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エンパワーメントを付けよう

エンパワーメントとは何か-事例でわかりやすく説明③

コラム①では、エンパワーメントについて概観していきました。少しおさらいすると、エンパワーメントとは、「人がその人らしく生きる、つまり自分の持っている能力やスキルを自覚し、社会との関わりの中で継続的に発達・向上させてゆく」という意味でしたね。

今回は、エンパワーメントの事例についてご紹介していきます。

事例で理解を深めよう!

①不登校で卒業したハルマくん

まずは、不登校のままで卒業したハルマくんの事例をご紹介します。ハルマくんは地域就労支援センターのトモコさんと出会い、エンパワーメントされました。

・エンパワーメントする人
地域就労支援センターのトモコさん

・エンパワーメントされる人
中学を不登校のまま卒業したハルマくん

ある時、ハルマくんは学校での困り事が重っており、中学を不登校のまま卒業しました。家では手先の器用さを生かして、プラモデル作りに励んでいました。

それから1年後、就職することに決めたハルマくんは、いくつかの企業へ面接をしに行きました。しかし、結果はすべて不合格。本人は自分には強みがないから自己PRできない…と落ち込むハルマくん。

ハルマくんは考えた末に地域就労支援センターに通うことにしました。ここで、就労支援者のトモコさんと出会いました。トモコさんは、学校で不登校になってしまったこと、就活に失敗を続けてきたことなど、親身になってハルマくんの状況に耳を傾けました。

そして、ハルマくんは以下の3つの点でエンパワーメントを受けます。

1.就職へのサポート
ハルマくんはトモコさんから就職面接や履歴書の書き方の練習を教わりました。具体的なやり方を教えることも時に必要です。

2.強みに気づかされる
トモコさんはハルマ君に、自分で長所を考えることを促しました。最初はうまく発想できなかったハルマくんですが、粘り強い傾聴を通して、だんだんと自分の強みに気が付いていきました。

3.練習に付き合う
ハルマくんが心強かったのは、トモコさんが練習につきあってくれたことです。トモコさんとハルマくんは動画を撮影しながら一緒に振り返りをしました。

トモコさんはハルマくんに改善点を洗い出すように促し、ハルマくんは問題を自分で見つけ、改善を繰り返し、成長していきました。

エンパワーメントとは

結果的に、ハルマくんは手先の器用さに高い評価を受けて、無事就職することが出来ました。これは、支援者がハルマくんの長所を教えたり、面接に同行したことによるエンパワーメントの結果ですね。

いじめに遭っているハナコさん

続いて、いじめに遭っているハナコさんの事例をご紹介します。ハナコさんは、担任の先生からエンパワーメントされたことで、学校に通えるようになりました。

・エンパワーメントする人
担任の先生

・エンパワーメントされる人
いじめで登校拒否を始めたハナコさん

ハナコさんは男子生徒のからかいが辛く、登校拒否をしてしまいました。すでに母に悩みを打ち明けており、先生方にも、話は伝わっていました。

男子生徒のからかいの内容は、「~に似ている」といったもので、母から見ても、気にしないことで乗り切っていける―と思えるものでした。しかし本人の悩みは深く、学校を休み始めてしまいました。

その後、心配した先生方からエンパワーメントを受けます。

1.励ましの電話・メール
担任の先生から、本人へ電話をしました。先生はハナコさんが考えていることを粘り強く傾聴し、今抱えている悩みに共感をしました。ハナコさんは少し気持ちが軽くなりました。

2.アイデアをもらう
先生からハナコに、「学校で取り組むべきことはあるか?」と質問をしました。ハナコさんはいくつかのアイデアをあげました。すべて叶うことはありませんでしたが、いくつかの提案は学校で採用されることになりました。

ハナコさんは主張することの大事さを学びました。

3.話し合いの機会を設ける

先生とハナコさんは話しあい、いじめた相手と話しあう機会を作ることにしました。もちろん簡単なことではなかったのですが、ハナコさんは率直に自分が傷ついたことを相手に伝えることができました。

クラスメイトも悪かったと認め、謝ってくれました。心に傷は残りましたが、自分できちんと主張できたことに、ハナコさんは自信を深めることができました。

エンパワーメントの実践

エンパワーメントをする援助者はあくまで補助輪です。エンパワーメントされる相手が「自分で考えて、自分で行動した」という感覚がなければエンパワーメントになりません。事例を参考に現場で活躍されることを応援しています。

最後に、これまで「エンパワーメント」コラムにお付き合いしていただき、ありがとうございました!もし森岡、川島に空いた方がいたら、よかったらコミュニケーション講座にいらっしゃってくださいね(^^)

 

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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出典・参考文献
臨床心理学における「エンパワーメント」の概念とマクロ・カウンセリングでの位置づけ 井上 孝代・榊原 佐和子 心理学紀要(明治学院大学)第15号35-48 2005