされているようでモヤモヤしてるが相手には笑顔で接して矛盾している。

質問3
自分の心と一致する行動は?
→寂しそうに「私は約束を大切にされていない ようで悲しい気持ちになったよ」と伝える。

 

③失敗してOK!ゆったりした気持ちで行動しよう

私たち人間は誰でも失敗をします。そして失敗はしてもいいのです。失敗したときはそのことに責任を持てばいいだけですから、失敗してもOK!ゆったりした気持ちで行動してみましょう。

アサーティブな断り方そもそも失敗は悪いことばかりではありません。 失敗することで、人間は学びます。 特に人間関係は「正解」というものがなく、経験からでしか学ぶことができないこともあります。しかし「失敗してはいけない」という前提があると 失敗を恐れて自分を守る行動を取ります。それを続けていくと消極的になり、失敗をしたときに過度に自分を責めたり他人を責めるようになってしまうでしょう。

「失敗してはならない」「成功すべきだ!」といった気持ちが 強すぎる方は「失敗してもいいし、そのときは責任を持てばいいや」くらいの気持ちで構えてみてはどうでしょうか。


過去の失敗経験をもとにトレーニングをしてみましょう。失敗経験の思い出すことで、怒りや悲しみなどが出てくるかもしれませんが、その時のありのままを感じてみましょう。

質問1
あなたの過去の失敗エピソードを 3つ、紙に書いてみましょう。

質問2
書きだした失敗エピソードを見つめて、どんな 気持ちになるのか自分の心を見つめてみましょう。

質問3
その験から、今のあなたが学んだと感じるものを書いてみましょう。

 

④状況・相談・譲歩で折り合いをつける

柔らかく断る方法を身に付けましょう。自己主張の中でも「断る」ことは、難しいと感じている人が多いと思いますが、「NOと断る」時には、クッション材を入れる気持ちで断るようにしてみてください。アサーションには、相手に言いにくいことも主張する権利があります。自信を持って素直に自己表現していきましょう。

アサーティブに断る方法

・例文でチェック!柔らかく断るとは?
【例文】上司からクライアントとの食事会に誘われた。彼女とデートする約束をしていたけど…。

このような状況でどのような断り方をしますか?攻撃的タイプなら「デートなので行けません!」とはっきり告げるかもしれません。このような表現は後味が悪く、組織内での評価がマイナスになる可能性も…。また「……分かりました!」とすべて引き受けていたら、負担が大きくなってしまいます。

例えば、こんな断り方ならどうですか。

「行きたのはやまやまですが、今日は外せない用事があります(状況)。いまの仕事が早く終われば、少しだけ顔を出すことはできるんですが…(譲歩)今回の食事会はどうしても行った方がいいでしょうか?(相談)」

状況を伝えて相談譲渡案を出しています。このように「NOと断る」時には、クッション材となる情報を入れて、柔らかに断るようにしてみてくださいね。

・チェック!3つのポイント
アサーティブな断り方のポイントは、以下の3つの内容を盛り込んで伝えるといいでしょう。

① 自分の気持ちと状況を伝える
相手に相談してみる
譲歩案を出してみる

自分の気持ちを確認して、相手と共有する内容が無いかをチェック!そしてなにか1つ提案してみましょう。コツは、提案を具体的にすることです。「できない」ではなく「一部はできる」「2日後にはできる」などポジティブな回答に近づく条件を添えるようにしてみましょう。先ほどの例を参考に、断るトレーニングをしていきましょう。

【例文】Aさんはおとなしく、口下手なタイプです。 新しい部署に配属されてから、慣れないながらも 頑張っていましたが、同僚や上司から色々な仕事を押し付けられることが多くなりました。Aさんはどんな仕事も引き受けていましたが、次第にそれが負担に感じるようになってきました。同時に気の弱い自分は舐められているような気もして、悔しい感情も湧いてきました。

そんなAさんに上司が声をかけました。
「悪いけど、今すぐにこの書類を作成して欲しいんだけど」

どのような返事をするといいでしょうか?

 

 

 

解答例
「今は他の業務をやっていて、時間的に余裕がありません(状況)。急ぎの業務が2日後に終わるので、その後なら手が回りそうですが…(譲歩)どの仕事を優先するかご指示いただけるといいのですが?(相談)」

組織の中では仕事ができる人ほど、仕事が回ってきやすいです。しかしそれを全て引き受けていたら、どんどん負担も大きくなってしまいますし、断ると立場が悪くなることも…。返し方ひとつで相手が受ける印象は、ずいぶん変わります。アサーショントレーニングを繰り返す中で、断るコツを身に付けていきましょう。

アサーショントレーニング5つの事例

ここにトレーニング用に、5つの事例をあげました。それぞれの状況においてアサーションなコミュニケーションを考えてみてくださいね。

事例1:友人の誘いを断りたいAさん
Aさんはギターサークルで仲が良い4人グループの一人です。サークルの後、頻繁に誘われる食事会に行くのがとても億劫に感じています。早く自宅に帰って子供の世話をしたいし、食事会での会話もうわさ話が多く気乗りしません。どうやって断るのがいいでしょうか。

事例2:オーダーの間違いを伝えたいBさん
Bさんはレストランでハンバーグランチを注文しました。しかし出てきたのはコロッケランチです。「ハンバーグを食べたいけど、店員さんに悪いな…」「感じの悪いお客さんだと思われちゃうかな…」という考えから、お店の人に伝えることができません。どのように伝えたらいいでしょうか。

事例3:夫婦のストレスを軽減したいCさん
cさんの夫は仕事が忙しく、自宅に帰るのがいつも夜中です。またクライアントから誘われた食事会で急に夕飯を外食することもしばしば…。たまに早く帰れば、ソファーでゴロゴロして家のことは全くしません。Cさんは「早く帰った日くらい家のこともしてほしい」と夫に告げたところ、「早く帰ったときくらい休憩したいんだよ!!」いつも喧嘩になってしまいます…。夫婦間のコミュニケーションでは、どのような態度がいいのでしょうか。

事例4:上司からの依頼を断りたいDさん
仕事ができるDさんは上司からいろいろな業務を任されます。上司からは「君は期待以上の成果を出してくれるから頼もしい!」と言われると、受けないわけにもいかないと思ってしまいます。大きなプロジェクトを抱えすぎてキャパオーバーになりつつあります…。先日また新たなプロジェクトへの参加の打診がありました。うまく断りたいと思っていますが、どのように伝えるのがいいでしょうか。

事例5:自分の気持ちを伝えたいEさん
部活の友人と卒業旅行の計画を立てています。みんなが行きたいと言っている場所に、自分は行きたくありません。記念の旅行なので自分も納得した場所に行きたいと思っていますが、自分の気持ちを通すのはわがままかも…と思っています。どのように伝えるといいでしょうか。

まとめ-アサーションで得られるスキル

アサーショントレーニングについて、アサーションの意味や歴史、考え方、そして具体的なトレーニング方法をご紹介していきました。いかがでしたか。

アサーションで得られるスキルアサーショントレーニングを日本で広めた平木典子先生は、アサーションを学ぶことで「目的や課題を達成する力」「人と共に生きる力」を伸ばすことができるとしています。

つまりアサーションで周囲とのよりよい人間関係が構築できれば、共生力が高まりさまざまな問題が解決でき、自己実現につながるということではないでしょうか。

アサーションは対人ストレスの軽減はもちろん、自分自身をより成長させる要素ともなるでしょう。まずは自分らしく行動することで、アサーションをはじめてみましょう。

コメント

1件のコメント

コメントを残す

    • ひかり
    • 2019年5月16日 1:08 PM

    私は攻撃的タイプと非主張的タイプが同じでした。
    相手に遠慮してしまい相手に合わせることが多いです。
    そんな非主張的タイプですが相手に合わせることにストレスが溜まると、
    攻撃的な一面をお相手に見せてしまいます。
    アサーティブを習得するためには自分の存在を肯定する必要があると思いました。

    0

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→
Twitter→

*出典・参考文献
三田村 仰(2008)「行動療法におけるアサーション・トレーニング研究」人文論究,58,3,95-107
園田雅代(2002-03)「 概説:アサーション・トレーニング」創価大学教育学部論集,52,79-90,創価大学教育学会
平木典子(1993)「アサーション・トレーニング-さわやかな<自己表現>のために-」金子書房
平木典子(2012) 「アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法」講談社
関口奈保美,三浦正江,安岡孝弘(2011)「大学生におけるアサーションと対人ストレスの関係性:自己表現の3タイプに着目して」ストレス科学研究 26巻,40-47