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話し方教室には効果があるのか

話し方教室には効果があるのか?④

コラム②では、話し方教室での「資格商法」について解説していきました。一見、凄そうに見える資格でも内容が薄いケースが多いですし、高額な金額がかかるため注意が必要でした。今回は、「話し方教室には効果があるのか」について解説していきます。

予測される話し方教室の効果

私自身、大学院時代に100名ほどに研究を行い、実際に効果分析をしました。下記の2つの図は話すのが苦手な方へのトレーニングの効果分析です。約3か月に分けて6セッションのトレーニングをした結果です。

のグラフは一般的な方で
 トレーニンが受けていません

のグラフは発話が苦手な方で
 トレーニングを実施しました。

最初は一般的な方の方がスキルが高いですが、トレーニング後はほぼ同じレベルに達しています。

 

下記の図は傾聴トレーニングの効果分析です。

実は、このトレーニングには落ちもあり、脱落率が70%ほどありました。3か月、6回のセッションを継続するというのは非常に疲れるようです。しかし、しっかりと継続的にトレーニングをされた方は、結果を残していました。筋トレと同じように、3日坊主にならないで、しっかりと練習を重ねれば会話力をつけることができると言えます。

効果を実証できる話し方教室は少ない

このように私は効果分析を行いましたが、実は講座の全ての効果を細かく検証できているわけではありません。私だけではなく

「効果がある」ことを科学的な手法で明らかにしている話し方教室は皆無だといえます。多く話し方教室は講座の後に、「この研修を受けてよかったか?」というような抽象的なアンケートをとります。そして「よかったが80%」だからこの研修は受けたほうがよいと宣伝しているのです。

しかし、「よかった」といっても,これはもしかしたらトレーナーの人柄が 「よかった」のかもしれませんし、気分転換になって「よかった」のかもしれません。ですので、これらの謳い文句を宣伝文とする会社はそもそも、心理統計が分かっていない可能性が高く、講師としてのレベルがかなり怪しいと判断できます。

効果を立証するのはとても難しい

ただし、これは話し方教室を責めているわけではありません。「効果があるかどうか」の判定は実は統計学的にかなり複雑な手続きを踏まないと立証できないのです。実際に講座の効果があったかどうかを判断するためには少なくとも、以下の手順が必要になります。

・スキルを測る尺度を創る
・講座を受ける人30人
 受けない人を30人集める
・少なくとも3か月程度
 2 時点で測る必要がある

例えば人前で話す講座であれば、人前で話す上で必要なスキルを20項目ぐらいに細かく分けて尺度を作成し、これをあらかじめ統計的な手法できちっと信頼できるように整理しておきます。

そして尺度ができたら講座が始まる前と導入した後の2 回で測って、実際点数が上がっているかどうかを測るのです。これでも統計的にはかなり弱いのですが、最低限それぐらいはしなくてはなりません。大変な労力がかかるのです。

少なくとも1 つの研修の効果を測るための尺度を、かなり正確に作るとすると、300万円程度はかかります。研修する側の資金的な体力がないためにこれらの作業ができていないという現実的な問題もあるのです。

最低限の根拠は必要

このように話し方教室そのものの効果を完璧に分析することはほぼ不可能なのですが、間接的には効果を立証することはできます。例えば、「集団認知療法」という手法があります。

Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法を施した群と施さなかった群とを分けて、不安や抑うつ、心配などを比較するものでした。結果は下の図の通りです。

集団認知行動療法を施した群では、治療後に心配の度合いが大幅に改善しました。ここでは心配だけを取り上げていますが、その他の不安や抑うつなども改善されていました。この研究から、集団認知行動療法が心配の改善に有効であることが示唆されます。

このように実施するトレーニングはなるべく、根拠がある講座を選択すると良いでしょう。ちょっと言いにくいかもしれませんが、心理系の話し方教室であれば、問い合わせをする際に、どんな心理療法をベースにしていますか?と聞いてみましょう。歯切れが悪い場合は避けた方が無難かもしれません。

コミュニケーション能力と遺伝の問題

もう1つ重要な論点として、コミュニケーション能力はどこまで向上するのか考えなくてはなりません。結論から言うと、コミュニケーション能力は「変化しない部分」「変化する部分」の2つがあります。

「変化しない部分」は遺伝の問題があるからです。コミュニケーション能力は様々な研究で一定程度遺伝することが分かっています。一定程度遺伝するとは、明るい性格、暗い性格、よく話す、あまり話さないなどコミュニケーション能力に関わることで、先天的に決まっている部分があると言うことです。

例えば、私たちの身長は両親と似てきますよね。 どんなに努力をしても、自分でコントロールすることは難しかったりします。できる努力といえば、よく睡眠をとる、カルシウムをとるくらいでしょうか。

このように、コミュニケーション能力は一定程度遺伝することが分かっているのです。その意味で、自分の努力で変わらない部分については、ある程度受入れる事が大切になります。

健康な範囲で努力をして難しいのであれば受入れてみましょう。受入れるのも勇気がいるかもしれませんが、遺伝によるコミュニケーション能力の問題は『受け入れる部分を大事にしつつ、適度に努力をしていく』くらいの、感覚を大切にすると良いでしょう。

長く続けられる講座を選ぼう!

科学的にある程度証明されているトレーニングなら数多く存在します。先ほどご紹介した発話スキルや傾聴スキルもその1つです。しっかりと根拠に基づいたトレーニングを行っている話し方教室を探していくと良いでしょう。

次回は、「話し方教室で騙された話」を私の実体験を基に解説します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

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