自責の念に駆られる時の対処法
皆さんこんにちは。コミュニケーション教室を開催している公認心理師の川島達史です。当コラムは下記にあてはまる方におすすめです。
・何かあると「全部自分のせい」と感じる
・人に迷惑をかけていないか不安になる
・褒められても素直に受け取れない
当コラムを読み進めていくと、自責の念への対処法をおさえることができると思います。是非最後までご一読ください。

自責の念の種類と特徴
まず初めに自責の念の理解から初めていきましょう。心理学の解釈では自責の念には2種類あると言われています。
ポジティブ行動をしなかった
1つ目はポジティブな行動を本来ならすべきだったのに、できなかった時に芽生える自責の念です。
「好きな人に気持ちを告げなかった」
「親孝行をする前に親が他界をした」
「謝罪すべき人から逃げた」
「仕事のノルマをサボってしまった」
などが挙げられます。
ネガティブな行動をしてしまった
2つ目は自分や相手にとってネガティブな行動をしてしまったときも自責の念が芽生えます。
「つい暴言を吐いてしまった」
「一夜の浮気をしてしまった」
「自分を止められず犯罪をしてしまった」
「ギャンブルで散財してしまった」
などが挙げられます。実際はやってはいけないことをやってしまったという状態です。皆さんが抱えている自責の念も、おそらくどちらかに分類されるのではないでしょうか?
健全な自責の念の効果
心理学では自責の念に近い概念である、罪悪感において研究が盛んです。以下、罪悪感研究を参考にしながら、自責の念のポジティブな面を考えていきます。
プラス面① 未来への反省機能
心理学者の久崎(2002)[1]は、自責の念と近い概念である罪悪感の機能を以下のようにまとめています。
・自分の過失を修復するため
・過失を今後しない意思を持ち続けるため
・自省や抑制できるようになるため
私たちは自責の念を持つからこそ、未来に同じ過ちをしないよう反省できるのです。
プラス面② 誠実さが育っている証拠
有光(2001a)[2]は、大学生292名を対象に、罪悪感について調査を行いました。その結果の一部が下図となrます。

罪悪感が強い方は、誠実性も持っている傾向があることが分かります。罪悪感があることで、自分の行動を振り返り、より正当な生き方を選べるようになると言えそうです。もしあなたが他人を傷つけたときに自責の念があるとしたら、健全な精神が育っている証拠とも言えます。
プラス③ 社会活動が健康的になる
有光(2001b)[3]は、大学生329名を対象に、罪悪感と健康について調査しました。その結果の一部が下図となります。

こちらは罪悪感を覚えやすいひとは、利己的行動、負い目、他傷をしたときに罪悪感を覚えやすいことを意味しています。前向きに考えると、罪悪感がある人は、社会活動を健全に営むことができると言えます。
例えば、あなたが友人と待ち合わせをしてハイキングに行くとします。この時寝坊をしてしまい、1時間遅れてしまったとしましょう。この時あなたが、きちんと反省できるのあでれば
「本当にごめん…
帰りの夕飯はおごるよ!」
と謝罪をする、埋め合わせをするなどの行動を取ると思います。このように自責の念を持つ人は、人間関係をきちんと築くことができるのです。
過剰な自責の念の悪影響
一方で、過剰な自責の念はメンタルヘルスに深刻な影響をもたらすこともあります。
危険性① 自己不全感
有光(2001a)[3]の研究では以下の結果も出ています。

こちらは罪悪感を覚えるほど自己不全感が増すという意味があります。自分を責める気持ちを、長期間何度も思い出すことは危険です。自責の念に年にかられると、自分のダメな部分ばかりに目が向き、前向きに物事を考えることが困難になってしまいます。
危険性② 閉鎖的になる
自責の念が過剰な方は、自分は罰せられるべき、人と接する資格がない人間だと考えることがあります。会話を楽しむことすら違和感を覚え、心の平穏を保つような人間関係を築けなくなります。
危険性③ うつ病のリスク
うつ病の症状の中には自責の念があります。うつ病の時は、家事などもできなくなることが多く、自分には生きる価値がない、役立たずだ、ダメ人間だと自責の悪循環に陥ってしまうこともあります。
自責が強く出ている方は、うつ病の可能性があるので要注意です。
危険性④自傷行為
自傷行為に走る人の多くが自責の念を抱えています。自責の念が過剰になると、自分は傷つくべきだと考え、リストカット、暴飲暴食、乱れた性生活などを行うことがあります。
罪の意識を持つことは悪いことではないですが、自傷行為で改善しようとしても、誰も喜びません。別の形で解消するようにしましょう。
自責の念の対処法6選
ここからは過剰な自責の念についての対処法を6つ提案させて頂きます。
①反省すべきは反省
②現実的な自責をする
③メンタライゼーション力をつける
④ひとりで抱え込まない
⑤前向きな行動に繋げる
⑥自分認めタイムを作る
ご自身の生活に活かせそうなものがありましたら参考にしてみてください。
①反省すべきは反省‐省察する
マイナスの行動をしてしまったら、誠実に反省することは大切です。NGなのは、ただ感情に任せて自暴自棄に反省をすることです。
「自分なんていなくなればいいんだ!」
「消えてなくなるべきだ!」
「もうダメだ…取り返しがつかない!」
このような感情に任せた反省は何も生み出しません。大切なのは、マイナスの行動を起こしてしまった自分を客観的に捉え、冷静に反省していくことです。
これは心理学の世界で「省察」と言ったりします。
「マイナス行動をした背景は?」
「その時の自分の心理状態はどうだったか」
「我を忘れやすくなるきっかけはなにか」
「同じことが起こったらどう対応すべきか」
など、自分を客観的に分析していくようにします。反省すべきは反省すべきですが、感情に任せるのではなく、省察の視点も必ず持つようにしてみてください。

②現実的な自責をする
過剰な自責の念に駆られる方は、必要以上に自分を責めてしまう傾向にあります。強い自責の念で、自暴自棄になりそうになったら、
「その自責は現実的なのか?」
「過剰になっていないか?」
「全ての責任が自分にあるのか?」
このように、現実的に考える視点を持つようにしましょう。これを心理学の世界では現実検討と言います。現実検討力をつけると、頭の中だけでなく、事実や因果関係を大事にしながら、責任の所在を考えていくことができます。
将来の健全な行動にも結び付きやすくなります。自分の頭の中だけで、「どんどん自責が膨らんでいく…」という方は下記のコラムも参考にしてみてください。
③メンタライゼーション力をつける
山口(2012)[4]は、167人の大学生を対象に、メンタライゼーションと自責、他責の関係について調査しました。メンタライゼーション力とは、自分や他人の行動の裏にある考えや感情を理解し推測する能力を指します。
上図は、メンタライゼーション力が低い人ほど、自責になりやすいことを意味しています。すなわち自責をしやすい方は、全体としての心の動きを読み取ることをせず、自分に責任を押し付ける癖があると推測されます。
メンタライゼーション力をつけるには、登場人物を紙の上に書いて、洞察するエクササイズなどがあります。「自分や周りの気持ちを考えるのが苦手…」と感じる方は参考にしてみてください。
④ひとりで抱え込まない
もしあなたが自責の念をすべて自分の中で処理しようとしていたら注意が必要です。特に自責の念が強い方は、悩みを一人で抱えがちです。
困った時はお互いさまです。人に悩みを語ることで、心が整理されていきます。もし身近に悩みを語る人がいなかったら、公的な機関に問い合わせたり、SNSで助けを求めるのもOKです。
自責の念を一人で抱え込んでしまうと感じる方は下記を参照ください。

➄前向きな行動に繋げる
自責の念は、言い換えると、もっと前向きな行動をとれるはず!という感情でもあります。その意味で自責の念は、あなたをより輝かせる感情としても活用できるはずです。
例えば、
・暴飲暴食をしてしまった
→健康アプリを入れる
→家族に財布を預ける
→ジョギングをはじめる
・投資が失敗して散財してしまった
→新しい仕事を上司にもらいボーナスを狙う
→副業の勉強をはじめ行動する
・恋人を傷つけてしまった
→やさしい人間になることを誓う
→心を込めて手紙を書く
など様々なやり方があります。自責の念を自責として終わらすのではなく、前向きな人生のためのきっかけにしていきましょう。

⑥自分認めタイムを作る
自責の念が強い方におススメなのが、自分認めタイムを作ることです。これはポジティブ心理学という分野でも推奨されています。
例えば、寝る直前は自分認めタイムにするやり方があります。目をつぶって、布団に横たわったら、
・努力できたこと
・自分を慰める
・成長した点
・勇気を出せた点
を確認して寝るといいでしょう。そうすると、自責の念もいくばくかは緩んでいくと思います。自然と睡眠も安定するのがメリットです。ぜひ自分認めタイムを作ってみてください。
まとめ
繰り返しになりますが、自責の念は健康的な感情です。ゼロにする必要は全くありません。一方で、過剰な自責は、自分を傷つけるだけでなく、周りの人が喜ぶわけではありません。
大事なことは、反省を次に活かし、健康的で前向きな行動に活かしていく行くことなのです。当コラムで紹介した手法で使えそうなものがありましたら試してみてください。
応援しています!
自責の念を改善したい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・自責をする習慣の改善
・健康的に反省をするワーク
・べき思考をほぐす心理学
・自分誉めタイムを作るワーク
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3件のコメント
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うつになるまえに逃げろ。
俺みたいになるな。。
頼む。前向きにすらなれなくなる前に諦めんなよ!
今、ある人に取り返しのつかない事をしてしまい
謝罪も受け付けてもらえず、苦しいです
まさに鬱になりかけていますコラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1] 久崎 孝浩 (2002). 恥および罪悪感とは何か : その定義,機能,発達とは 九州大学心理学研究, 3. 69-76.[2] 有光 興記 (2001a). 罪悪感,恥辱心と性格特性の関係 性格心理学研究, 9, 71-86.











上記の図でわかるように、
自責でイライラしている人がいますが周囲の人はどのようにすれば助けられます
?周りの人の対処方法を教えてください。