会議を効率よく進める方法,初主催でも成功する進め方
皆さんこんにちは。こちらのコミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。
今回のテーマは「会議の進め方」です。会議を初めて主催することになったとき、何から準備すればいいのか、どう進めればいいのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、会議の進め方について詳しく解説していきます。目次は以下の通りです。
①会議の重要性
②良い会議の条件
③会議前の準備手順
④会議中の進行方法
⑤会議後にやること
ぜひ会議の進め方を身につけて、チームを成功に導くきっかけを掴んでください。
会議の重要性
会議はビジネスを進める上で欠かせない時間です。その理由を見ていきましょう。
情報を共有できる
会議の最も基本的な役割は、情報を共有することです。メールやチャットでは伝わりにくい複雑な内容も、会議の場では質問しながら理解を深められます。
各メンバーが持っている情報を一箇所に集めることで、全員が同じ認識を持てるようになります。例えば、営業部門が得た顧客の声を、開発部門と共有することで、より良い製品作りにつながります。
情報の行き違いや認識のずれは、後々大きな問題を引き起こします。会議で顔を合わせて確認し合うことで、こうしたトラブルを未然に防げるのです。
意思決定ができる
会議は重要な決定を下す場でもあります。一人で判断するよりも、複数の視点から検討することで、より良い決定ができます。
意思決定には責任が伴います。会議の場で決定することで、誰がどのような理由で決めたのかが明確になります。これは後から振り返るときにも重要な記録となります。
また、関係者全員が決定のプロセスに参加することで、決まったことに対する納得感が生まれます。納得して取り組むことで、実行の質も高まるのです。
問題を解決できる
ビジネスでは様々な問題が発生します。会議は、こうした問題を解決するための話し合いの場として機能します。
一人では思いつかなかった解決策も、複数の人が意見を出し合うことで見つかることがあります。それぞれの経験や知識を持ち寄ることで、より実現可能な解決策が生まれるのです。
問題の原因を特定し、対策を考え、実行計画を立てる。このプロセスを会議で進めることで、スピーディーな問題解決が可能になります。
チームの意識を揃える
会議は、チーム全体の方向性を揃える役割も果たします。バラバラに動いていたメンバーが、同じゴールに向かって進めるようになるのです。
定期的に会議を開くことで、プロジェクトの進捗状況を確認し合えます。誰が何をしているのか、今どの段階にいるのかを把握することで、チーム全体の動きが見えてきます。
また、会議での対話を通じて、メンバー同士の信頼関係も深まります。お互いの考え方や価値観を知ることで、より協力しやすい関係が築けるのです。
良い会議の条件
成果が出る会議には、いくつかの共通点があります。それぞれ見ていきましょう。
目的が明確である
良い会議は、必ず明確な目的を持っています。何のために集まるのか、何を決めたいのかがはっきりしていることが大切です。
目的が曖昧なまま会議を始めると、話があちこちに飛んでしまいます。参加者も何を発言すればいいのか分からず、時間だけが過ぎていきます。
「新商品の価格を決める」「来月のイベント企画を承認する」など、具体的な目的を設定しましょう。目的が明確であれば、話し合いの方向性もおのずと定まります。
時間通りに終わる
良い会議は、予定した時間内にきちんと終わります。だらだらと長引く会議は、参加者の集中力を奪い、生産性を下げてしまいます。
ビジネスパーソンを対象にした調査では、会議の問題点として「会議が長い」が最も多く挙げられています。時間管理は会議の質を左右する重要な要素なのです[1]。
30分や1時間など、あらかじめ終了時刻を決めておきましょう。そして、その時間を守る意識を全員で共有することが大切です。
決定事項が明確
良い会議では、必ず何かが決まります。話し合いをしただけで終わるのではなく、具体的な結論や次のアクションが明確になっています。
会議の最後には、必ず決定事項を確認しましょう。
誰が
いつまでに
何をするのか
を明確にすることで、会議後の行動につながります。
決定事項が曖昧なまま終わると、後から「そんなことは聞いていない」というトラブルが起きやすくなります。その場でしっかり確認することが重要です。
全員が発言できる
良い会議では、参加者全員が意見を述べる機会があります。一部の人だけが話している会議は、多様な視点を活かせていません。
発言しやすい雰囲気を作ることが大切です。どんな意見も尊重し、批判的な態度を取らないようにしましょう。特に経験の浅いメンバーには、積極的に意見を求めることも必要です。
全員が発言することで、思いもよらないアイデアが生まれることもあります。一人ひとりの声を大切にする姿勢が、良い会議を作るのです。
会議前の準備手順
会議の成功は準備で決まります。具体的な手順を一つずつ見ていきましょう。
会議の目的を決める
まず最初に、会議の目的を明確にします。これがすべての準備の出発点になります。
目的には、大きく分けて4つの種類があります。
情報共有のための会議
意思決定のための会議
問題解決のための会議
アイデア出しのための会議
どの種類の会議なのかをはっきりさせることで、準備の内容も変わってきます。例えば、意思決定が目的なら判断材料となる資料が必要です。アイデア出しが目的なら、自由に発言できる雰囲気作りが重要になります。
参加者を選ぶ
会議の目的が決まったら、誰に参加してもらうかを考えます。必要な人だけを呼ぶことが、効率的な会議につながります。
参加者を選ぶ基準は以下になります。
会議の参加者を選ぶ基準
決定権を持つ人
専門知識がある人
実行を担当する人
情報を持っている人
参加者が多すぎると、意見がまとまりにくくなります。理想的な人数は5人から8人程度です。ただし、情報共有が目的の場合は、関係者全員を呼ぶこともあります。
日時と場所を決める
参加者が決まったら、全員が参加できる日時を調整します。重要な会議ほど、早めに日程を押さえることが大切です。
会議の長さは、内容に応じて設定します。情報共有なら30分、重要な意思決定なら1時間から2時間程度が目安です。長すぎる会議は避けましょう。
場所は、参加人数に合った会議室を選びます。プロジェクターやホワイトボードなど、必要な設備が整っているかも確認しておきましょう。
アジェンダを作る
アジェンダとは、会議の進行予定表のことです。何について話し合うのか、どの順番で進めるのかをまとめた資料になります。
アジェンダを作ることで、会議の全体像が見えてきます。参加者も事前に内容を把握できるため、準備をして臨めるようになります。
良いアジェンダがあれば、会議がスムーズに進みます。時間配分も明確になるため、予定通りに終わらせやすくなるのです。
アジェンダの書く
アジェンダに記載する項目は以下になります。
会議の名称
開催日時と場所
参加者の名前
会議の目的
議題と時間配分
配布資料の一覧
事前に準備すること
各議題には、何分使うのかを明記しましょう。時間配分を決めることで、会議が長引くのを防げます。また、重要な議題には多めに時間を割り当てることも大切です。
資料を準備する
アジェンダができたら、会議で使う資料を作ります。参加者が理解しやすい、分かりやすい資料を心がけましょう。
資料は、議論の土台となる情報をまとめたものです。データやグラフ、図表などを使って、視覚的に分かりやすく表現します。文字だけの資料は読みにくいので注意しましょう。
資料の量は、会議の時間に合わせて調整します。多すぎると読み切れませんし、少なすぎると議論が深まりません。必要十分な情報を盛り込むことが大切です。
事前共有する
アジェンダと資料が完成したら、会議の数日前には参加者全員に送ります。直前に送るのではなく、余裕を持って共有しましょう。
事前に資料を読んでおいてもらうことで、会議当日はすぐに本題に入れます。説明に時間を取られず、議論に集中できるのです。
メールで送る際には、「事前に目を通しておいてください」と一言添えるとよいでしょう。特に重要な部分があれば、そこを強調しておくことも効果的です。
会議室を予約する
最後に、会議室の予約を確実に行います。当日になって会議室が使えないというトラブルは避けなければなりません。
必要な機材も確認しておきましょう。プロジェクター、ホワイトボード、マイクなど、会議で使うものをリストアップします。事前にテストしておくと安心です。
オンライン会議の場合は、接続テストを行います。音声や映像がきちんと届くか、画面共有ができるかを確かめておきましょう。
会議中の進行方法
準備が整ったら、実際の進行に入ります。落ち着いて一つずつ進めていきましょう。
開始時の挨拶
会議は、時間通りに始めることが大切です。定刻になったら、まず簡単な挨拶から入りましょう。
お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます
という言葉から始めると、場の雰囲気が和みます。参加者への感謝の気持ちを伝えることも大切です。
初めて会う人がいる場合は、簡単な自己紹介の時間を取りましょう。お互いを知ることで、発言しやすい雰囲気が生まれます。
目的とゴールの確認
挨拶の後は、会議の目的とゴールを確認します。「今日は○○について決めたいと思います」と明確に伝えましょう。
参加者全員が同じ認識を持つことが重要です。目的を共有することで、話し合いの方向性がぶれにくくなります。
ゴールは具体的に示します。「3つの案から1つに絞る」「来月のスケジュールを確定する」など、何を達成すれば会議が成功なのかを明らかにします。
時間配分の共有
次に、時間配分を共有します。アジェンダを見せながら、どの議題にどれくらい時間を使うのかを説明しましょう。
時間を意識してもらうことで、だらだらとした議論を防げます。
この議題は15分で終わらせたいと思います
と伝えることで、参加者も集中して話し合えます。
終了時刻も改めて確認します。「12時には終了します」と宣言することで、時間内に終わらせる意識が全員に芽生えます。
意見を引き出すコツ
会議では、参加者から積極的に意見を引き出すことが大切です。黙っている人がいたら、「○○さんはどう思いますか」と名前を呼んで意見を求めましょう。
質問の仕方も工夫します。「何か意見はありますか」という曖昧な聞き方ではなく、
この2つの案のうち、どちらが実現しやすいと思いますか
と具体的に尋ねます。
批判的な態度は禁物です。どんな意見も「ありがとうございます」と受け止め、否定せずに聞きましょう。安心して発言できる雰囲気を作ることが重要です。
会議で参加者の合意をスムーズに得る方法については以下ご参照ください。
時間を管理する方法
会議中は、常に時計を見ながら進行します。予定より遅れているときは、「そろそろ次の議題に移りたいと思います」と切り出しましょう。
タイマーを使うのも効果的です。議題ごとに時間を設定し、残り時間を意識しながら進めます。時間が来たら、議論の途中でも一旦区切ります。
どうしても時間が足りない場合は、優先順位を考えます。重要な議題に時間を使い、軽い内容は後回しにするなど、柔軟に調整しましょう。
話が逸れたときの対処
会議では、話が本題から逸れることがよくあります。そんなときは、「今の議題に戻りましょう」と軌道修正することが大切です。
ホワイトボードに議題を書いておくと便利です。話が逸れたら、ボードを指しながら「今はこの話をしています」と示すことができます。
逸れた話が重要な場合は、
その件は後で別途話し合いましょう
と提案します。今は本題に集中することを優先しましょう。
結論をまとめる
会議の最後には、必ず結論をまとめます。何が決まったのか、誰が何をするのかを明確にしましょう。
「今日決まったことを確認します」と言って、一つずつ読み上げます。参加者全員に
この理解で合っていますか
と確認を取ることも大切です。
もし結論が出なかった場合は、次回に持ち越す旨を伝えます。「次回までに○○さんが調べてきてください」など、次のアクションを決めておきましょう。
会議の意見をまとめる方法を知りたい方は、以下をご参照ください。
会議後にやること
会議は終わってからが重要です。決まったことを確実に実行につなげていきましょう。
議事録を作る
会議が終わったら、できるだけ早く議事録を作成します。記憶が新しいうちに作ることで、正確な記録が残せます。
議事録は、会議の内容を記録した文書です。後から見返したときに、何が話し合われ、何が決まったのかが分かるようにまとめます。
会議に参加できなかった人にも情報を共有できます。また、後から「言った」「言わない」のトラブルを防ぐ役割もあります。
議事録の書き方
議事録に記載する項目は以下になります。
会議名と日時
参加者の名前
議題
決定事項
保留事項
次のアクション
次回会議の予定
決定事項が最も重要です。何が決まったのかを明確に書きましょう。曖昧な表現は避け、具体的に記載することが大切です。また、時系列に沿って書くのではなく、議題ごとにまとめると分かりやすくなります。
決定事項を共有する
議事録ができたら、参加者全員に送ります。できれば会議終了後24時間以内に共有しましょう。スピーディーな共有が、行動を促します。
メールで送る際には、件名に「議事録」と分かりやすく書きます。重要な決定事項は、メール本文にも簡潔に記載しておくとよいでしょう。
関係者で情報を共有することで、認識のずれを防げます。もし間違いがあれば、早めに指摘してもらえるというメリットもあります。
担当者を明確にする
決定事項には、必ず担当者を割り当てます。「誰が」責任を持って実行するのかをはっきりさせることが大切です。
担当者が決まっていないタスクは、誰もやらないまま忘れ去られてしまいます。会議の場で担当者を決め、議事録にも明記しておきましょう。
複数人で取り組む場合は、リーダーを一人決めます。最終的な責任を持つ人を明確にすることで、確実に進めることができます。
期限を設定する
各タスクには、必ず期限を設定します。「いつまでに」完了させるのかを明確にすることで、実行が促されます。
期限は現実的なものにしましょう。あまりにタイトすぎると、質が下がってしまいます。一方で、余裕がありすぎると先延ばしにされてしまいます。
会議で決めた期限は、カレンダーやタスク管理ツールに登録しておきましょう。リマインダーを設定しておくと、忘れずに取り組めます。
進捗を確認する
会議で決まったことが実際に進んでいるか、定期的に確認します。担当者に声をかけ、進み具合を聞いてみましょう。
進捗が遅れている場合は、早めにサポートします。困っていることがないか尋ね、必要な助けを提供することが大切です。
次の会議では、前回の決定事項がどうなったかを報告してもらいます。PDCAサイクルを回すことで、確実に成果につなげられます。
まとめ
会議の進め方について、準備から終了後のフォローまで解説してきました。会議の成功は、事前準備で8割が決まります。目的を明確にし、アジェンダを丁寧に作り、参加者に事前共有することが何より大切です。
会議中は、時間を管理しながら、全員が発言できる雰囲気を作りましょう。そして会議後は、議事録を素早く共有し、決定事項を確実に実行につなげることが重要です。
初めて会議を主催するときは緊張するかもしれません。しかし、この記事で紹介した手順を一つずつ実践していけば、必ず成功する会議を運営できるようになります。ぜひ今日から、良い会議を作るための第一歩を踏み出してください。
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典
[1] 株式会社ジェイアール東海エージェンシー. (2016). ビジネスパーソンの「社内会議」に関する調査.