協調性を身につける6つの方法!人間関係を円滑にするコツ
皆さんこんにちは。こちらのコミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「協調性を身につける」です。友人や家族から「もっと協調性を持ってほしい」と言われたり、グループで集まるときにうまく馴染めないと感じたりしていませんか。
本記事では、協調性を身につける具体的な方法について詳しく解説していきます。目次は以下の通りです。
①協調性とは何か
②協調性がある人の特徴
③1.人の話をしっかり聞く
④2.他人の意見を否定しない
⑤3.周りを観察する
⑥4.自分の意見も伝える
⑦5.感情をコントロールする
⑧6.チームを優先する
⑨協調性が職場で大切な理由
ぜひ協調性を高めて、職場での人間関係をより良くするきっかけを掴んでください。
協調性とは何か
協調性について正しく理解することが、身につけるための第一歩です。ここでは協調性の本当の意味と、よくある誤解について説明します。
協調性の本当の意味
協調性とは、自分と違う立場や考え方を持つ人たちと協力しながら、同じ目標に向かって行動できる力のことです。多くの人が「周りに合わせる力」と勘違いしていますが、実は違います。
日常生活で求められる協調性には、2つの大切な要素があります[1]。1つ目は、他の人と協力したりサポートしたりして、グループ全体の雰囲気を良くする力です。2つ目は、自分の考えだけでなく、みんなのことを考えて行動できる力です。
つまり、協調性とは「ただ周りに合わせる」ことではありません。自分の意見もしっかり持ちながら、相手の話を聞き、お互いに協力して楽しい時間を作る力なのです。友達との旅行計画でも、家族での話し合いでも、この力が活きてきます。
イエスマンとの違い
協調性とイエスマンは、よく混同されますが全く違うものです。イエスマンとは、自分の考えを捨てて多数派の意見に「イエス」と従うだけの人のことを指します。
一方、協調性がある人は、周りの意見に合わせながらも自分の意見をしっかりと持っています。「自分の考えをはっきり持っているか」「自分の意見がないのか」という点に大きな違いがあるのです。
例えば、会議で問題が起きたとき、イエスマンは上司の意見にただ従うだけです。しかし協調性がある人は、自分なりの考えを持ちつつ、チーム全体にとって最善の解決策を一緒に探ります。このように、協調性は受け身ではなく、主体的な行動を含む力なのです。
協調性がない人,ある人の特徴
協調性がない人・ある人には、いくつかの共通した特徴があります。これらを理解することで、自分が目指すべき方向性が見えてきます。
協調性が低い人の特徴
協調性が低い人には、人間関係で困難を感じやすい傾向があります。自分に当てはまるものがないか、確認してみましょう。 協調性が低い人に見られる傾向は以下になります。
会話が一方通行になる
「でも」「だって」が多い
グループより個人を優先
プライドが高すぎる
ルールを軽視する
これらの傾向に共通しているのは、コミュニケーションの偏りです。会話が自分の話ばかりになったり、相手の意見に対して反論から入ったりします。
また、グループでの約束事よりも自分の都合を優先してしまい、周りから「協力してくれない人」と思われがちです。ただし、これらは性格の問題ではなく、意識と練習で改善できるものです。気づいたところから少しずつ変えていきましょう。
協調性が高い人の特徴
協調性がある人には、人間関係を円滑にする特徴があります。自分に当てはまるものがあるか、確認してみましょう。
相手の話を最後まで聞ける
自分の意見も持っている
周りの状況に気づける
感情が安定している
柔軟に対応できる
これらの特徴に共通しているのは、自分と他者のバランスを取れることです。相手を尊重しながらも自分を失わず、状況を見極めながら適切に行動できます。
協調性がある人は、周りの人を大切にしながら、自分らしさも保っているのです。このバランス感覚が、良好な人間関係を築く土台となります。
①人の話をしっかり聞く
ここからは、協調性を身につけるための具体的な方法を6つ紹介します。まず1つ目は、人の話をしっかり聞く力を育てることです。
傾聴の基本姿勢
人の話を聞くときの基本的な姿勢は以下になります。
傾聴の基本姿勢
相手の顔を見て聞く
話を途中で遮らない
スマホを見ない
相槌を打つ
メモを取る
これらの姿勢を意識するだけで、相手は「この人は自分の話を真剣に聞いてくれている」と感じます。特に大切なのは、相手が話している途中で自分の意見を言わないことです。最後まで聞いてから、自分の考えを伝えましょう。
また、相手の話を聞くときは、「次に何を話そうか」と考えるのではなく、相手が何を伝えたいのかに集中することが大切です。相手の言葉だけでなく、表情や声のトーンにも注意を払うと、より深く理解できます。
相手の立場で考える習慣
人の話を聞くときは、相手の立場に立って考える習慣をつけましょう。これを共感する、と言います。共感とは、相手の気持ちや状況を理解しようとすることです。
例えば、友達が「最近、家族との関係がうまくいかなくて悩んでいる」と言ったとします。このとき、「それは大変だね」と言うだけでなく、もし自分がその状況だったら、どんな気持ちになるだろうと想像してみるのです。
相手の立場で考えることで、その人が何を必要としているのか、どんな支援ができるのかが見えてきます。これが協調性の基礎となるのです。日頃から「もし自分がその立場だったら」と考える癖をつけましょう。
相手の話をしっかり聴く技術を深めたい方は下記をご参照ください。
②他人の意見を否定しない
2つ目の方法は、他人の意見を否定しない態度を身につけることです。これは協調性を高める上で非常に重要なポイントです。
まず受け止める態度
誰かが意見を言ったとき、すぐに「それは違う」「それはダメだ」と否定してはいけません。まずは相手の意見を受け止める態度が大切です。
相手の意見を受け止めるときの言葉は以下になります。
なるほど
そういう考えもあるね
面白い視点だね
詳しく聞かせて
そう感じたんだね
このような言葉を使うことで、相手は「自分の意見を尊重してもらえた」と感じます。たとえ最終的には別の方法を選ぶとしても、まずは相手の意見を認めることが協調性の第一歩なのです。
否定されると、人は心を閉ざしてしまいます。逆に、意見を受け止めてもらえると、もっと話したいと思います。この違いが、チームの雰囲気を大きく変えるのです。
異なる考えを尊重する
自分と違う考え方の人がいるのは当然のことです。育った環境も経験も違うのですから、意見が異なるのは自然なことなのです。
大切なのは、異なる意見を「間違っている」と決めつけないことです。「自分とは違う視点」として尊重しましょう。実は、自分と違う意見の中にこそ、新しい発見やアイデアが隠れていることが多いのです。
例えば、家族で休日の過ごし方について意見が分かれたとき、協調性がある人は、
お母さんの意見にはこういう良い点があり、お父さんの意見にはこういうメリットがある。午前と午後で分けてはどうか
と提案できます。このように、バランス感覚を持って物事を進められるのです。
③周りを観察する
3つ目の方法は、周りをよく観察する力を養うことです。状況を把握する力は、協調性を発揮する上で欠かせません。
場の空気を読む力
協調性がある人は、その場の雰囲気や状況をすぐに理解できます。これを「場の空気を読む」と言います。空気を読むとは、今どんな状況で、何が求められているのかを感じ取ることです。
場の空気を読むために観察するポイントは以下になります。
人々の表情
会話の流れ
誰が話しているか
沈黙の意味
身体の動き
例えば、友達との集まりで誰も発言しない沈黙があったとします。それは「誰も意見がない」のではなく、「誰かが話題を変えるのを待っている」のかもしれません。このような場の状況を理解できると、適切な行動が取れるようになります。
ただし、空気を読みすぎて自分の意見を言わないのは良くありません。状況を理解した上で、必要なときは発言することも大切です。
必要な役割を見つける
周りを観察すると、今チームに何が必要なのかが見えてきます。そして、自分がどんな役割を果たせるかも分かるようになります。
例えば、友達が落ち込んでいると感じたら、「話を聞こうか」と声をかけられます。グループの会話が盛り上がらないと感じたら、「そういえばこんなことがあってね」と話題を提供できます。
協調性がある人は、自分に何ができるかを常に考えています。「誰かがやるだろう」ではなく、「自分にできることはないか」と考える姿勢が大切です。周りを観察し、チームに貢献できる方法を見つけましょう。
④自分の意見も伝える
4つ目の方法は、自分の意見もきちんと伝えることです。協調性は周りに合わせるだけではなく、主体性も含まれます。
主体性とのバランス
協調性と主体性は、対立するものではありません。むしろ、両方が必要なのです。周りの意見を聞きながらも、自分の考えをしっかり持ち、必要なときは発言する。これが本当の協調性です。
研究によると、協調性が高い人は、「周りと協力しながらも、自分の意見を適切に主張できる」という特徴があります[2]。ただ従うだけでは、チームに新しいアイデアが生まれません。
大切なのはバランスです。相手の意見を否定せず、自分の意見も伝える。
Aさんの意見も良いですね。私はこういう方法もあると思うのですが、いかがでしょうか
というように、相手を尊重しながら自分の考えも示すのです。
建設的な提案の仕方
自分の意見を伝えるときは、建設的な提案を心がけましょう。建設的とは、前向きで役に立つという意味です。
建設的な提案をするときのポイントは以下になります。
具体的に伝える
理由も説明する
代替案を用意する
相手を責めない
チーム全体を考える
例えば、「その計画は無理だよ」と否定するのではなく、
この部分を○○に変えると、もっとスムーズにいくと思います。なぜなら△△だからです
と具体的に提案しましょう。友達との旅行計画でも、この方法が使えます。
また、提案するときは「私は」を主語にすると良いです。「あなたは間違っている」ではなく、「私はこう考えます」と伝えることで、相手を攻撃せずに意見を述べられます。
⑤感情をコントロールする
5つ目の方法は、感情をコントロールする力を身につけることです。これは協調性を発揮する上で、非常に重要なスキルです。
冷静に対応する方法
仕事をしていると、イライラしたり、腹が立ったりすることがあります。しかし、感情的になってしまうと、周りとの協調が難しくなります。
感情をコントロールする方法は以下になります。
深呼吸をする
一度間を置く
客観的に考える
感情を言葉にする
別の場所に移動する
例えば、誰かに批判されてイライラしたときは、すぐに言い返さず、深呼吸をして一呼吸置きましょう。そして「今、自分は怒っているな」と自分の感情を認識します。これだけで、冷静さを取り戻すことができます。
また、「あなたの言い方がムカつく」と感情をぶつけるのではなく、「その言い方は少し厳しく感じました」と冷静に伝えることが大切です。感情を抑えることではなく、適切に表現することが重要なのです。
突発的な場面での振る舞い
予期しないトラブルが起きたとき、協調性がある人はパニックにならず、冷静に対応します。
突発的な問題が起きたときは、まず状況を整理しましょう。何が起きたのか、何が問題なのかを冷静に把握します。そして、チームで解決策を考えるのです。
例えば、友達と出かける予定だった日に雨が降ってしまったとします。このとき、「誰が天気を確認しなかったんだ」と責めるのではなく、
室内で楽しめる場所はどこがあるか
予定を変更するか
と解決に焦点を当てます。問題を解決することに集中し、感情的にならないことが協調性につながるのです。
感情をコントロールする技術を深めたい方は、以下をご参照ください
⑥グループを適度に優先する
6つ目の方法は、グループ全体のことを優先して考えることです。これは協調性の核心となる考え方です。
グループ目標を理解する
グループや集まりには、共通の目的があります。協調性を発揮するには、まずこの目的をしっかり理解することが大切です。 グループの目標を理解するために確認すべきことは以下になります。
それぞれの役割
達成したいこと
優先順位
期待されること
目的が分かれば、自分が何をすべきかが見えてきます。「この行動は、みんなの楽しい時間にどう貢献するのか」を常に考えながら行動することが大切です。
また、目的を理解していれば、意見が分かれたときも「みんなが楽しむためには、どちらが良いか」という視点で判断できます。個人の好みではなく、グループ全体のことを考えることが協調性なのです。サークル活動や友人グループでの集まりでも、この視点を持ちましょう。
個人より全体を考える
ときには、自分の希望や都合よりも、グループ全体のことを優先する必要があります。これは協調性の最も重要な要素です。 例えば、友達とのグループ旅行で、自分は温泉に行きたいけれど、他のみんなはテーマパークに行きたいという状況を考えてみましょう。
「私は温泉がいい」と主張し続けるのではなく、「みんなが楽しめるテーマパークにしよう」と考えることが協調性です。 ただし、自分を犠牲にしすぎるのも良くありません。
自分の気持ちや体調を大切にしながら、できる範囲でグループに貢献することが大切です。無理をしすぎると、長続きしません。バランスを取りながら、グループ全体のことを考える姿勢を持ちましょう。
グループを適度に優先する方法を深めたい方は、以下をご参照ください。
まとめ
協調性は、誰でも身につけることができるスキルです。「周りに合わせる」のではなく、「自分の意見を持ちながら協力する」ことが本当の協調性です。
今回紹介した6つの方法を、まずは1つからでも実践してみてください。人の話をしっかり聞く、意見を否定しない、周りを観察する、自分の意見も伝える、感情をコントロールする、チームを優先する。これらを少しずつ実践することで、確実に協調性は高まります。
明日から職場で、まずは同僚の話を最後まで聞くことから始めてみましょう。小さな一歩が、あなたの協調性を大きく成長させます。
しっかり身につけたい方へ
当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。
・協調性がある人,ない人の心理学
・過剰適応をしない,断る練習
・成長を促す,叱り方練習
・アサーティブコミュニケーションの基礎
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・参考文献