第二次反抗期の時期と対応・接し方「小学生・中学生編」③
反抗期コラム①では、反抗期の意味や定義、年齢、具体的な乗り越え方などを解説しました。
反抗期コラムの目次は以下の通りです。
コラム1 反抗期はいつまで?時期・対応
コラム2 第一次反抗期,接し方
コラム3 第二次反抗期,接し方
コラム4 反抗期がない原因,影響
反今回は「第二次反抗期の子どもへの接し方」を紹介します。
第二次反抗期とは?
第二次反抗期はいつ?
第二次反抗期は、小学校高学年から中学生くらいに起こります。はじまりの時期や反抗期の長さには個人差があり、反抗期がない子どももいます。
目安としては、12歳前後から16歳ころまで続くと考えるといいでしょう。
成長プロセス
子どもは、親に「反抗 ― 依存」を繰り返す中で、成長し自立していくと考えられています。
心理学者の小高(1998)は、大学生801名を対象に「親に対する態度」を調査しました。その結果、親に対する態度(親子関係)には4種類あり、自立までの過程にもなっていると考察されています。
密着した親子(A型)
親を尊敬し服従した親子関係。幼少期の親に依存した状態です。
矛盾した親子(B型)
矛盾や葛藤がある親子関係。第一次反抗期の状態です。
離反的な親子(C型)
親に反発し距離を置いた親子関係。第二次反抗期の状態です。
対等な親子関係(D型)
親を一人の人間として尊敬し感謝もしている親子関係。自立した状態です。
以下に図で表しました。
親子関係の変化が、自立に向けた成長の過程ということがよく分かりますね。
第二次反抗期の特徴
次に第二次反抗期の特徴を解説します。
禅問答がはじまる
思春期はその名の通り、考えはじめる時期です。世の中にあるルールや慣習に疑問が及びます。大人がしっかり回答できないと、筋が通っていないと反発をしたくなります。
なぜ茶髪がいけないのか?なぜ門限を守らないといけないのか?親もうまく答えられないような哲学的な問が始まります。
劣等感が増大する
他人と自分を比較し、理想と現実とのギャップに悩むことが多くなります。
この時期の子どもは、視野が広くなるとともに自分のことも周囲のこともよく見えるようになってきます。容姿や学力、運動能力の差を実感し、理想と現実のギャップに悩み葛藤するのです。
やり場のない不安やから、自らストレスを大きくしてしまうこともあります。
アイデンティティが拡散する
反抗期を上手に乗り越えられないと、アイデンティティが確立できず自己喪失に陥ってしまう可能性があります。
第二次反抗期の子どもは、自意識と客観的事実との違いに悩みさまざまな葛藤する中で、自分が考える「自分」を自覚するようになります。この「自分とは何か?」について答えられる状態を、自我同一性(アイデンティティ)の確立と言います。
一方でアイデンティティの確立ができない状態を「アイデンティティクライシス」と言います。社会生活を送るうえで、自分らしさをどのように発揮していけばいいか分からなくなってしまうのです。
非行行動につながる
学校での友人関係、学力や進路への不安、家庭の不安定さ、など思春期はストレスが大きくなります。一方で心はまだ未熟な状態です。心の葛藤の処理がうまくできないと、非行という負の行動として発露することがあります。
暴言、暴力行為、性的な逸脱、薬物がある場合はその背景にあるストレスを把握することが大事です。
抑うつ傾向が高まる
第二次反抗期の子どもは、抑うつ傾向が高くなりやすい傾向にあります。いくつかの研究では、抑うつ傾向を訴える中学生は20%を超えることが分かっています(参考:文部科学省)。
この時期の子どもは、急激な体の成長や変化に心の成長が追いついてくれません。
そのため心と体のギャップに悩みストレスを生む傾向にあります。容姿に不安や葛藤が生まれやすく、上手く処理ができない時には、自分の存在価値までを否定をしてネガティブな気持ちが高まってしまうのです。
第二次反抗期の対応
第二次反抗期への対応法には、以下の6つが挙げられます。
・暖かく見守る
・大人として接する
・限界設定はしておく
・信頼関係を改めて固める
・夫婦関係を円満に保つ
・親も余裕を持つ
まずは全体を概観してから気になるリンク先をクリックしてみてください。
暖かく見守る
まずは子どもを温かく見守ってあげましょう。反抗期は自立するための通過点です。さまざまな不安や悩みを抱えながら、心身共に成長をしていく子ども温かく見守ることが大切です。
子どもの反抗的な態度にはイライラしたり、批判したくもなりますが、子どもはいつか親から巣立っていきます。カリカリしないで日常での関りを大切に見守っていきましょう。
子どもには無条件の肯定ストロークを贈るようにします。
例えば、朝は「おはよう!」と挨拶したり、どんな時でも笑顔で迎えたり、ポイントは「どんな時でも・・・」です。〇〇だから・・△△だから・・・という特別な理由はいりません。
頑張っている子供を無条件の肯定ストロークでほめて、励ましてあげましょう。
大人として接する
第二反抗期の子どもの意見を聞く時には、ひとりの大人として接するようにします。
子どもが主張してきたときには、子どもの考えをしっかりと聞いてから親の意見を伝えるようにします。そのうえで話し合うようにしましょう。
大人の経験値からNGと判断できることでも、頭ごなしに否定することはしません。道筋を立てて丁寧に話し合うようにします。
心理学の世界には「アサーティブ」という表現方法があります。アサーティブは、自分も相手も大切にしたバランスの取れた自己表現方法です。
対等な関係で納得がいく結論を導くことができます。頭ごなしに叱ってしまう…という方は、以下のコラムをご覧ください。
限界設定はしておく
反抗期とはいえ、一線を越えた言動があった場合には、毅然とした態度で指導をすることが大切です。
例えば、
親に向かって「死ね」と言った場合
→子どもの発言にしっかりと怒る
門限22時を守らなかった場合
→ルールを破ったことをきちんと怒る
暴力をふるった場合
→暴力行為は絶対許されないと怒る
「反抗期だからしかたない…」と、子どもの反抗的な態度を放置すると、犯罪につながるまで問題が大きくなってしまう場合もあります。社会に出た時に許されない事、良くないことはしっかりとダメと伝え指導することが大切です。
第二次反抗期の子どもは、同じミスをしてしまうこともあります。子最低限守って欲しいルールなど、限界設定をして程よい距離感で子どもを見守るといいでしょう。
信頼関係を改めて固める
見守る姿勢を伝えて、親子の信頼関係を固いものにしましょう。
子どもが反抗的な態度を見せていても、親から完全に放置されてしまうと、寂しかったり不安を感じたりするものです。子ども態度に、極端な反応をする必要はありません。適度な距離感を持ちながら、見守る姿勢を伝えることで親子の信頼関係がしっかりと固められます。
大切なのは、日々の会話です。小さなことでも構いません、褒めたり、感謝したり、気持ちを言葉にして伝えます。「よかったね」「すごいね!」「ありがとう」など、何気ない言葉が「あなたを見守っているよ」というメッセージにもなります。
夫婦関係を円満に保つ
反抗期の子どもの心の安定には、夫婦関係を円満に保つことが大切です。
第二次反抗期の子どもは感受性が豊かです。夫婦が喧嘩をしていれば「原因は自分にあるのでは…」と考えたり、「自分のせいで両親は離婚できないのかも…」とも考えたり、「自分さえいなければ!」と衝動的な行動に走ってしまう可能性もあります。
夫婦関係が良好なら、心穏やかな家庭環境も整います。子どもがゆっくり休める場所があることで、反抗期の悩みや葛藤を上手に乗り越えることができるでしょう。
夫婦喧嘩が多い、夫婦が険悪な状態…という場合は、以下のコラムを参考にしてみてください。
菅原ら(2002)の研究では、1360名の母親を対象に、夫婦関係が子どものメンタルヘルスにどのような影響を与えるかを調査をしました。
その結果が以下の図です。
「父親と母親がお互いに愛情を持っている」場合
家族の雰囲気がよくなり、子どもの抑うつ傾向が低くなることが分かりました。
「母親が父親に愛情を持っている」場合
子どもに対しても暖かく接することができ、その暖かさが子どもの抑うつ傾向を下げることも分かりました。
つまり夫婦関係によって、子どもの精神的な健康が左右されるのです。
親も余裕を持つ
子どもと少し距離を置き、温かく見守るくらいの距離感で余裕をもって関わるようにします。
子どもの反抗的な態度に振り回されてしまうと、親の方が過度のストレスに悩まされてしまいます。「反抗期は自立に向けた通過点、いつかは終わる」と捉えて、ある程度見守るくらいの方がいいでしょう。
心理的に安定した状態で子どもと関わるには、8割くらいの力を心がけて見ましょう。子どもの反抗的な態度も、受け流しやすくなります。そして残りの2割で休憩することで余裕をもって子どもと関わることができるでしょう。
2割くらいサボってOK!という気持ちで、心に余裕をも子どもと向き合ってみましょう。
動画解説もあります。よかったら参考にしてください。
まとめ・お知らせ
まとめ
子どもの反抗的な態度は、不安や葛藤の表れです。干渉しすぎると子どもの反発が更に強くなってしまうこともあります。子どもの気持ちに寄り添いながら、見守りに徹する覚悟を決めて関わるといいでしょう。
反抗期の子どもに振り回されないためにも、80%くらいの力で関わり、適度に休息をとって子どもと関わってみてください。
夫婦関係が良好だと、家庭内で子どもが心穏やかに過ごせます。コラムの対策を参考に、第二次反抗期を上手に乗り越えていきましょう。
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