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信頼関係を築くために役立つ習慣をご紹介します

信頼関係


信頼関係を築くための習慣②

信頼関係を専門家が解説します

当コラムは「信頼関係」をテーマに、臨床心理士であるケイセンが解説しています。私は臨床心理士として主に病院の精神科・神経内科や高校・中学で働いています。引きこもりや青年期のサブカルチャー研究もしており、更に今年は予備自衛官の幹部に衛生科として任官する予定です。

全部で5コラムあります。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

信頼関係を築く重要性

コラム①では、なかなか信頼関係を築けない3つの原因をあげました。具体的には「信頼の習慣」「相手を信頼するための知識」「自分の振る舞い」でしたね。

今回は、信頼関係を築けない原因の1つ目「信頼する習慣」を身に付けるのが主題となっています。最初に、信頼する習慣を身に付ける2つのポイントをお伝えしましょう。

信頼関係は「とにかく信頼する」から

信頼関係は相手を信頼する事から信頼する習慣を身に付けるためには、理由や根拠を考えずとにかく信頼することが大事です。社会心理学では根拠に基づかなくても、相手が裏切らないと考えることが信頼であるとしています。その定義からしても、根拠なく相手を信じることが、信頼関係を築く事につながります。

実は、信頼する習慣があれば信頼関係を築くべき相手を見抜けるようなります。後で紹介する研究などから得られた仮説的な解釈ですが、他人を信頼している人の方が信頼できる相手を正確に判断できる傾向があると分かっています。

騙されることや裏切られることが不安かもしれませんが、その不安と共に最初の一歩を踏み出すと、少しずつ信頼できる相手を見抜けるようになるかもしれません。まずは「信頼」というものがどういうものかをよく理解してから、他人を信頼する習慣についてのお話をしましょう。

「安心」と「信頼」の違いは?

まず、下の3つの考えをみなさんは同じような信頼だと考えるでしょうか。

信頼関係の理解を深める(1)
相手は自分のことを裏切るはずがない。裏切ったら相手も損をするからだ。
(2)
相手に協力をしよう。ただ自分が損をしないように、ちゃんと保険をかけておこう。
(3)
自分はきっと裏切られないだろう。自分を裏切ったら相手は得をするかもしれない。でも裏切らないだろう。

社会心理学における「安心」と「信頼」には、明確な区別があります。結論から言ってしまうと、

(1)→安心
(2)→安心
(3)→信頼
です。詳しく解説しましょう。

 

・確実に裏切られないから協力をする
・裏切られても損をしない協力をする

このような場合には他人を信頼していると表現せず、安心していると言います。上の例だと、(1)(2)が該当します。

つまり、相手が信頼に値しなくても自分が損をしないと分かっている状況で協力するのは、「安心」に基づいているのです。このような例は日本において身の回りにたくさん存在します。

例えば、
・賃貸物件契約の保証人
・担保

賃貸物件契約の保証人は、貸す相手をあまり信頼できなくても自分が損をしないように保証されます。そして担保は、債務者が返済不能に陥ったとしても債権者が損をしない仕組みになっています。これらの例のように自分が損をしないことが明確な状況での協力は「安心」に基づいていると言えます。

では「信頼」とは何なのでしょうか。簡潔に言うと信頼とは「安心できる根拠が無い状況で、相手が自分を裏切らないと想定すること」と言うことができるでしょう。上の例では(3)が該当します。

つまり、信頼をするということには基本的に確実な根拠に基づかないことなのです。世俗的な言い方をすれば、「信じる気持ちが大切」としか言えないものが「信頼」なのです。そうは言ったものの、その不安を少しでも低減できる事実はしっかりとあるので、それを少し紹介しましょう。

 

相手を見抜く力で信頼関係を

小杉・山岸(1998)の実験を報告しましょう。15通りの場面についての説明を読み、それぞれの登場人物の取る行動を予測し終えた後、他人を信頼することについての質問紙に答えるという実験を行いました。

その結果、他人を信頼しやすい人のほうが、他人を信頼できないかもしれない情報に敏感である傾向が出たのです。

菊地・渡邊・山岸(1997)も、コラム①で紹介した囚人のジレンマゲームを用いて、他人を信頼する傾向の強い人は他人が信頼できるかどうか正確に予測する傾向があることを示しました。

 

信頼関係を築くべき相手が見抜ける?!

信頼関係を築くべき相手が分かる先ほどご紹介した研究例で、他人を信頼する傾向にある人は相手の信頼性を正確に判断しやすい傾向が示されましたね。一体どうしてなのでしょうか。もしかしたら、それは彼らにしか分からないものなのかもしれません。

人を信頼するようになっていれば、自然と信頼関係を築くべき相手とそうでない相手を見抜けるようになるのかもしれません。他人信頼関係を築こうとする人は、最初から他人を信頼しないと決めている人よりも信頼関係を築くべき相手かどうかを見極めようとするのかもしれません。そうすることで、人の色々な側面に敏感になれるのでしょう。

さらには、普段から相手を信頼しようとする人は実際に裏切られることもあったでしょう。そこからどんな人が自分を裏切るのかを実感をもって学んだのかもしれません。一方で、裏切らないとわかっている相手としか普段接しないと、どんな人が利己的で自分を騙そうとしている人なのかを見破る機会がまずありません。それに、実際に騙されてしまう機会もありません。そうすると、どんな人が裏切るような人なのかを学べる機会も必然的に得られません。

信頼関係を築くべき相手かどうか見抜けるようになるためには、まずは他人を信頼してみようという習慣を作り、試行錯誤することが重要なのかもしれませんね。もちろん「お人よしは騙される」ということもあるでしょう。しかし、ちゃんと相手を見抜いて信頼できるようになれば、自分が得をすることも多くなるでしょう。「虎穴に入らざれば虎子を得ず」が原則となるのです。

 

信頼関係を築いていこう

少し長くなりましたが、信頼の本質の一つを理解してもらえたら幸いです。相手を疑ってかかっている習慣を急に根拠も無く変えるのは大変だと思いますが、積極的に信頼関係を築こうとする姿勢はその先にはきっと自分にとって今よりも望ましい人間関係が待っているかもしれません。勇気を出して信頼関係を築いていきましょう。

さて、今回の信頼関係コラムでは「根拠がなくても信頼をする」ことについて紹介しましたが、判断材料が全く無いわけではありません。相手を信頼する為に少しでも判断材料とできる情報として、次の信頼関係コラムでは、「相手を信頼するための知識」についてご紹介します。

★信頼関係を築くために、まずは相手を信頼する事から始めてみよう

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*参考文献
・小杉 素子 ・山岸 俊男 (1998) 一般的信頼感と信頼性判断 心理学研究, 69, 349 – 357 . 
・菊地雅子・渡邊席子・山岸俊男1997 他者の信頼性判断の正確さと一般的信頼―― 実験研究――  実験社会心理学研究,37,23-36.



まずは相手を信頼する事から始めよう