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夫婦の会話がない,増やす方法

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夫婦の会話がない,増やす方法

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「夫婦の会話がない」です。

夫婦の会話がない

相談者
40歳 女性

お悩みの内容
私は現在結婚10年目です。子供も成長し、夫との会話のきっかけがなくなってしまいました。昔は会話が絶えない暖かい家庭だったのに、とても寂しく感じます。夫はいつもTVやスマホを見ているばかりで、家族のことに興味がないように思います。会話が多い夫婦になるためには、どうすればよいでしょうか。

夫との会話が少ないと、寂しくなったり、ないがしろにされている気持ちになってしまいますよね。当コラムでは、夫婦の会話がない時の対策をご紹介していきます。是非最後までご一読ください。

夫婦の会話と心理学研究

夫婦の会話についてはこれまで様々な研究がなされてきました。まずは夫婦の会話の重要性について理解を深めていきましょう。

30分以下は離婚の危険

MDRT日本会(2006)[1]は、既婚男女 516名を対象に、夫婦の意識調査を行いました。その結果の一部が以下の図です。

夫婦の会話 会話時間

このように「離婚する可能性なしと回答したグループ」の方が、会話時間が多いことがわかります。つまり、パートナーとの会話時間が少ないほど、離婚の危険性があると言えそうです。

子供にも悪影響

菅原ら(2002)[2]は、1360名の母親を対象に夫婦関係が子どものメンタルヘルスにどのような影響を与えるか調査をしました。その結果が以下の図です。

子どもに悪影響

少し複雑な図ですが、夫婦仲が悪い家庭は、子供が抑うつを抱えやすいことを示しています。家庭に会話がなく、ポジティブな感情の交流がない家庭は注意が必要です。

会話はお互いの信頼を深める

山口(2007)[3]は有配偶者1024名を対象に夫婦関係満足度の調査を行いました。その結果の一部が下図となります。

夫婦の意識調査

上記は、夫への心の支えの信頼度を向上させる要因として、会話時間の増加が3位にランクインしていることを表しています。また休日を一緒に過ごすことの重要度も高いことがわかります。

自己開示度が高いと夫婦関係も◎

伊藤ら(2017)[4]は、子育て期・中年期の男女1882名を対象に、夫婦のコミュニケーションと関係の満足度について調査をしました。この研究の一部が下図となります。

夫婦の会話がない 自己開示

こちらの図は、夫婦の会話時間、お互いの自己開示が多いほど、関係の満足度は高まる傾向にあります。お互いに自己開示をし合うことで「夫婦の共通の話題」が増え、自然と会話も多くなっていきます。その結果、夫婦関係の満足度も高くなると言えそうです。

“会話レス夫婦”から脱却して夫婦の会話を増やすためには、「話をする機会」を意識的に作る努力も必要になってきます。

会話レス夫婦から脱却

夫婦の会話を増やす方法

ここからは、夫婦の会話を増やす6つの方法を解説します。

①夫婦の会話を定例化する
②傾聴力をつける
③自己開示する
④よく笑う
⑤TV,スマホなし
⑥共通の趣味を持つ

ご自身の家庭で取り組めそうなものを組み合わせてご活用ください。

①夫婦の会話を定例化する

夫婦の会話を増やすためには、習慣化していくことが大切です。「そのうち時間ができたら」「何か話すことがあれば」と話す機会を待つのではなく、「毎週1回」「毎日〇時」など時間や環境を決めてしまうことがおすすめです。例えば以下のようなやり方がおすすめです。

朝食は一緒に取る TVを消して 15分間会話をする

就寝前の10分間 ソファーでくつろぎながら その日の出来事を報告する

毎週1回は外食する 1週間を振り返る

このように、日常の生活の中に習慣として組み込むと、会話を増やすことができます。生活のあり方を見直すようにしましょう。


会話を定例化して夫婦喧嘩を回避

②傾聴力をつける

夫婦の会話を増やすためには、自分から傾聴していくことが大切です。例えば、以下のようなやり方が挙げられます。

今日は良いことあった?
最近仕事は楽しい?
身体の調子はどう?

などオープンクエッションで質問する

それめちゃめちゃ楽しそう!
そうかあ~辛かったんだね

などオウム返しをする

このように、あなたから傾聴することを増やすと、パートナーは会話をすることが楽しくなってきます。継続していくと、相手から話しかけてくることも多くなり、会話が増えていくでしょう。夫婦の会話を増やすにはまずは傾聴から入ることを意識してみてください。

傾聴力を高める方法をより詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

傾聴力を高めるトレーニング法


③自己開示をする

傾聴がある程度うまく行ったら、自己開示を積極的にしてみましょう。自己開示を行うことで、自分の状況をパートナーに知ってもらうことができます。その結果、相手から質問が生まれたり、逆に相手が自己開示してきたりと、コミュニケーションが弾みやすくなります。

具体的な方法としては、

相手が仕事から帰ってきたときに、
今日一日で印象に残ったことを話す

嫌なことがあったときに
ユーモアを交えながら適度に愚痴を言う

などがあげられます。自己開示を積極的に行うことで、会話のきっかけが生まれ、穏やかな雰囲気が流れることも多いです。まずは自分が楽しむ!という気持ちで、興味のあることを存分に話していきましょう。

④よく笑う

夫婦の会話がなくなってしまう原因として、ユーモアが少ないことが挙げられます。ユーモアが少ないと、日常会話が単調になり、殺伐とした雰囲気になってしまいます。

夫婦の会話を増やすためには、よく笑うことが大切です。例えば、

自分の失敗談を面白く話してみる

眼鏡をかけているのを忘れて眼鏡を探す

相手の寝ぐせを適度にからかってみる

などがあげられます。このように、日常生活の中に笑いの要素を取り入れることで、会話が生まれやすくなります。よく笑う人になるための方法をさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

よく笑う人になる方法

 

よく笑う人

⑤TV,スマホなし

夫婦の会話がなくなる原因として、TVやスマホが使用が挙げられます。

TVがついていると、世間のことにばかりに意識が行ってしまい、家庭の話がおろそかになります。また、スマホの使用はお互いに自分の世界に入りこんでしまうので、夫婦の会話を妨げる要因になります。

夫婦の会話を増やすためには、TVやスマホの使用を制限することが大切です。例えば、

食事中はTVやスマホを見ないで会話をする

18時~20時はTVをつけない

家ではPCでlineを返信する

などがあげられます。このように、団らんの時間にデジタル機器を使用しないことで、夫婦の会話も活性化しやすくなります。

もちろん、家族のこれまでの習慣を変えることは簡単ではありません。そこで、まずは「食事中はスマホを見ない」など、できそうなところから始めてみてくださいね。

⑥共通の趣味

夫婦生活が長いと、お互いの興味が一致しなくなってくることが多いです。新婚の時は、相手に興味を合わせようと努力するのですが、年数を重ねるごとに、それぞれ自分の興味を求めるようになります。

夫婦の会話を増やすためには、初心に帰って、相手に興味を合わせようとすることが大切です。相手の関心事に興味を持つことができれば、共通の趣味となり、会話が発展しやすくなります。

例えば、

一緒にゲームをしてみる

相手の好きなYouTuberを見てみる

同じ球団を応援してみる

などがあげられます。

最初は「なんでこんな興味のないことを…」と思うかもしれません。ですが、暖かい家庭に戻るため!と思って、少しでもやってみましょう。人間は面白いもので、何度かやっていくうちにハマってしまうことがあります。

そして、まずはあなたからパートナーの関心事に興味を示すことで、その逆も起こります。人は鏡という言葉があるように、今度はパートナーがあなたに興味を示してくれるようになるはずです。ぜひ、試してみてくださいね。

共通の話題が会話レスを改善するポイント

まとめ

夫婦の会話は、お互いのメンタルヘルスを向上させ、子供にも前向きな効果をもたらします。最初は少し恥ずかしいかもしれないですが、面と向かって話す機会を作りましょう。お互いの気持ちを受け止める習慣を増やせば、きっと夫婦関係はより素敵なものになると思います。応援しています♪

しっかり身につけたい方へ

当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。

・夫婦の会話がはずむ♪会話の基礎練習
・旦那,妻の話を聞く,傾聴力トレ
・楽しい家庭にする,話し上手トレ
・夫婦の心が通い合う,心理学

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1]MDRT(Million Dollar Round Table)(2006).日本会「40代~50代の『夫婦の意識調査』~会話不足は熟年離婚のシグナル~」報道資2006.11.13 
 
[2]菅原ますみ,八木下暁,託摩紀子(2002).夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連より一部改変して掲載教育心理学研究,2002,50,129ー140
紀子
[3]山口一男(2007).「夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス:少子化対策の欠かせない視点」経済産業研究所・季刊家計経済研究73 50-60.
 
[4]伊藤裕子・相良順子・池田政子(2017)「夫婦のコミュニケーションが関係満足度に及ぼす影響―自己開示を中心に―」文京学院大学人間学部研究紀要 Vol.9,No.1,pp.1~15.