夫婦喧嘩を防ぐ「感謝の気持ち」を解説②
コラム①では、夫婦喧嘩について概観していきました。今回は「感謝の気持ちを持つ」についてご紹介していきます。
感謝がないと夫婦喧嘩に!
夫婦生活が長くなっていくにつれて、相手の存在が当たり前になっていませんか?もし、相手の日々の行動に感謝の気持ちを持てていないなら、夫婦喧嘩になりやすい状態だと言えます。
・妻なんだから料理するのは当たり前
・夫なんだから仕事して稼ぐのは当たり前
このような夫婦は要注意です。夫婦それぞれが行っている日々の行動は、お互いに支え合って生きるための営みです。「あなたがなければ、今の私はいない」という部分が確実に存在しています。
しかし、私たちは繰り返しの毎日を送っていると、夫婦の本質が見えなくなってしまうのです。
感謝が多い→離婚しにくい
感謝を表現しないと、相手に対してネガティブな感情が増えてしまう可能性もあるため注意が必要です。
Allen W. Barton(2015)ら米国ジョージア大学の研究チームは、468組の夫婦を対象に感謝の表現が結婚関係にどのような影響を与えるかを調べました。
以下は、女性の離婚のしやすさに影響する結果です。
このように、青いグラフの方が「離婚のしやすさ」が高いことが分かります。つまり、感謝の表現が少ない夫婦は離婚のしやすさが大きいと言えるのです。また男性での調査でも同じような結果となりました。
この結果から、感謝の表現が多いと離婚しにくくなることが分かります。夫婦関係が長くなると、感謝の気持ちを伝えることが恥ずかしくなるものです。
しかし、夫婦喧嘩を乗り越えるには日々「ありがとう」を伝え合うことが大切なのですね。
3ステップ!感謝を伝えよう
夫婦関係が長いほど、感謝できる部分が見つけづらくなります。これは、関係が深いほど相手が与える恩恵を無意識に受け取ってしまうためです。
そこで今回は、感謝できる部分を発見し、相手に伝える方法「もしパートナーがいなくなったら⇒ありがとう発見法」ご紹介します。
もしもパートナーがいなくなったら…と考えることで、日常生活に感謝するポイントを見つけていく方法です。具体的には、以下の3ステップで行っていきます。
STEP1:パートナーがいなくなったら?
STEP2:感謝ポイントに変換する
STEP3:すぐに伝える
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STEP1:パートナーがいなくなったら?
もしもパートナーがいなくなったら、どんなことが起こるかを日常生活の中で考えてみましょう。
例えば
・食事を作らなければならない
・朝起こしてもらえない
・家庭の収入が減ってしまう
日常の些細な出来事にも、目を向けることが大切です。夫婦の生活が長くなると、パートナーがいてくれること、やってくれることが当たり前になりがちです。
もしもパートナーがいなくなったら…と考えてみると、パートナーの存在があって、今の暮らしが成り立っていることに気付けるでしょう。
STEP2:感謝ポイントに変換する
STEP1で出した状況を感謝する言葉に変換してみましょう。
・食事を用意してくれてありがとう
・毎朝起こしてくれてありがとう
・家族のために働いてありがとう
感謝する気持ちに変換すると、パートナーへの「ありがとう」が生まれてきます。
STEP3:すぐに伝える
感謝の気持ちを持つことができたら、相手にしっかり伝えましょう。
ポイントは、その場ですぐに言うことです。時間がたつと感謝の気持ちが薄れたり、タイミングを逃しがちです。すぐに感謝の気持ちを伝えていけば、夫婦喧嘩につながるイライラや心のズレも修復に向かうでしょう。
また毎回同じ言葉を使っていると新鮮味が薄れてきます。言葉にもこだわって「感謝上級者」を目指しましょう。
例えば
・本当に助かっている
・○○できるのもきみのおかげだ
・おいしいね、ありがとう
・ありがとう!ホッとできる
・助かったわ!ありがとう。
・○○してくれて感謝してる
・すごく楽しい、ありがとう
・ありがとう!安心できたわ
・私を一番に考えてくれてありがとう
パートナーへの素直な感情を添えると「ありがとう」の言葉もイキイキしてきますよ。
事例で確認!ありがとう発見法
ここで事例をもとに「もしパートナーがいなくなったら⇒ありがとう発見法」を見ていきましょう。
結婚生活15年のタナカさん
タナカさんのプロフィール
・結婚15年目
・旦那さんと小学生の2人と暮らしています
タナカさんの状況
・共働きのため家事は分担して行っている
・旦那さんは、何事にも熱心で真面目
・ゴミ出しとお風呂掃除はやってくれる
・ただ、それ以外のことはお願いしないとやらない
タナカさんは「もう少し気配りしてくれたら…」とイライラした気持ちになります。そんなタナカさんのご主人のありがとうを発見していきましょう!
STEP1:パートナーがいなくなったら?
・ゴミ出ししてくれる人がいない
・家事を一緒にする人がいなくなる
・家族旅行が3人になってしまう
STEP2:感謝ポイントに変換する
・ゴミ出しをしてくれてありがとう!
・熱心にやってくれてありがとう
・家族4人でいられて幸せ。いつもありがとう
STEP3:すぐに伝える
ごみを出しの日…
ごみを出してくれてありがとう。今日はたくさんあったから大変だったでしょ。お疲れさま
家事をやってくれた時…
いつもありがとう。すごく助かったよ~またお願い!
家族4人の食卓で…
いつも家族のために、がんばってくれてありがとう。家族4人でいられると幸せだね.
ありがとうを見つけてしっかり伝えていくことで、タナカさん夫婦の幸福度もあがりそうですね。
実践!夫婦喧嘩を乗り越えよう
それでは実践編として、みなさんの日常生活の中から、パートナーへのありがとうをみつけて、感謝の言葉を作っていきましょう。
練習問題
STEP1: もしパートナーがいなくなったら?
⇒
STEP2:感謝ポイントに変換してみましょう。
⇒
STEP3:伝える場面を考えてみましょう。
⇒
いかがでしたか。日常を改めて見てみると、感謝できることはたくさんあるのではないでしょうか。パートナーがいなくなった時を考えて、ありがとうの場面をたくさん見つけてくださいね。
感謝することで幸せな人生を!
まとめ
今回は日常生活に感謝の気持ちを見つけて、伝えることの大切さをお伝えしました。日常に感謝の気持ちが増えてくると、イライラすることが減り一日一日が幸せな時間に感じられるようになると思います。
3つのステップでパートナーへの「ありがとう」をみつけたら、しっかり伝えてくださいね。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考資料・引用文献
Robert A. Emmons, Michael E. McCullough(2003)「Counting Blessings Versus Burdens: An Experimental Investigation of Gratitude and Subjective Well-Being in Daily Life」
Journal of Personality and Social Psychology 2003, Vol. 84, No. 2, 377–389
Allen W. Barton,Robert B. Nielsen(2015)「Linking financial distress to marital quality: The intermediary roles of demand/withdraw and spousal gratitude expressions」Wiley Online Library Personal Relationships Volume 22, Issue 3