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夫婦喧嘩の原因を伝え方で回避しよう

夫婦喧嘩を防ぐ「自他自尊のコミュニケーション」⑤

コラム①では、夫婦喧嘩について概観していきました。今回からは具体的な解決策を1つ1つご紹介していきます。少しおさらいすると「①現在地を知る」「②価値観の違いを受け入れ、歩み寄る」「③相手を尊重したコミュニケーション」「④共通の話題作り」「⑤感謝の気持ちを持つ」「⑥人間関係前向きメガネ」というものでしたね。

今回は「相手を尊重したコミュニケーション」の方法についてご紹介していきます。

「カチン」とくる言い方に注意!

普段の何気ない一言から、

・相手が不機嫌に…
・険悪な空気に…

・お願い事が直ぐに断られた
・ネガティブな捉え方をされた

など、夫婦の日常生活において、このような場面はよく見られるのではないでしょうか。

もちろん、夫婦の間で気になることや思ったことはきちんと伝え合うべきです。しかし、伝え方によっては相手を「カチン」と苛立たせたり傷つけてしまい、言い争いや夫婦喧嘩の引き金にもなりかねません。

夫婦のコミュニケーションの研究で有名な、ワシントン州立大学名誉教授のゴッドマン博士は
「円満な夫婦と破綻する夫婦の違いは、意見の対立を“喧嘩に発展させない会話術”を心得ていることだ」
と語っています。

パートナーへの遠慮や配慮がなくなってくると、ついつい文句や腹を立たせてしまう言い方をしがちです。または、表面的には穏やかでも、お互い不満を口に出さない場合は「冷め切った夫婦関係」というケースもあるでしょう。

いずれも良好なコミュニケーションとは言えませんね。そこで必要になってくるのが、相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の感情を率直に伝える「アサーション」という考え方です。

アサーションで夫婦喧嘩を回避しよう

アサーションで自分も相手も大切に

「アサーション(アサーティブコミュニケーション)」とは、1950年代のアメリカで心理療法として誕生した「相手を尊重しつつ、自身の主張も通す為の技法」です。

もともとは対人関係に悩む人々のための行動療法としてはじまりでしたが、その後、アメリカの人権運動に結びついたことで心理療法にとどまらず拡大しました。

そして日本へは、1980年代頃にもたらされ順化し、教育現場やビジネスの場、そして日常生活へと広がっていった手法です。

対人関係における、自己表現やコミュニケーションの仕方としては、次の3タイプに分けられます。

アグレッシブ型
自分の意見やお気持ちを優先するタイプ(aggressive/攻撃的)

ノンアサーティブ型
相手の意見や気持ちやを優先するタイプ(non-assertive/非主張的)

アサーション型
自分と相手両方の意見や気持ちを尊重するタイプ(assertion/主張)

夫婦関係においても、アグレッシブ型やノンアサーティブ型のコミュニケーションは、喧嘩やストレスの鬱積につながります。まずは、アサーション型のコミュニケーション、つまり「お互いの気持ちの尊重すること」を意識しましょう。

アイメッセージで愛を!

アサーティブな伝え方として有効なのが「I(アイ/私)メッセージ」です。

「I(アイ/私)メッセージ」とは、主語を「私」にして伝える方法で、相手を責めずに自分の気持ちを伝えられる言い方です。

例えば、

連日の飲み会で帰宅時間が遅い夫への妻の言い方で見てみましょう。

妻「なんで毎晩こんなに帰りが遅いのよ!」
夫「仕方ないだろ!仕事の付き合いなんだから!」

妻の言葉に対して、夫は逆ギレ気味に言い返しています。今にも夫婦喧嘩が始まりそうですね。

この夫婦のやりとりでは、妻の言い方の主語が“あなた(YOU)”になっている点が問題です。“あなた”を主語にしたメッセージは、YOUメッセージといい言われた相手は「責められた」「攻撃された」と受け取ります。そのため相手は反発心を持ってしまうのです。

妻はどのような伝え方をすれば、夫の反発心を防ぐことができたのでしょうか。

そこで有効なのがI(アイ)メッセージです。Iメッセージを使ったパターンを見てみましょう。

妻「なかなか帰ってこないから、毎晩すごく心配なんだからね~」
夫「ごめん…ちゃんと連絡をするべきだった。これからは気を付けるよ。」

ポイントは、主語が“私(I)”になっている点です。「私はとても心配になった」という気持ちを伝えることで、夫は「責められた」「攻撃された」とは受け取りにくくなります。その結果、妻の愛情と感じて素直に謝ってくる可能性が高くなるということです。

夫婦喧嘩にならないためには、“私”を主語にした「アイメッセージ」を使って気持ちを伝えましょう!それでは、以下の練習問題で、アイメッセージで伝える練習をしてみましょう。

アイメッセージの使い方

アイメッセージを実践する際は、いきなり本題に入るのではなく、まずはさりげなく相手に伝えることが大切です。先ほどの例をで言うと、以下のようになります。

1.非言語
⇒心配そうな表情を浮かべる

2.Iメッセージ
なかなか帰ってこないから、
(私は)毎晩すごく心配なんだからね~

3.提案
⇒遅くなる時は連絡してほしいな。

4.YOUメッセージ(最終手段)
⇒(あなたは)遅くなるなら連絡して。

このように、突然Iメッセージで伝えるのではなく、第一段階でさりげなく相手に気がついてもらうという方法を取ります。そして、Iメッセージを伝えて、それでも相手が応じてくれない場合は、最後の手ユーメッセージの強い表現で伝えます。

4ステップに分けることで、柔らかい表現になりトラブルをさけつつ、メッセージを伝えることができるのです。

アイメッセージで夫婦喧嘩を回避しよう

Iメッセージを練習しよう!

それでは、4つのステップを踏まえて練習問題に取り組んで行きましょう。次のYOUメッセージをIメッセージに変換してくださいね。

練習問題1
家事に非協力的な夫に対して
1.非言語
⇒「           」

2.Iメッセージ
⇒「           」

3.提案
⇒「           」

4.YOUメッセージ
⇒「           」

 

 

解答例
1.非言語
⇒「疲れた素振りを見せる」

2.Iメッセージ
⇒「トイレ掃除が本当に大変…」

3.提案
⇒「週1回でいいから手伝ってくれと嬉しいな」

4.YOUメッセージ
⇒「たまにはトイレ掃除くらいしてよ!」

 

 

練習問題2
趣味にケチをつけてくる妻に対して
1.非言語
⇒「           」

2.Iメッセージ
⇒「           」

3.提案
⇒「           」

4.YOUメッセージ
⇒「           」

 

 

解答例
1.非言語
⇒「悲しい表情を浮かべる」

2.Iメッセージ
⇒「大事にしている趣味を批判される
  と悲しい気持ちになる…」

3.提案
⇒「僕の趣味を理解してくれるとありがたいな」

4.YOUメッセージ
⇒「君はよさがわかってないな」

 

練習問題はいかがでしたか?夫婦喧嘩で激情にかられた妻の定番セリフ(?!)「あなたは私の気持ちなんて何にもわかってない!」も「YOU」を主語にした文句ですね。

YOUメッセージだと、相手の気持ちを逆なでして、より喧嘩を悪化させかねません。一方、「私はこう願っているんだけどな…」とIメッセージにしてみると、一気にしおらしく柔らかい印象になります。相手にも気持ちが伝わり、責める感じも軽減されるのです。

Iメッセージが夫婦喧嘩の仲直りのコツ

伝え方次第で夫婦喧嘩は防げる!

「アサーティブなコミュニケーション」ができていると、お互いに「大切にされている」と感じながら、良好な人間関係を築いていけます。長い夫婦生活の中では、時にパートナーに対しての不平不満や疑問が募り、変わってほしいと求めることも多々あるでしょう。

しかし、相手の非を責めるばかりではなく、自分のはたらきかけに変化を起こしてみることも必要です。日頃から「アサーティブな伝え方」を意識することで、夫婦喧嘩は未然に防ぐことが可能なのです。

次回は、夫婦喧嘩を対策する2つ目の方法「共通の話題作り」についてお伝えしていきます!お楽しみに!

★アサーティブな伝え方で良好な夫婦関係!夫婦喧嘩を回避しよう

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人間関係講座

目次

①夫婦喧嘩-概観
②診断でチェック
③夫婦喧嘩レベル
④価値観の違いを越える
⑤自他自尊を身に付ける
⑥会話レスから脱却するコツ
⑦「感謝の気持ち」見つけ方
⑧人間関係前向きメガネ

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
ジョン・M・ゴットマン&ナン・シルバー(2017)「結婚生活を成功させる七つの原則/(翻訳)松浦秀明」第三文明社
平木典子(1993)「アサーション・トレーニング-さわやかな<自己表現>のために-」金子書房