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自己同一性拡散,アイデンティティクライシスの意味

アイデンティティ拡散

アイデンティティ拡散

確立と拡散

入門①の復習をすると、アイデンティティ確立とは、「自分とは何か」を確立していくことを意味していました。

しかし、アイデンティティは簡単に確立できるものではなく、拡散する時期があるのです。

これをアイデンティティクラシスと言ったり、拡散と言ったりします。

定義,意味

「クライシス」とは英語の「Crisis」から来ています。そのまま「危機」という意味があり、日本語でアイデンティティ危機と表記されたりもします。

心理学辞典(1999)によると、アイデンティティ拡散(クライシス)は以下のように定義されています

自己探求を続ける青年が、多くは一過性的に経験する自己喪失の状態を指す。

アイデンティティ拡散(クライシス)は古典的に青年期の課題とされています。

これから社会生活を送っていく上で、自分らしさをどのように発揮していけばいいか?分からなくなってしまう状態を指します。

アイデンティティ 研究

拡散しやすい状況は?

起こりやすい場面

アイデンティティクライシスが起こりやすい場面はいくつかあります。

・学校などで進路を考えるとき
・転職など働き方について考えるとき
・環境になじめないとき
・外国などに行き異文化に接したとき
・自分の生き方を見つめ直したとき

アイデンティティクライシスは人生で1回だけではありません。何度も何度も形を変えて起こることがあります。

このことからEriksonも最初はアイデンティティ形成を青年期の課題であると言っていたのですが、のちに考えが変わり、生涯をかけた課題であると言うようになりました。

自分の軸の見つけ方

らせん式発達モデル

岡本(1994)も、自身の研究の中でアイデンティティクライシスは人生を通して何度も訪れ、何度も乗り越えていくことでアイデンティティが確立されていくと述べています。

モデルにすると下記のようになります。

アイデンティティ 拡散この図は、アイデンティティのらせん式発達モデルといいます。上に行くほどアイデンティティが確立できている状態を示しています。

つまり一生のうちでアイデンティティを形成できたかと思いきや、環境の変化や年齢を重ねるなどの要因でクライシスがやってくるのですね。

私たちはぐるぐるとらせんを描きながら絶えず、自分とは何か?を考え、理解していくのです。

メンタルへルスとの関連

アイデンティティクライシスの時期は心理的にマイナスの影響、プラスの影響があります。

対人恐怖心性と関連

谷(1997)は対人恐怖性心性などの関連を研究しています。そこでは、279名の大学生に質問紙を配布し調査を行いました。

その結果、対人恐怖性心性とアイデンティティクライシスとの間に-53.と中程度の負の相関があるという結果が報告されています。アイデンティティ 哲学これは、アイデンティティ危機がある場合、対人恐怖の傾向が出やすいと解釈できます。

Erikson自身もアイデンティティクライシスの時期は、
・他者と深い関係を築くことができない
・対人的距離の失調
・他者との距離感がつかめない
と指摘しています。

人生の意味を再構築

一方で、アイデンティティクライシスという時期は悪いものではありません。それは自分のあり方について見つめ直すことができるからです。

「どのように生きるべきか?」
「どうしたら人生に意味を見出せるか?」

といった様々な葛藤が中心になってきます。その渦中にいると辛いですが、この葛藤するという作業自体はとても大切なことなのです。

例えば、「大きな病気」をしたとき、闘病生活を通して人生の意味を再構築して、やっと自分の生きる目標が決まる方がいます。

大きな会社を作った経営者の方も昔は大きな借金を背負い、自分と深く向き合った・・・そんなことがよくあります。

アイデンティティクライシスは人生をトータルで見れば、危機を迎えてよかったということもたくさんあるのです。

人間関係とアイデンティティ

芯のある自分へ

 

*出典・参考文献
Erikson.E.H(1950) Childhood and society. New York: Norton.(仁科弥生(訳)1977,1980 幼児期と社会1・2 みすず書房)
谷冬彦(1997) 青年期における自我同一性と対人恐怖性心性 教育心理学研究 45号3巻 254-262
岡本祐子(1994)成人期における自我同一性の発達過程とその要因に関する研究 風間書房
中島 義明 子安 増生 繁桝 算男 箱田 裕司 安藤 清志 (1999)心理学辞典 有斐閣

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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