感謝の気持ちの伝え方,育てる方法
コラム1では感謝の気持ちについて基本的な解説をしてきました。今回は感謝の気持ちの伝え方「もしもいなくなったら⇒ありがとう発見法」について解説します。
感謝すると幸福度が高まる
心理学の研究では、日常的に感謝をすると幸福度が高まることが分かっています。
Allen W. Barton(2015)ら米国ジョージア大学の研究チームは、468組の夫婦を対象に感謝と幸福度の相関関係を調査しました。
それによると、日常的に夫婦間で感謝できているかが幸福度の指標になることが示されています。また積極的に感謝を伝える夫婦ほど、夫婦間の問題を乗り越えられる傾向があることも分かりました。
このことから、日常的に感謝する気持ちをもち、相手に積極的に伝えることで良好な人間関係を継続することができるといえます。
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ありがとうを見つけて・伝える
3つの手順:見つけて伝える
ありがとう発見法は、夫がいなくなったら…、母がいなくなったら…など、「もしも〇〇がいなくなったら…」と考えることで、日々の暮らしにありがとうを見つけていく方法です。以下の3つの手順で進めます。
①〇〇がいなくなったら
②感謝の気持ちに変換する
③すぐに伝える
今回は「母」の場合で進めていきましょう。
① 母がいなくなったら?
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もしも母がいなくなったら…どんなことが起きるか想像して書き出してみましょう。ポイントは、日常のちょっとした出来事にも、目を向けることです。
例えば
・日々の悩みを相談できない
・弁当を作ってもらえない
・洗濯をしてもらえない
母親や父親、家族が居てくれてやってくれることは当たり前になりがちです。もしも母がいなくなったら…と考えると、日々母親が支えてくれていたことに気付けるとおもいますね。
②感謝の気持ちに変換する
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①で出した状況を感謝する言葉に変換してみましょう。
・悩みを聞いてくれてありがとう
・弁当を作ってくれてありがとう
・お弁当を作ってくれてありがとう
感謝の気持ちに変換すると、「ありがとう」が生まれてきますね。
③すぐに伝える
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「ありがとう」が見つかったら、相手にしっかり伝えましょう。その場ですぐに伝えることが大切です。また感謝の気持ち「ありがとう」に素直な気持ちを添えると、より気持ちが伝わりやすくなります。
例えば
「いつもありがとう。本当に助かった」
「おいしかった!ありがとう」
「ありがとう。すごく楽しかった」
言葉にもこだわって感謝の気持ちを伝えてみましょう。
<カトウさん>
・課長職のサラリーマン
・営業職
・部下が5人
↓□で囲う 適度に改行を入れる
カトウさんは出張が多く、普段は事務所にいません。そのため事務所に戻った時には、仕事の状況を聞くなどして部下様子を気にかけながら良い雰囲気で仕事をしていました。
しかし繁忙期に入ってから部下の仕事のミスが続くようになり、加藤さんは日々イライラを積もらせるようになっていました。
「忙しい時だからこそ丁寧に仕事をしてほしい…」と思う気持ちが前にでてしまい、部下に強く注意することが増えてしまいました…。
そんなカトウさんから部下へのありがとうを発見していきましょう!
①部下がいなくなったら?
・事務所で仕事する人がいない
・仕事がスムーズに進まない
・繁忙期を乗り越えられない
②感謝の気持ちに変換する
・事務所をまもってくれてありがとう
・仕事を進めてくれてありがとう
・繁忙期も頑張ってくれてありがとう
③すぐに伝える
朝礼で…
「みんなのおかげで安心して営業にいけるよ。ありがとう!」
事務所に電話した時…
「仕事を進めてくれてありがとう。いつも助かっているよ」
部下の顔を見た時…
「いつもありがとう。みんなのおかげで繁忙期も乗り越えられそうだ」
感謝の気持ちをしっかり伝えることで、カトウさんも部下も気持ちよく仕事ができそうですね。
おりたたみ終わり
ありがとう発見法ー練習問題
それでは練習問題として、みなさんの日常生活に「ありがとう」を見つけて感謝の気持ちを作ってみましょう。
練習問題
① もしも〇〇がいなくなったら?
⇒
②感謝の言葉に変換してみましょう
⇒
③伝える場面を考えてみましょう
⇒
解答例
① もしも妻がいなくなったら?
⇒食事を作ってもらえない
②感謝の言葉に変換してみましょう
⇒毎日おいしい食事を作ってくれてありがとう!
③ 伝える場面を考えてみましょう
⇒食事を作っているとき
① もしも姉がいなくなったら?
⇒洋服を貸してもらえない
②感謝の言葉に変換してみましょう
⇒洋服を貸してくれてありがとう!助かってる
③ 伝える場面を考えてみましょう
⇒洋服を返すとき
感謝の気持ちを伝えよう
今回の日常生活の中に「ありがとう」を見つけて、感謝の気持ちを伝えていく方法をご紹介しました。日常の些細な事にも目を向けると、ありがとうがあふれていることが実感できると思います。積極的に感謝の気持ちを伝えて幸福感も高めてくださいね。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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*出典・参考資料・引用文献
・Robert A. Emmons, Michael E. McCullough(2003)「Counting Blessings Versus Burdens: An Experimental Investigation of Gratitude and Subjective Well-Being in Daily Life」
・Journal of Personality and Social Psychology 2003, Vol. 84, No. 2, 377–389
Allen W. Barton,Robert B. Nielsen(2015)「Linking financial distress to marital quality: The intermediary roles of demand/withdraw and spousal gratitude expressions」Wiley Online Library Personal Relationships Volume 22, Issue 3
花井菜月・宮本正一 2014 感謝が主観的幸福感に及ぼす影響 東海心理学会第63回発表論文集