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別れた事の捉え方を「認知行動療法」で修正

別れた事の捉え方を「認知行動療法」で修正③

コラム②では、別れを克服する方法として「喪失の5段階」について解説しました。回復の段階を確認して、辛い気持ちの緩和を自分のペースで行っていきましょう。今回は別れをうまく克服できない原因の1つ「別れ以外のことが考えられない」を解決するため方法として「認知行動療法で視野を広げる」について解説します。

考えが偏ると克服できない!?

別れをうまく克服できない人は、別れたショックで頭がいっぱいになってしまい、ネガティブな感情や、否定的な結論を出してしまう傾向にあります。こうなってしまうと、

など、生活でも支障が出てくる場合があります。

「仕事中でもやる気が起きない」
「次の恋愛に前向きになれない」

こうした状態は認知行動療法でいうと、「感情的決めつけ」や「過度の一般化」といった“認知の偏り”と呼ばれるものです。

特に、別れといった、心に強いショックを受けると、認知の偏りが大きくなってしまうことがあります。

認知の偏りと別れを克服する方法では、別れで頭がいっぱいになった状態から、うまく切り替えていくにはどうしたらよいでしょうか?それには、認知行動療法を使った対処法が有効です。

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、物事の受け止め方や行動パターンを見直すことで、気分の改善を図るカウンセリングの一種のことです。近年では、うつや不安、ギャンブル依存などの治療に用いられていることが多い療法です。

簡単に説明すると、別れたショックから過度の一般化をしてしまうような認知の偏りを柔軟にすることです。偏ってしまった考えを否定するのではなく、「他にどんなことがあるだろうか」と視野を広げることです。

過度の一般化とは、
「今回一方的に別れを告げられたから、次に恋人ができたとしても、また一方的にフラれてしまうだろう
といったような、他の事についても同じ結果になってしまうと決めつけてしまうことです。

この認知行動療法を応用して、別れのことに考えが偏ってしまった状態から柔軟な考えができる状態にしていきましょう。

ここからは認知行動療法が別れにどのような効果をもたらすのかを事例をもとに見ていきましょう。

別れが起因の疾患にも効果あり!

これまで、心理学の世界では、認知行動療法についてさまざまな研究がなされてきました。その成果もあり、認知行動療法は我々の普段の生活の中だけではなく、病院の現場などにも多くの場面で実践をされています。

その中で、森田ら(2008)は別れが起因の神経性食欲不振症患者に対して「認知行動療法」を行った事例を次のように報告しています。

<事例>
・恋人との別れをきっかけに患者は痩せ始める。

・その後、過食嘔吐が始まる。

・症状改善のために入院をする。
↓(治療開始)
・家族に会いたい気持ちが強くなり、他の患者の食べ残しを食べてしまう。

・家族への強い思いと衝動性の強さが面接のテーマとなる。

・「極端に考える気持ちが和らいだ。」と語るようになった。

この事例について、森田ら(2008)は
「治療者は、支持的かつ一貫した態度で治療継続の必要性を、家族と共に話し合うことが、患者の頑なな認知の変容に有用であった。」
としています。

このように、別れによって発症した症状も、認知行動療法によって改善できた症例も報告されています。

別れを克服!認知行動療法の基本

わたしたちの感情や行動は、出来事の認知(捉え方・考え方)で変わってきます。同じ出来事を体験した人が、みんな同じ感情や行動にならないのは、認知の仕方がそれぞれ違うからです。

別れから克服できない人は、別れという出来事で「過度の一般化」などの認知に偏りが生じています。認知行動療法で、認知の偏りを修正して合理的な考え方ができるようになることで辛い気持ちの改善が図れます。

以下の図を使って、認知行動療法のやり方を説明します。

認知療法の捉え方の例

図では「恋人と別れた」ことについて、2つの捉え方があります。

上は、
考えが偏ってしまい、克服ができていません。

下は、
考えを柔軟にしたことで、克服ができでいます。

ポイントは、「出来事」に対して「認知(考え)」を柔軟にしていくことです。この「認知(考え)」を柔軟にした結果、「気持ち(感情・行動)」が変わっていきます。

練習問題で習得しよう!

先ほどご紹介したポイントを踏まえながら練習問題を進めていきましょう。

以下に「別れの場面」を挙げますので、ご紹介したポイントを踏まえてそれぞれに当てはめてお答えください。

練習問題1
事例:花子さん(女性)
・3年交際していた太郎さんがいた
・太郎さんは2歳年下の男性
・花子さんは断定的に物事を考えてしまう
・花子さんはよく過去を振り返ってしまう性格

<出来事>
花子さんと太郎さんは交際をして3年の月日が経ちました。お互いに働き盛りなため、なかなか会うこともできず、関係もなかなか発展しません。花子さんは太郎さんとの結婚を考えていましたが、太郎さんがなかなか決断ができず、先延ばしになっていく日々でした。そんな中、とうとう花子さんがしびれを切り出し、別れを告げてしまいました。その日以降というもの、花子さんは「今度、どのような人と交際しても、太郎さんと同じような関係になって、結局別れてしまうんだ・・・」と過度の一般化をしてしまい、別れから立ち直れていません。

事例の花子さんの別れを、ポイントに当てはめて、どのようなことが考えられるでしょうか?考えてみましょう。

【認知行動療法をする前】
・認知(考え)
⇒「             」

・気持ち(感情・行動)
⇒「             」

【認知行動療法の治療後】

・認知(考え)
⇒「             」

・気持ち(感情・行動)
⇒「             」

 

解答例
【認知行動療法をする前】
・認知(考え)
「今度、どのような人と交際しても、Bさんと同じような関係になって、結局別れてしまうんだ・・・」
・気持ち(感情・行動)
「同じことになってしまうのなら、もう誰とも交際したくない」

【認知行動療法の治療後】
・認知(考え)
「Bさんとの関係が別れたからといって、他の人との関係も同じになるとは限らない」
・気持ち(感情・行動)
「また新しい関係を築き上げていこう。視野を広くしていこう」

認知行動療法を活用して柔軟に捉えよう

柔軟な考え方で別れを克服しよう

練習問題はいかがでしたか。別れを克服できないと感じてしまった時には、こういったポイントを意識していきましょう。

ポイントは、無理に今ある認知を変えようとはせず、「このような考え方もあるかな」や「こういった捉え方も良いのかもしれない」と考えることが大切です。

ご紹介した認知のポイントを意識して練習を繰り返す事で、別れをうまく克服できない特徴の「別れ以外のことが考えられない」状態を改善できます。

この特徴を改善できると、考えが柔軟になり、別れをうまく克服できるようになっていきます。

次回は、別れに対処する方法の3つ目「ソーシャルサポートの活用」についてご紹介します。お楽しみに!

★考えを変えるのではなく柔軟にする!偏りをチェックして別れを克服
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人間関係講座

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


ブログ→
YouTube→

*出典・引用文献
森田 千尋・横山 寛明・井尾 健宏・河合 啓介・瀧井 正人・久保 千春 2008 精神性食欲不振症の入院患者の退院要求とその対応 心身医学 48, 6, 520.