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自己嫌悪に陥る方へ,やめる方法

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自己嫌悪に陥る方へ,やめる方法

皆さんこんにちは。コミュニケーション教室を開催している公認心理師の川島達史です。当コラムは下記にあてはまる方におすすめです。

・「自分には価値がない」と考えがち
・人と比べて落ち込みやすい
・過去の後悔を何度も思い出してしまう

当コラムを読み進めていくと、自己嫌悪に陥った状態から立ち直るコツをおさえることができると思います。是非最後までご一読ください。

◆全体の目次
①自己嫌悪の原因と種類
②自己嫌悪の心理的影響
③自己嫌悪の改善方法8選
④自己嫌悪をやめたい方へ

自己嫌悪で自分を責めて落ち込む人のイメージ

自己嫌悪の原因と種類

自己嫌悪については心理学の世界でも様々な研究がなされてきました。

佐藤(2001)[1]は自己嫌悪には2つの種類があるとしています。

他者との関係によるもの

1つ目は対他的な自己嫌悪です。対他的とは、他人との関係の中で感じられる自己嫌悪です。自信に欠けていて、周りに対してうまくふるまうことができないと感じます。以下のような例が挙げられます。

「思ったことを言えない自分が嫌だ」
「周りの人と打ち解けられない自分が嫌」
「人からの評価を意識しすぎる自分が嫌」

自分との葛藤によるもの

2つ目は対自的な自己嫌悪です。対自的とは、自分と葛藤するなかで起こる自己嫌悪です。自分に課している課題をうまくこなすことができず、自信を失っている状態になります。以下のような例が挙げられます。

「怠けている自分が嫌だ」
「決めたことをやらずにいる自分が嫌」
「目標をすぐにあきらめる自分が嫌だ」

このように私たちは、周りとの関係の中、自分との葛藤の中で、自己嫌悪を感じるのです。

自己嫌悪の心理的影響

自己嫌悪は心や行動に様々な影響がある感情です。まずは重要な4点について理解しておきましょう。

研究①人目を気にする

水間(1995)[2]では、大学生・大学院生261名を対象に、自己嫌悪尺度の作成を行いました。その調査の1つに、自己嫌悪と公的自己意識の関係についての結果があります。以下の図をご覧ください。

自己嫌悪が強いほど公的自己意識が高まる心理データ

上図を見ると、自己嫌悪が高いと公的自己意識が増えることが分かります。自分のことが嫌いになると、自分の悪い面ばかりが目に移り、それが周囲に知られてしまうのではないか?と考えてしまうのかもしれません。

研究②傷つきやすくなる

自己嫌悪の状態は、余裕をうしなっているので、傷つきやすくなります。ちょっとした批判、小さな間違え、ささいな指摘に反応しやすくなります。その結果、絶えず緊張状態にさらされ、健康を害することもあります。

斎藤ら(2009)[3]は大学生474名を対象に、自己評価と失敗過敏について調査を行いました。結果は下図となります。

自己嫌悪が強い人ほど失敗過敏が高まる調査結果

このように自己評価が低くなると、失敗過敏が増えることが分かります。失敗した時にすごく気になる…という場合は自己嫌悪が関連している可能性が高いと言えます。

研究③他人にあたりやすくなる

自己嫌悪になると、自分だけでなく、他人も傷つけやすくなります。場合によっては、イライラした気持ちを相手にぶつけてしまうこともあります。

暴言を吐いてしまう、手をあげてしまう、他人のSNSにネガティブな書き込みを繰返してしまう、これらは自己嫌悪の裏返しとも言えます。

逆に、自分を肯定できるようになると、相手に優しく接することができます。細田ら(2009)[4]は、自己肯定感についての調査を行っています。研究結果の一部が下図となります。

自己嫌悪が強いと他者肯定感も低下する心理データ

こちらは自己肯定感が下がると他者肯定感も下がりやすいことを意味しています。自己肯定感が低い状態は、言い換えると、自己嫌悪が強くなると、他者嫌悪につながりやすいと推測できます。

研究④成長につながることも

自己嫌悪はメンタルヘルスには、デメリットが大きいのですが、うまく活用すれば前向きな行動に結びつくこともあります。

ガブリエル・エッティンゲン(1991)[5]は、自分へのネガティブ思考がダイエットにどのような効果を与えるかを調べました。

自己嫌悪・ネガティブ思考とダイエット成果の関係を示す実験データ

その結果、上の図のように、自分へのネガティブ思考の女性の方が約11kgも体重を落とすことができたのです。

ネガティブシンキングはダイエットだけではなく、異性との関係や勉強などでも同じような傾向が確認されています。このように自己嫌悪は、マイナスの影響がある一方で、自分を成長させる、戒める効果もあるのです。

自己嫌悪の改善方法8選

ここまで解説した通り、前向きな行動に結びついている自己嫌悪であれば、そこまで問題はありません。自分を否定し、反省してチャレンジすることは人生を充実させからです。

しかし、他人に迷惑をかける、自暴自棄な行動になっている、イライラしている、と感じる自己嫌悪は改善したほうがいいでしょう。そこで自己嫌悪から立ち直る手法として8つ提案させて頂きます。

①反省すべきは反省
②過度の自責はNG
③自分を認める時間も作る
④自己「愛」的なほめ方に注意
➄自己「受容的」なほめ方を増やす
⑥たまには人に認めてもらう
⑦メタ認知力をつける
⑧前向きなチャレンジをする

ご自身の生活に活かせそうなものがありましたら参考にしてみてください。

①反省すべきは反省

自己嫌悪な行動をしてしまったら、まずは誠実に反省することが大事です。ダメなものはダメと、自分をいさめるようにしましょう。

NGなのは、ただ感情に任せて反省をすることです。

「もうダメだ!」
「自分は生きる価値がない!」
「クソ人間だ!」

このような自暴自棄な反省は何も生み出しません。大事なことは、なぜそのような行動をしてしまったのか、原因を冷静に考え、冷静に反省していくことです。これは心理学の世界で「省察(せいさつ)」と言ったりします。

・なぜそのような行動をしたのか 
・その時の自分の心理状態は
・どの時間帯に我を忘れやすいか
・次はどう対処すればよいか

など、自分を客観的に分析していくようにします。反省すべきは反省すべきですが、感情に任せるのではなく、省察の視点も必ず持つようにしてみてください。

感情を客観視するイメージ

②過度の自責はNG

自己嫌悪がマイナスの行動に結びつきやすい方は、必要以上に自分を責めてしまう傾向にあります。これを過度の自責と言います。

元々日本人は、統計的に見ても、ネガティブな感情が自分に行きやすい傾向にあります。過度の自責は、深刻な状況になると、自傷行為、自殺へと結びついていきます。

その自責は現実的なのか?考える視点を持つようにしましょう。「必要以上に自分を責めてしまう…」と感じる方は以下のコラムも参考にしてみてください。

自責の念を改善する方法

③自分を認める時間を作る

自己嫌悪が強い方におススメなのが、褒め褒めタイムを作ることです。これはポジテイブ心理学という分野でも推奨されています。やり方としては2段階あります。

1:今日上手くいった事を夜に3つ考える
2:うまくいった理由を振り返る

正式には、日記などで書くとされていますが、寝る前に目をつむりながら考えるだけでも安眠ができるのでおすすめです。そうすると1日1日の自分の成長を実感できますし、自信を積み重ねていくことができます。

④自己「愛」的なほめ方に注意

自分を褒める習慣をつけたら、その内容についても検討してみましょう。佐藤(2001)[1]による自己嫌悪の研究では以下の結果が導き出されています。

自己嫌悪を悪化させる自己愛的な褒め方の心理データ

こちらはうまく行っている自分に焦点をあてると、自己嫌悪が増えるという結果になっています。うまく行っている自分をほめ過ぎると、矛盾するように、うまく行かなかったときに自己嫌悪になりやすいです。

自分を褒めているのに、「なぜか自己嫌悪が収まらない…」と感じる方は、成功体験だけに目を向けないように気をつけましょう。

➄自己「受容」的なほめ方を増やす

佐藤(2001)[1]による自己嫌悪の研究では以下の結果が導き出されています。

自己嫌悪を減らす自己受容の考え方を示す心理データ

こちらは、例えネガティブな状態でも、どうにか頑張っていると自己肯定できると、自己嫌悪が減るという結果になっています。人生はうまく行っている時期ばかりではありません。失敗や挫折が続く時期も必ずあるものです。

そんなときでも自分がどうにか頑張っている、失敗する自分も含めて、認めていこうと、懐深く考えていくことが大事と言えます。

⑥たまには人に褒めてもらう

周りにいる人が

・あなたの欠点ばかりを指摘する
・あなたを無能呼ばわりする
・暴言を吐いて傷つけてくる場合

こんな環境だとしたら、あなたの心は、自己嫌悪でズタズタになってしまいます。

自己嫌悪は自分で改善していくことも大事ですが、環境を改善していくことも大事です。周りの人が攻撃性が高く、人の気もちを考える人が少ないと感じる場合は、思い切って、人間関係を再検討してみることも大事です。

「周りの環境が良くない…」と感じる方は以下のコラムを参考にしてみてください。

ソーシャルサポートをもらおう

自己嫌悪や自信のなさを和らげるソーシャルサポートのイメージ

⑦メタ認知力をつける

自己嫌悪が強い時は、マイナスの行動をとりやすくなります。マイナスの行動をとると、さらに自己嫌悪に陥るという負の循環になることもしばしばです。

ここで大事なことは、自分を観察して、冷静さを取り戻す練習をしていことです。この自分を客観的に見る力はメタ認知力と言われています。

メタ認知力が高くなると、感情に振り回されそうになった時に、自分を抑制しやすくなるという効果があります。1つのやり方としては

「私はいま〇〇という状態にある」
「私はいま〇〇という感情をもっている」
「私はいま〇〇と考えている」

と自分を客観視してみてください。このように自分をいったん観察できるようになると、我を失った行動をコントロールできるようになります。詳しくは下記のコラムを参照ください。

メタ認知力を向上させる方法

⑧前向きな行動に繋げる

自己嫌悪の気持ちは、言い換えると、もっと前向きな自分になれるはずという感情でもあります。うまく活かすことができれば、あなたをより輝かせる感情としても活用できます。

例えば

・暴飲暴食をしてしまった
 →ジムに通い始める
 →健康診断を予約する

・ギャンブルで散財してしまった
 →資格の勉強をはじめて取り返す
 →副業の勉強をはじめ行動する

・恋人にひどいことを言ってしまった
 →傾聴力をつけるワークを始める
 →手紙を書いて渡し、信頼関係を取り戻す
 →もう2度と傷つくことは言わない

など様々なやり方があります。自己嫌悪を自己嫌悪として終わらすのではなく、前向きな人生のためのきっかけにしていきましょう。詳しくは下記のコラムを参照ください。

アドラーに学ぶ,劣等感を克服する方法

 

仕上げの動画

自己嫌悪について、仕上げの動画も作成しました。コラムでは触れていない内容もあります。まとめとしてご活用ください。

まとめ

人生は一度しかありません。

・自己嫌悪に陥り、自分を否定して生きる
・自分を肯定し、認めながら生きる

私は後者の人生を皆さんに歩んでほしいと感じています。当コラムは自己嫌悪から抜け出す手法のほんの1部となりますが、何か活用できそうなものがあったら取り入れてみてください。

応援しています!

自己嫌悪をやめたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による心理学講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・自己嫌悪を減らす習慣を身に着ける
・自分を責める癖をやめるワーク
・1日3回自分誉めワーク
・劣等感の改善,アドラー心理学

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

自己嫌悪をやめたい人のための心理学講座で改善方法を学ぶ

助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]佐藤 有耕(2001).大学生の自己嫌悪感を高める自己肯定のあり方 教育心理学研究49巻3号
 
[2]水間 玲子(1995).自己嫌悪感尺度の作成 Japanese Journal of Educational Psychology,1996,44,296-302
 
[3]斎藤 路子 今野 裕之 沢崎 達夫(2009).自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連から 対人社会心理学研究 (9), 91-100,大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
 
[4]細田 絢, 田嶌 誠一(2009).中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する 研究 57 巻 3 号 p. 309-323
 
[5]Gabrile Oettingen & Thomas A. Wadden(1991).Expectation, fantasy, and weight loss : Is the impact of positive thinking always positive? Cognitive Therapy and Research Volume 15, Issue2