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引っ込み思案を受入れて行動範囲を広げる「森田療法」を解説

引っ込み思案


引っ込み思案を「森田療法」で克服!行動範囲を広げる⑤

コラム④では、引っ込み思案が強い原因の1つ「引っ込み思案な考えに左右される」の対処法として認知療法を紹介しました。自分の考え方を客観的に捉えて、柔軟な思考を身に付けてくださいね。

今回は原因の1つである「行動範囲が狭い」を解決するためのコラムです。引っ込み思案が強いことへは「森田療法」という技法が効果的です。成功例・思考のポイント・練習問題を交えながら紹介していきます。

森田療法で引っこみ思案を緩和しよう

引っ込み思案の行動範囲を広くする森田療法

森田療法は、目的本位を重視している心理学の理論です。

目的本位とは、

「どんなに小さなことでもとにかく行動してみよう
「ちょっと面倒くさいけどやるだけやってみよう

あれこれ考えず、とにかく行動することで心身の健康を取り戻そうという考え方です。

引っ込み思案にも、この目的本位の考え方は有効です。引っ込み思案になっても、とにかく行動するということが大切です。

目的本位を重視することで、行動範囲が狭くなってしまう原因にとらわれることなく、行動ができるようになっていきます。

行動範囲を広げて引っ込み思案を改善しよう

森田療法で恐怖を受け止める

森田療法を使った治療について、舘野(2016)は森田療法により軽快した広場恐怖を伴う神経因性頻尿の1症例を報告しています。少し難しい表現になりますが、緊張する場面になると、おしっこをしたくなりますよね。

引っ込み思案な方の中には、緊張しすぎるあまりおしっこに頻繁に行ってしまう方がいるのです。当事例はそのような方が森田療法を活用した例になります。報告によると、

①入院後約1カ月間は尿意を感じつつ生活に
 必要な行動を優先して動ける体験ができた。

②患者自身に作業の負担が増えると
 自己決断ができず頻尿や
 身体症状が出現した。

③入院後出現した身体症状の心性は、
 頻尿の背後の対人恐怖心性と
 共通していると理解された。

④今までは頻尿と身体症状の背後に
 ある対人恐怖心性からさまざまな場面を回避してきた。

⑤そして、森田療法の中で
対人緊張がありつつその場面を
避けずに自分の意見を言えるようになっていった。

⑥退院後良好な経過をたどった

つまり、症状(対人緊張と対人緊張からくる尿意)がありつつも、目的本位で目的である「自分の意見を言う」ことができるようになった。そして、退院後は良好な経過をたどったと考えられたということです。

目的本位で目的のことをしながら、対人緊張と対人緊張からくる尿意を受け止めるということです。

引っ込み思案においても、目的本位で行動範囲を広げていければ、引っ込み思案が強いことを抱えつつも、目的である「行動範囲が広げる」ことができるようになります。

目的本位が引っ込み思案を緩和する

目的本位で行動範囲を広くする

森田療法ではまず
「感じている気分はそのままにして、とにかく行動を目的としよう」
といったように指導をします。

気分本位と目的本位の違いを簡単に見てみましょう。

気分本位
やる気になったら宿題をやろう」

目的本位
やる気がなくても宿題をやろう」

といったように、目的本位は気分に関係なく行動するということがポイントです。森田療法では、目的本位を重視して行動変容を図っていきます。

これを引っ込み思案にも適応して、なかなか積極的に行動ができない状態を解消していきましょう。

練習問題で目的本位を習得しよう!

それでは、ここからは練習問題を進めていきましょう。以下に引っ込み思案が強い場面を挙げますので、ご紹介した方法でそれぞれお答えください。

練習問題
友達同士で今度の長期休みにどこに行こうか話し合いをしています。みんな意見を言っている中、あなたは、人前で意見を言うと緊張してしまうので普段は意見が言えません。しかし、せっかくの長期休みで、友達同士で集まれることも滅多にありませんので、「海に行きたい!」と自分も意見を言いたいです。この時の気分本位、目的本位を考えてみましょう。

気分本位

 

目的本位

 

解答例
気分本位
何か変なことを言ってしまったらどうしよう。恥をかいてしまうかもしれないし、誘ってもらえなくなるかもしれない。意見を言うのはやめよう。

 

目的本位
話し合いでは意見を言うことを目的に行動する。緊張しながらも、意見を言ってみよう。あがりってもOk。意見を言うことを大事にしよう。

まずは行動!引っ込み思案を改善しよう

練習問題はいかがでしたか。引っ込み思案が強くて行動範囲が狭くなっていたら、こういった森田療法の目的本位を意識していきましょう。

ご紹介した気分本位を目的本位にすることを意識して練習を繰り返していきましょう。そうすることで、引っ込み思案が強くて行動範囲が狭い人でも、行動範囲が広くなり、行動力も上がるようになっていきます。

次回は、引っ込み思案コラムの最後です。これまで紹介してきた内容を一緒に確認していきましょう。

★とにかく行動!目的本位で考えて引っ込み思案を緩和しよう

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人間関係講座

*出典・参考文献
貝梅 江美・佐藤 正二 2000 引っ込み思案行動に対する集団社会的スキル訓練の効果 日本教育心理学会総会発表論文集 42, 412.
岡村 寿代・吉野 美和・佐藤 正二 2002 引っ込み思案幼児への社会的スキル訓練 : 仲間協力児の分析(2)  日本教育心理学会総会発表論文集 44, 573.
佐藤 正二・佐藤 容子・高山 巌 1993 引っ込み思案幼児のエントリー行動 : 言語的スキルの分析 日本教育心理学会総会発表論文集 35, 103.
舘野 歩 2016 入院森田療法により軽快した広場恐怖を伴う神経因性頻尿の1症例 心身医学 56,12,1224-1229.



目的本位で行動範囲を広げていこう