反抗期がない原因,大人になったときの影響
反抗期コラムの目次は以下の通りです。
コラム1 反抗期はいつまで?時期・対応
コラム2 第一次反抗期,接し方
コラム3 第二次反抗期,接し方
コラム4 反抗期がない原因,影響
今回はコラム4として「反抗期がない原因と大人になった時の影響」について解説します。
反抗期がない人は半数いる
成長段階で経験する反抗期は、経験しない人が多くいることがわかってきています。二森・石津(2016)が、大学生243名を対象に反抗期のありなしについて調査を行いました。その結果の一部が下図となります。
図のように、反抗期がなかった人は114名、反抗期があった人は129名と約半々になっています。統計的には反抗期がないことは、ごくありふれていることがわかります。
反抗期がない人の4つのケース
反抗期がないケースですが大きく分けて4つのケースが挙げられます。
①反抗が小出しで目立たない
親がしっかりと子供と向き合い話しあう家庭は、反抗期がないことがあります。小さな反抗の段階でしっかり話しあうので、大きな反抗に発展しないのです。このようなケースでは特に問題はなく、子供は健康的な成長を遂げます。
②過保護
親が子どもに過保護な場合も反抗期がありません。子どもの要望を親が叶えてくれると、子どもは大きな反抗を取らなくてすむのです。弊害として子供がわがままになり、社会に出てから自分勝手になってしまいます。
③親が高圧的
親が子どもに高圧的なケースもあります。反抗すると、親が怒鳴り散らしたり、虐待をうけるため、子供は自分の気持ちを表現できなくなります。人の目を気にする習慣がつくため、大人になってからも対人関係で不安を覚えやすくなります。
④親を助けるため
親が病気になっていたり、仕事が忙しく向き合えないときに反抗期がないこともあります。子供は反抗期を迎えないことで親を助けているとも言えます。
しかし、甘えるべき時に甘えられないので、大人になってからも、気持ちを素直に表現できないこともあります。兄弟が多い、長女,長男にこれらの傾向がみられることがあります。
大人になってからの影響
反抗期がない人は、大人になってからの影響はあるのでしょうか。この点について心理学の研究は少なく断定はできないのですが、現場感覚では、特に上記の②~④ケースでは、以下の問題を感じています。
人間関係のいざこざに弱い
反抗期は親との議論を通して、お互いの主張を通したり、自分が折れたりを繰返していきます。その結果、お互いの価値観のちょうど良い落としどころを見つける力がついてきます。
しかし、反抗期がない方は、主張して譲らないか、我慢するかの両極端になりやすく、人間関係が極端になりやすくなります。
ストレスを抱えやすくなる
反抗期に自己主張をして、成功した体験が不足すると、自分の意思を表すことが苦手になります。ストレスを抱えても、自分で抱え込みがちで、心と体の不調につながることもあります。
アイデンティティの確立に問題
特に第二次反抗期は、根本的な価値観を疑う時期です。この時期に反抗期をむかえ、世の中の矛盾などを考えつくした人は、その後の人生で筋を通した生き方ができます。
一方で反抗期がない方は、自分で考える習慣がつかず、流されやすくなるかたがいると感じています。
自己抑制する子どもへの対策
もし②~④にあてはまる場合は、親子のコミュニケーションに改善が必要かもしれません。当コラムでは以下の3つを提案させて頂きます。
①気持ちを受け止める
②感情コントロールをする
③無条件の肯定を増やす
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
①気持ちを受け止める
子どもの感情を受け止められない親の多くは、子どもの気持ちを頭ごなしに叱る傾向があります。「また叱られてしまうから…」という気持ちから、子どもは本当の感情を出せなくなるのです。
反抗期の子どもは、さまざまな主張をします。親にとってネガティブな主張や行動だとしても、まずは子どもの気持ちを受け止めましょう。気持ちを受け止めてもらえた経験が安心となり、自己主張できるようになるのです。
子供の話の受け止め方がわからない…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
②感情コントロール力をつける
自己抑制が強い子どもがいる家庭には、高感情出力(高EE) の親がいることがあります。高感情表出とは、感情の振れ幅が強く、怒鳴る、強く悲観する、嘆く、自暴自棄になるなど、喜怒哀楽が過剰になることをいみします。
心理学の研究では、メンタルヘルスが悪い人の家庭には、高感情出力の方がいることがわかっています。もしあなたが、感情的になりやすい…と感じている場合は、子供の反抗期の無さに結びついているかもしれません。
あてはまる方は以下のコラムで、感情のコントロール練習をすることをオススメします。
③無条件の肯定を増やす
子どもと関わる時には、無条件の肯定が大事です。無条件の肯定とは、一言で言うと
理由なき肯定
を意味します。どんな時でも、親は愛してくれる!という確信を持てると子供は安心して感情を表現できるようになります。
難しいことはありません。
朝起きたらおはよう~という
目を見て話を聴く
おかえり♪と嬉しそうにいう
たまには抱きしめる
このような理由なき愛情表現を大事にしましょう。無条件の肯定について理解を深めたい方は以下のコラムを参照ください。
無条件の肯定-ストローク法
まとめ
反抗期コラムの内容は以上になります。コラムを書いた私も3人の子育て中で、日々七転八倒しています。心理学を勉強してきた私でさえ、反抗し続ける子供に対して「むかっ」とする瞬間があります。
そんな時は、自分の感情を冷静に眺め、一呼吸おいてから、余裕をもって接するようにしています。
感情を表出できる、主張できることは、子供が権利を主張できている証拠でもあります。騒がしい子供ほど、将来賑やかで、リーダーシップを取れる大人になるかもしれません。長い目で見ながら、子供の成長を見守っていきましょう。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科修士
取材執筆活動など
- AERA 「飲み会での会話術」
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
- TOKYOガルリ テレビ東京出演
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引用文献・参考文献
・二森優希, & 石津賢一郎. (2016). 第二反抗期経験の有無と過剰適応が青年期後期の心理的自立と対人態度に与える影響. 教育実践研究: 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要, (11), 21-27.