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別れの辛い気持ちには「喪失の5段階」

別れの辛い気持ちには「喪失の5段階」②

コラム①では、別れをうまく克服できない3つの原因をあげました。具体的には「①心の整理ができていない」「②別れ以外のことが考えられない」「③一人で悲しみを抱え込む」でしたね。今回は原因の1つである「心の整理ができていない」の対処法として「喪失の5段階を意識する」を解説していきます。

別れから人は立ち直ることができる

心理学の世界では、人間関係の中では、別れに関してさまざまな研究がされています。ここでは、家族の死による別れについて研究を見ていきましょう。

豊田(1996)は、家族の死による別れの研究で以下のようなことを報告しています。

家族の別れについての研究結果この表では
「ほとんどの人が別れから6ヶ月前後で立ち直っている(豊田,1996)」
ということが分かります。

心の整理には別れの回復過程を理解

別れをうまく克服できない人は、

「別れがついさっきのように感じる」

「自分の気持ちがまとまらない…」

のように、気持ちが整理できず、考えが固まってしまう傾向にあります。固まってしまった気持ちや考えを、うまく整理していくためには、「喪失の5段階」という心理学の理論を知っておく必要があります。

別れにはある一定の回復過程があります。その過程をうまく通過して気持ちを整理することで、克服することができます。では、その過程について見ていきましょう!

喪失の5段階とは?

喪失の5段階とは、簡単に表現すると
「喪失体験から自らを取り戻していくための、大きく分けて5つのプロセス」
のことをいい、精神科医のエリザベス・キューブラ―・ロス(1926-2004)が提唱をしました。

5段階のそれぞれの内容について、小松崎(2006)は以下のようにまとめています(一部編成して掲載)。

1.否認
「そんなはずはない」と事実を否定する。事実からの逃避をし、歪曲しようとする。

2.怒り
適切な感情の表出が出来なくなり、情動の乱れ、特に怒りが強くなる。「なぜ、自分が」といったさまざまな、「なぜ」が施行の全景をなす。

3.取り引き
人生において自分の為しえなかった欲望をかなえてほしい、という思考になる。

4.抑うつ
自己内省的になる。孤立感が強くなる。周囲の事に無関心になり、思考は困惑状態を脱しようとしている。

5.受容
現実を受け入れようとする思考になる。

このように、喪失体験から自らを取り戻していくためのプロセスは、5つの段階に分けていくことができます。

現在の自分の「心の状態がどの段階なのか」を知ることで、焦らずに自分と向き合いながら喪失から克服していくことができます。

それぞれの「喪失の5段階」について、どのように対処していくかを確認していきましょう。

実践!練習問題で習得しよう

先ほどご紹介した喪失の5段階を踏まえながら練習問題を進めていきましょう。

以下に「別れの場面」を挙げますので、ご紹介した喪失の5段階の特徴を踏まえてそれぞれに当てはめて考えていきましょう。

練習問題
太郎さん(男性)
・2年交際していた花子さんがいた
・太郎さんと花子さんは同い年
・太郎さんはよく過去を振り返ってしまう性格
・太郎さんをよく理解してくれているAさんがいる

大学時代から花子さんと交際をしていた太郎さん。お互いに就職をして、仕事が忙しくなっていました。そのため、2人でいる時間も少なくなってしまい、電話をしても仕事の愚痴ばかりになってしまいました。こういった関係がつづいていたある日、太郎さんは花子さんに別れを続けられてしまい、その別れから克服できない日々が続いてします。心配をしたAさんがよく太郎さんに電話をかけてくれていますが、あまり話ができません。

太郎さんの別れを、喪失の5段階に当てはめて、どのようなことが考えられるでしょうじか。

1. 否認
⇒「               」

2. 怒り
⇒「               」

3. 取り引き
⇒「               」

4. 抑うつ
⇒「               」

5. 受容
⇒「               」

 

 

解答例
1. 否認

⇒「2年も付き合っていたのに、Bさんが別れたいはずがない。別れを切り出したのは、Bさんの本心ではない。」

2. 怒り
⇒「なぜ別れることになったんだ。なぜBは僕に別れを付けだんだ。僕はこんなにも思っているのに、許せない。Cに話を聞いてもらおう。」

3. 取り引き
⇒「もしやり直せるなら何だってしたい。もっといろいろなところに行ったりして、2人の時間を作りたい。」

4. 抑うつ
⇒「もう恋愛はやめた方が良いのだろうか。僕みたいな人が人と付き合えるはずがない。もしできても、長続きしないだろう。」

5. 受容
⇒「いつまで考え込んでいてもしょうがない。今回の事を教訓にして、これからを踏み出そう。何かやったことのないことに挑戦するのもいいかもしれない。」

喪失の5段階を意識して別れを克服する方法

別れを克服しよう

練習問題はいかがでしたか。別れを克服できないと感じてしまった時には、こういった喪失の5段階を意識していきましょう。

喪失の5段階は、無理に次の段階へ進もうとはせず、「今の段階を受け入れていく」ことや「少し前の段階に戻ってみる」と考えることが大切です。

ご紹介した喪失の5段階を意識して練習を繰り返す事で、別れをうまく克服できない特徴の「心の整理ができていない」状態を改善できます。

この特徴を改善できると、心を整理できるようになり、別れをうまく克服できるようになっていきます。

次回は、別れを乗り越える方法の2つ目「認知行動療法で視野を広げる」についてご紹介します。お楽しみに!

★喪失の5段階の特徴を大切に心が整理できているか確かめよう

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人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
小松崎 大助 2006 救急における心理ケア Dokkyo journal of medical sciences 33(3), 271-278, 2006-10-25.
Kuler-Ross,E.・川口 正吉・訳 1969 死ぬ瞬間 死にゆく人々との対話 読売新聞社.
豊田 幸子 1996 家族の死による立ち直りと死生観の変化 大阪大学臨床老年行動学年報 1,52-55.