反抗期がない原因,大人になったときの影響
反抗期コラム①では、反抗期の意味や定義、年齢、具体的な乗り越え方などを解説しました。
反抗期コラムの目次は以下の通りです。
コラム1 反抗期はいつまで?時期・対応
コラム2 第一次反抗期,接し方
コラム3 第二次反抗期,接し方
コラム4 反抗期がない原因,影響
今回は「反抗期がない原因と大人になった時の影響」について解説します。
反抗期がない人は半数いる
成長段階で経験する反抗期は、経験しない人も多くいることがわかってきています。
二森・石津(2016)が、大学生243名を対象に行った調査によると
反抗期がなかった人は114名
反抗期があった人は129名
と分かりました。割合でいうと、反抗期がなかった人は47%、反抗期があった人は53%です。反抗期がない人は、およそ半数程度いることになります。
反抗期がない人の4つのケース
反抗期がないケースですが大きく分けて4つのケースが挙げられます。
①反抗が小出しで目立たない
親がしっかりと子供と向き合い話しあう家庭は反抗期がないことがあります。小さな反抗をしっかり話しあうので大きな犯行に発展しないのです。このケースは健康的な心理になることが多いです。
②過保護
親が子どもに過保護な場合です。子どもの要望を親が叶えてくれると、子どもは大きな反抗を取らなくてすみます。そのため反抗期がなくなるのです。子供がわがままになり、家庭内暴力に発展することもあります。
③親が高圧的
親が子どもに高圧的な場合です。子どもの気持ちを一切聞かないため、反抗ができないのです。自己主張したい気持ちはあるものの、親とぶつらない行動をしてしまいます。深刻なケースですと虐待を受けていることもあります。
④親を助けるため
親が病気になっていたり、仕事が忙しく向き合えないときに反抗期がないことも。子供は反抗期を迎えないことで親を助けているとも言えます。しかし、甘えるべき時に甘えられないので、大人になってからも、気持ちを素直に表現できないこともあります。
大人になってからの影響
反抗期がない人は、大人になってからの影響はあるのでしょうか。この点について心理学の研究は少なく断定はできないのですが、現場感覚では、特に上記の②~④ケースでは以下の問題を抱えることがあると感じています。
問題を乗り越えられない
問題に直面したとき、乗り越えられない可能性があります。社会に出ればさまざまな壁にぶつかります。また乗り越えなければ先に進めないことも多いでしょう。
反抗期でさまざまな問題を乗り越えた経験が少ないと、問題に直面したときに適切な対処ができなくなるのです。
ストレスを抱えやすくなる
大人になってからストレスを抱えやすくなります。反抗期に自己主張をしておかないと、自分の意見に自信が持てず、他人任せの判断・行動が増えてしまいます。
大人になってからストレスを抱えることも多なり、心の不調を抱える事にもなってしまうのです。
アイデンティティの確立ができない
自分らしさを見つけられない可能性があります。第二次反抗期には、自我について思い悩み、自分が考える「自分」を自覚するようになり自我同一性(アイデンティティ)の確立をします。
アイデンティティの確立ができないと、自分らしさをどのように発揮していけばいいかわからず、社会人になってからも自分探しをしてしまうのです。
自己抑制する子どもへの対策
もし②~④にあてはまる場合は、親子のコミュニケーションに改善が必要かもしれません。当コラムでは以下の3つを提案させて頂きます。
・気持ちを受け止める
・感情コントロールをする
・無条件の肯定を増やす
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
気持ちを受け止める
まず最初に子どもの気持ちを聞くようにします。しっかりと受け止め、話を丁寧に聞くことが大切です。子どもの感情を受け止められない親の多くは、子どもの気持ちを頭ごなしに叱る傾向があります。「また叱られてしまうから…」という気持ちから、子どもは本当の感情を出せなくなるのです。
反抗期の子どもは、さまざまな主張をします。親にとってネガティブな主張や行動だとしても、まずは子どもの気持ちを受け止めましょう。気持ちを受け止めてもらえた経験が安心となり、自己主張できるようになるのです。
感情コントロールをする
子どもに対して感情的にならないようにします。自己抑制が強い子どもがいる家庭には、高感情出力(高EE) の親がいることがあります。感情表出とは、表情の出し方のことで表情や口調、態度などを指します。親が高EEの場合、子どもに対して批判や攻撃といった態度をとってしまいます。
感情をそのまま出してしまうと、家族全体のメンタルへルスに悪影響が出てしまいます。すぐに怒ってしまう、批判的な発言をしてしまう、という人は、感情的にならない練習で感情コントロールすることをオススメします。
無条件の肯定を増やす
子どもと関わる時には、ポジティブな表情・言葉・態度を心がけましょう。心理療法では、人とのポジティブな関り方を「肯定ストローク」と言います。例えば、笑顔やうなずき、肌をふれながら褒めてあげるなども肯定ストロークです。
無条件の肯定ストロークによって、親子の信頼関係でき子どもが安心して気持ちを打ち明けられるようになるでしょう。ストロークについて理解深めたい方はこちらのストロークコラムを参照ください。
まとめとお知らせ
まとめ
反抗期コラムの内容は以上になります。反抗期になると、どのように子供に接していけばいいかわからないなどの悩みがあるかと思います。
そこで大事なことは反抗期の特徴を知って、子供に寄り添って関わることが大事です。時期や性別による違いなども理解して関わってみてください。
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・無条件の肯定のコツ
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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引用文献・参考文献
・二森優希, & 石津賢一郎. (2016). 第二反抗期経験の有無と過剰適応が青年期後期の心理的自立と対人態度に与える影響. 教育実践研究: 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要, (11), 21-27.