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エンパワーメントとは?使い方や意味を分かりやすく解説

エンパワーメントとは?使い方や意味を分かりやすく解説①

みなさん、こんにちは!臨床心理士,精神保健福祉士の杜岡です。私は福祉系大学を卒業後、医療機関で精神科ケースワーカーとして勤務し、その後、児童福祉分野で相談業務や虐待対応を行ってきました。私たちは現在、こちらの初学者向け心理学講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。

本コラムでは「エンパワーメント」について詳しく解説をしていきます。しっかりと対策をお伝えしたいので全部で8分程度かかります。ちょっと大変ですが。ぜひお付き合いください。

  • エンパワーメントとは
  • 歴史と日本での発展
  • 業績が上がる!?
  • 地域活動への参加で⇧
  • エンパワーメント診断
  • 事例で理解を深めよう

エンパワーメントの定義

現在、エンパワーメントの多くの分野で共通した意味は、

「社会的に差別や搾取を受けたり、組織の中でコントロールしてゆく力を失われた人々が、そのコントロールを取り戻すプロセス」

であるとされています(久木田,1998)。

簡単に言うと、人がその人らしく生きる、つまり自分の持っている能力やスキルを自覚し、社会との関わりの中で継続的に発達・向上させてゆくということです。

エンパワーメントの根底にあるのは、訓練や指導によって得られてゆくものではなく、『能力や権限は、本人が本来もっているものである』という考え方です。

しかし、それが様々な社会的制約によって発揮されてこなかったため、あらゆる社会資源を活用し、能力を発揮できるよう条件整備を行なっていく必要があるということです。

つまり、『すべての人々はみな、生まれながら様々な個性、能力、可能性を持っているにもかかわらず、様々な要因で発揮できない状況にあるため、個人の能力を尊重した肯定的な働きかけにより、その潜在能力を取り戻し、力をつけてゆくこと』という意味です。

エンパワーメントの歴史

エンパワーメント概念は、米国でのアフリカ系アメリカ人による差別撤廃運動に関わったソーシャルワーク実践にその起源があると言われています(西梅,2004)。

アメリカでの発展

・1950年代以降
エンパワーメント(empowerment)という単語は、もともとは「権限をゆだねること」「能力を与えること」という意味で、アメリカにおいて様々な領域で用いられるようになりました。

・1950年代~1960年代
エンパワーメントは、第2次世界大戦以降、アメリカにおける公民権運動やカウンセリングで使われるようになりました。

・1970年代~1980年代
フェミニズム運動において、社会変革を目指す動きと連動してきました(久木田,1998)1980年代では、アメリカの公衆衛生や福祉、看護、精神保健などの領域でも用いられるようになりました。

日本での発展

・1990年代以降
日本で、この用語が多く用いられるようになったのは、1990年代以降になります(森田,1998;小田,1999)。現在エンパワーメントという用語が使われている分野は、

ジェンダー
・経営学
・保健医療
社会福祉

などなど、多岐にわたっています。

例えば、ジェンダーであれば男尊女卑などの性差別がなくなりつつあり、女性にも様々な選択ができる社会になっています。また、経営学の分野では、部下のモチベーションの調節などに活用されています。そのほか、看護や介護などの社会福祉では、障害や病を抱えた人が自分の生活をコントロールすることという意味で用いられています。

研究事例-どのような影響がある?

それでは、ここでエンパワーメントの研究事例をご紹介していきます。

①エンパワーメントと業績

青木(1998)では、東証一部・二部、その他証券取引所に上場されているメーカーを調査対象として、従業員のエンパワーメントと企業業績の関連を調べました。調査表は255社より集められました。

・総合業績と意思決定への参加
この研究では、企業の業績は「成長性」「収益性」「従業員のモラール」の3つで評価されました。また、エンパワーメントを2つの要素の分けて考えています。まずは1つ目、「意思決定への参加」から見ていきましょう。以下の図をご覧ください。

エンパワーメント 高める

上司が部下に情報や意見を求める機会が「ふつう」である方が、もっとも総合業績が伸びていることが分かります。多すぎず少なすぎず適度に部下に意見を求めることが、部下のエンパワーメントを促進し、業績につながるのかもしれません。

・モラール(行動意欲)は多い方が吉

ただ、モラールに関しては、多く部下に意見を求める企業の方が高い数字を出しています。モラールとは組織の士気のことを表し、平たく言えば、モチベーションのことです。やはり、部下自身で考えることが行動意欲を高めるのですね。

・権限委譲とエンパワーメント
そして、エンパワーメントの2つ目の要素は、「権限委譲(けんげんいじょう)」です。これは、部下が上司の決定に影響を与えることができることという意味で用いられています。それでは、業績との関連を見ていきましょう。

業績UP

上図のように、部下が上司の決定に影響を与えることができる度合が「多い」ほど業績が高いことが分かります。特に「収益性」と「モラール」の面でよりプラスの影響があります。部下のアイデアが上司の決定を揺るがす瞬間が多い方が、収益も上がりやすく、行動意欲も高まっていくのですね。

このように、エンパワーメントを上手く調節していくことが業績UPにつながると推測できそうです。

②エンパワーメントと地域活動

大沼ら(2007)の研究では、陸陽中学校の全校生徒455名を対象に、質問紙調査を用いてエンパワーメントの増減を調査しました。

今回は、調査は2回にわたって行われ、1回目と2回目の間に、地域活動が開催されました。この活動への参加がエンパワーメントにどのような影響を及ぼすかを調べたのです。(ただし、対象者は1回目と2回目の調査で個人の照合が取れた123名になります。)

その結果が以下の図です。

エンパワーメント 高める

このように、地域活動へ「参加」した学生の方が「不参加」の学生よりも、エンパワーメントが高まっていることが分かります。自主的に行事へ参加することで、自己決定が促進されるのですね。

診断とチェック

エンパワーメントを高める時には、まず簡易チェックで今の心の状態を確認しておきましょう。以下に、自己診断にも使える「エンパワーメント簡易診断」のリンクをご用意しました。客観的な状況を知りたい方はご活用ください。定期的に自己チェックしておくことをお勧めしています。
エンパワーメント簡易診断でチェック②

事例で理解を深めよう

エンパワーメントへの理解を深めるために事例を2つ用意しました。1つは、不登校のまま卒業したハルマくんの事例を紹介します。ハルマくんは卒業後に就職を決意するのですが、なかなか内定がもらえませんでいた。そこで、あるエンパワーメントを高める方法を活用したことにより、ついに就職を決めることができたのです。そのほか、学校でいじめに遭っているハナコさんの事例をご紹介します。

エンパワーメントの高め方がわからない…という方は事例で理解を深めることで、自分らしく振る舞うことができるようになります。より深く知りたい方は下記をご覧ください。
エンパワーメントとは-事例でわかりやすく説明③

エンパワーメントを受けよう!

今回はエンパワーメントについて概観していきました。集団の中で自分の考えで行動することで、モチベーションを向上させることができます。日本では上下関係が厳しく、なかなか自分の意見を言いにくい文化があります。

もちろん、目上の人からの指示を聞くことは大切ですが、それだけでは自分らしさが出せず、ストレスが溜まりやすくなります。適度に自分の考えを伝えることでエンパワーメントを高めることができます。ぜひ、自分の頭で考える機会を作ってみてくださいね。

次回は、「エンパワーメント診断」をご紹介します。お楽しみに!

★エンパワーメントは、自分らしさを取り戻す力!

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
・ソーシャルワークにおけるエンパワーメント実践展開研究の意義 西梅 幸治 福祉社会研究 第4・5号 53―67 2004
・従業員のエンパワーメントとその効果~日本企業を対象にした実証研究~ 青木 幹喜 東京情報大学研究論集 Vol. No.2 71 1998
・地域活動への参加がエンパワーメントへ及ぼす効果 大沼 進 須藤 泰史 日心第大会71回(2007)
・久木田純,渡辺文夫 エンパワーメントとは何か.現代のエスプリ No.376エンパワーメント:人間尊重社会の新しいパラダイム.至文堂,1998,p.10-34
・森田ゆり(1998)エンパワメントと人権-こころのみなもとへ-解放出版社
・小田兼三(1999)エンパワメントとは何か 小田兼三・杉本敏夫・久田則夫(編)エンパワメントー実践の理論と技法ー第1章 中央法規 Pp.2-17