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話し方教室は効果があるのか

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話し方教室は効果があるのか③

皆さんこんにちは。ビジネスコミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。

①話し方教室の種類
② 話し方教室の選び方
③ 話し方教室は効果があるか
④ 講師川島,騙された話

今回は「話し方教室の効果」について解説します。

話し方教室と効果研究

結論を先に申し上げますと、話し方の練習は効果があると言えます。私自身、大学院時代に100名ほどに研究を行い、実際に効果分析をしました。実験デザインの概要としては、参加者を

実験群
コミュニケーションが苦手でトレーニングを受けるグループ

比較群
一般的の方でトレーニングを受けないグループ

の2つに分けました。その後、約3か月の間に、6セッションのトレーニングを行いました。下記図は「発話力」のトレーニングの効果を表しています。

最初は一般的な方の方がスキルが高いですが、トレーニング後はほぼ同じレベルに達しています。続いて、傾聴トレーニングの効果分析を見ていきましょう。下記の図をご覧ください。

傾聴力も同じくトレーニング参加者のスキルが向上していることがわかります。

実は、このトレーニングには落ちもあり、脱落率が70%ほどありました。3か月、6回のセッションを継続するというのは非常に疲れるようです。

一方で、継続的にトレーニングを行い、最後まで完結された方は、結果を残していました。筋トレと同じように、3日坊主にならないで、練習を重ねれば会話力をつけることができるのです。

効果の実証は難しい

検証手順は手間がかかる

このように私は効果分析を行いましたが、実は講座の全ての効果を細かく検証できているわけではありません。私だけではなく、「効果がある」ことを科学的な手法で明らかにしている話し方教室は皆無だといえます。

なぜなら「効果があるかどうか」の判定は、統計学的に複雑な手続きを踏まないと立証できないからです。実際に講座の効果があったかどうかを判断するためには少なくとも、以下の手順が必要になります。

スキルを測る尺度を創る
講座を受ける人30人,受けない人を30人集める
少なくとも3か月程度,2 時点で測る必要がある

 

手間と時間がかかる

例えば人前で話す講座であれば、人前で話す上で必要なスキルを20項目ぐらいに細かく分けて尺度を作成し、これをあらかじめ統計的な手法できちっと信頼できるように整理しておきます。

そして尺度ができたら講座が始まる前と導入した後の2 回で測って、実際点数が上がっているかどうかを測るのです。これでも統計的にはかなり弱いのですが、最低限それぐらいはしなくてはなりません。大変な労力がかかるのです。

研修の効果を完璧に図るとなると、300万円程度はかかります。研修する側の資金的な体力がないために、これらの作業ができていないという現実的な問題もあるのです。

最低限の根拠は必要

このように効果を、完璧に分析することはほぼ不可能なのですが、間接的には効果を立証することはできます。それは他の研究者のやり方を参考にするということです。

例えば、「集団認知療法」という手法があります。Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。

研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法を施した群と施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。結果は下の図の通りです。

集団認知行動療法を施した群では、治療後に不安得点の度合いが改善しています。話し方教室は直接的な効果を実証できなくとも、最低限これらの研究を土台として作られていることが望ましいです。

講座を吟味する立場からすると、問い合わせをする際に、統計的に立証された手法をベースにしているか?聞いてみましょう。歯切れが悪い場合は避けた方が無難かもしれません。

 

コミュ力と遺伝の問題

コミュ力と遺伝の関係

話し方教室と効果を把握する上では、重要な論点として、コミュ力と遺伝の関係をおさえる必要があります。結論から言うと、コミュニケーション能力は

遺伝の影響があり、変化しない部分
遺伝の影響がなく、変化可能な部分

があります。行動遺伝学という分野では、コミュニケーション能力はざっと50%前後の遺伝率があるとされています。

例えば、私たちの身長は両親と似てきますよね。 どんなに努力をしても、自分でコントロールすることは難しかったりします。一方で、筋肉量は努力で結構改善できます。ジムに通って毎日筋トレすれば、だれでもそこそこムキムキになりますよね。

コミュニケーション能力も同じでかなり雑な言い方ですが、50%程度は、変化が難しく、50%は努力で改善できると考えると良いでしょう。

性格は変わらない,技術は身につく

コミュニケーション能力は、様々な要因の複合体です。性格、技術、環境…様々な要素が関連します。この点、特に「性格」については遺伝の影響が大きいことがわかっています。

社交的 神経質 協調性 好奇心旺盛 誠実さ

これらは根本的に変えるのは難しく、ある程度、自分の性格と折り合いをつけていく必要があります。一方で、「技術」については改善しやすい分野です。

オウム返し 肯定的に返す 話題をふやす 話題を膨らませる

これらは性格の影響はあれど、誰でも練習すればある程度のレベルまではできるようになっていきます。

性格と技術の違いを理解し、改善しやすい、しにくいの目安を立てておくのも、成果を出しやすくする上で大事になってくるのです。性格と遺伝の関係について詳しく知りたい方は以下の動画を参照ください。

性格と遺伝の関係(動画)

話し方教室-まとめ

最後に話し方教室と効果についてポイントをまとめます。

話し方のトレーニングは効果が実証できる
講座はある程度実証されたものを探す
ただし完璧な根拠を求めない
性格は変えるのではなくうまく付き合う
技術は改善しやすい,しっかり努力する

話し方教室に参加する際はこの4点をおさえておくと、過度の期待はせずに現実的にトレーニングができると思います。参考にしてみてください♪

次回は「話し方教室で騙された話」を私の実体験を基に解説します。お楽しみに!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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