傾聴力を高める⑧質問の基礎,感情質問
当コラムでは傾聴トレーニングを体系的に解説しています。
①傾聴力を磨く方法・基礎練習
②事実のオウム返し
③感情のオウム返し
④言い換えのオウム返し
⑤自己開示
⑥肯定返し
⑦5W質問
⑧感情質問
⑨間の取り方
コラム7では、5W質問をご紹介しました。5つの項目に沿うだけで会話にボリュームが出せる簡単便利な傾聴スキルでしたね。
今回は質問の基礎「感情質問」を紹介します。相手との親密度が高まる傾聴スキルです。ぜひ身につけて、聴き上手を目指していきましょう!
「感情質問」とは?
感情質問
早速トレーニングを進めましょう。まず最初に、感情質問は、
前回紹介した5W質問にプラスの感情を加えて質問する傾聴スキル
です。ここで5W質問を改めて確認しましょう。5W質問は、次の5つでしたね。
・時間(When)
・人 (Who)
・場所(Where)
・特徴(What)
・きっかけ(Why)
この5つの項目に対して、プラスの感情言葉を付加していくのが感情質問です。プラスの感情言葉とは、
例えば、
・美味しい・楽しい・うれしい
・おすすめ・面白い・感動
・充実する・素晴らしい・美しい
・ドキドキ・ワクワク・最高の
・心地よい・優しい・かわいい
・魅力的・夢中になる・すごい
など、プラスのイメージがある感情を表した言葉です。
例えば、初対面の女性が
私は愛知県の出身です。
と言ったとします。5W質問で返す場合には、次のようになります。
・時間(When)
東京にはいつ来られたんですか?
・人 (Who)
愛知の方言や特徴は何ですか?
・場所(Where)
愛知のどの辺りの出身ですか?
・特徴(What)
出身地域の有名な場所といえば?
・きっかけ(Why)
東京に来られたきかっけは何ですか?
これに対して感情質問をすると、次のようになります。
新生活は、ワクワクしますか?
愛知県と東京都との違いで
面白い部分はありますか?
このように感情質問では、相手の感情に焦点をあてて質問を考えていきます。
感情質問,3つの効果
感情質問には、3つの効果があります。
人間味のある会話になる
感情質問は、5Wだけではわからない相手の深い気持ちを引き出す効果があります。うれしい・楽しい・面白いなど、感情を引き出すことで人間味のある会話ができるでしょう。
盛り上がりやすい
5W質問で、会話を続けることはできますが、無難な情報のやりとりになるため、やや冷たい印象になります。感情質問は、うれしい・楽しいなどの感情を引き出せるため、会話が盛り上がりやすいです。
深い部分で理解し合える
感情は個人に焦点が当たるため、深い自己開示になりやすいです。互いの好みや楽しみ方など、個人的な部分をしっかり交換しあうことで深い関係になれます。
感情質問-練習問題
感情質問のポイントがわかったところで、練習問題に取り組んでいきましょう!
練習問題
以下の発言について、プラス感情質問3つ考えてください。
金曜日の夜ごはんは、焼肉と決めています!
今度、大好きなUSJにまた行くことになりました!
昨日腕統計を買いました。
↓
それでは考えてみましょう。
↓
いかがでしょうか。解答例を見ていきましょう。
金曜日の夜ごはんは、焼肉と決めています!
↓
お気入りの部位はどこですか?
おすすめの食べ方はありますか?
最高!と思うお店はどこですか?
今度、大好きなUSJにまた行くことになりました!
↓
楽しみにしているアトラクションは?
おすすめのアトラクションは何ですか?
上手に楽しむコツをぜひ教えてください?
今週末に納車なんだ!
↓
車種を選ばれたポイントは?
納車後どこかに行く予定はありますか
すごいですね!今度ぜひ見せてください
注意点
感情質問には注意点もあります。それは、5W質問と同じく連発して使う事です。繰返し利用すると、マイナスの印象を与えてしまうことがあります。
使う時には、これまでご紹介してきたオウム返しや自己開示など、その他の傾聴スキルと組み合わせながら使うのがおすすめです。
またプラス感情の言葉を幅広く知ることも大切です。本を読むなど日常生活に語彙を増やすアイデアを盛り込むこともトレーニングになります。
仕上動画
動画解説もあります。動画を見る環境がない方は飛ばして読み進めてください♪
引き続き傾聴力をUPさせていきましょう!
傾聴講座のお知らせ
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連