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不信感を解決する「脱フュージョン」を解説

不信感を解決する「脱フュージョン」②

コラム①では不信感を解消できない3つの原因と解決策をあげました。具体的な解決策は、「脱フュージョン力をつける」「不安階層表で回避行動を克服」「適切な自己開示で相互理解」でしたね。今回は解決策の1つ「脱フュージョン力をつける」について解説していきます。 

不信感を強め心の読みすぎとは?

不信感が強い人の考え方の特徴に「心の読みすぎ」があります。

心の読みすぎとは「人の発言や行動の断片的な部分から、相手の気持ちを決めつけてしまう」思考の歪みの1つです。

例えば、友人にメールをして返信が無いとき、心の読みすぎをしてしまう人は

・きっと私のことが嫌い
・返信したくないにちがいない
・私が何か悪いことをした

などと捉えてしまいます。

このように返信が無いという断片的な情報だけで、相手の気持ちを決めつけ、ネガティブな状況を描いてしまうのが、心の読みすぎです。

返信が無いからといってネガティブな状況とは限りませんよね。友人は返信を忘れているだけかもしれませんし、何か他の事で頭がいっぱいなのかもしれません。

心の読みすぎが不信感につながる

心を読むことは、気が利くなど良い点もあります。しかし心を読みすぎてしまうと、相手への不信感が膨らんでしまい関係を悪くする要素にもなってしまうため注意が必要です。

ではどのように「心の読みすぎ」を改善すればいいのでしょうか。

考えと現実のごちゃまぜに注意

心の読みすぎで不信感が強い人は、認知的フュージョンを起こしている可能性があります。

認知的フュージョンとは、自分の「考え」と「現実」を混同し「考え」>「現実」を優先するプロセスのことを言います。フュージョンとは「混ざる、混同」という意味があります。

・考えすぎて苦悶する
・必要以上に悲観的に考える
・一度思い込むと修正が難しい

このような状況が思い当たる人は、認知的フュージョンを起こしているかもしれません(嶋, 柳原, 川井, & 熊野., 2014)。

認知的フュージョンが起こると、考えと現実の境目がなくなり、現実的にはありもしない考えを膨らませ、不信感の塊になるようなことが起こります。不信感の塊がある人は、この現実と考えの境目がなくなり苦悶しやすいのです。

不信感の克服。自分を振返る事からはじめてみよう

認知的フォージョンから脱するには、自分の考えから「考え」と「現実」を区別し、現実的な考えに修正することが必要です。

考えを客観的に見つめ、バランスの良い考え方をする「脱フュージョン」をすることで、ネガティブなイメージに振り回されることがなくなります。

3つの手順で不信感を克服

脱フュージョンは、3つのポイントで行えます。

①認知的フュージョンをやめる
まずは、ネガティブな考えに陥っている認知的フュージョンを発見します。具体的には、不信感を感じる状況における「思考」をチェックし認知的フュージョンを確認していきます。

②現実と考え方(心の読みすぎ)を分ける
思考が不信感に支配されている状況から抜け出す過程です。そのためには、思考を客観視するための言葉を用いて、思考と現実を分けていきます。この作業を現実検討と言います。

③脱フュージョン
心の読みすぎがあったら現実的な考え方に直します。「思考」と「現実」を区別する言葉を自分に投げかけ行います。

それでは事例で確認していきましょう。

脱フュージョンを実践

<例題>
大学生のカトウさんは、高校時代に付き合っていた彼氏に、ある日突然一方的に振られてしまいました。その後Aさんは、他の異性にあったとしても不信感に苛まれ、一歩踏み出すことに躊躇してしまい新しい恋愛ができないでいます。 

①認知的フュージョンをやめる
「異性は突然、自分を裏切る」

②現実と考え方(心の読みすぎ)を分ける
考え方「フラれたら恋愛はできない」
現実「1度フラれても、その後、新しい人と健康的な恋愛をしている人はたくさんいる。」

考え方「一方的にフラれた」
現実「一方的ではないかも…彼の中で不満がたまっていたのかもしれない。そういえば、毎回おごってもらっていた。」

考え方「突然フラれた」
現実「最近ツラそうな様子があった…、私の悩みばかりを聞いてもらって、彼の悩みを聞いていなかった」

③脱フュージョン
「人の気持ちは、変わるものだからそこは受け入れよう。今回は、私も惰性で付き合ってしまった感がある。コミュニケーションの在り方を学べば次の彼とは長くづづけられるかもしれない。突然裏切るという気持ちに巻き込まれるのではなく、成長の糧にして次の恋愛に進もう」

このように、自分の思考を外側から眺め、脱フュージョンを行うとイメージと自分の思考の間に距離がとれ、ネガティブな思考に巻き込まれなくなりますよ。

実践!不信感解消のコツを知ろう

それではここで、練習問題として、あなたに不信感が芽生える状況をチェックしてみましょう。

不信感を抱く状況

 

①認知的フュージョンをやめる

 

②現実と考え方(心の読みすぎ)を分ける

③脱フュージョン

 

 

解答例
不信感を抱く状況
⇒会社の上司が返事をしてくれない。先日提出した仕事に不手際があったのでは…私は嫌われているにちがいない。

①認知的フュージョンをやめる
⇒返事が無いから、自分が嫌われた

②現実と考え方(心の読みすぎ)を分ける
考え方「不手際があった」
現実「提出した資料の確認をしていなかった。状況を確認したほうがよさそうだ」

考え方「返事がない」
現実「もしかしたら聞こえてなかったかも。最近忙しそうだから他ごとで頭がいっぱいなのかも…」

③脱フュージョン
⇒「最近忙しそうだったから他ごとで頭がいっぱいだったかも。声かけのタイミングが取りにくい時は、メモ書きでもしようかな。確認が取りやすいかもしれないなー」

練習問題はいかがでしたか。認知的フュージョン・脱フュージョンの練習には次のようなメリットがあります。

・思考に飲み込まれていたことに気づく 
・現実を見ることができる 
・現実的な行動を取ることができる  

ぜひ日常生活の中に取り入れてみてくださいね。           

現実的な行動を目指そう! 

相手を信じられない気持ちが強くなったときには、認知的フュージョンを確認しましょう。そして脱フュージョンして現実的な行動を目指しましょう! 

不信感ができた体験は、とてもツラかったと思います。しかし、その思考に飲みこまれ続けることは、もっとツライことです。自分の不信感に気づいたらこの先どのように行動していきたいかに目を向けて、そのためにできることを始めてみましょう!

次回の不信感コラムでは、不信感を解消する方法の1つ「不安階層表で回避行動を克服」についてご紹介します。 

★不信感は認知的フュージョンを見直して解消!現実的な行動に変化させよう

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*出典・参考文献
嶋大樹, 川井智理, 柳原茉美佳, 大内佑子, 齋藤順一, 岩田彩香, … & 熊野宏昭. (2017).
Acceptance Process Questionnaire の作成および信頼性と妥当性の検討. 行動療法研究, 43(1), 1-13.



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