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冷静沈着な人になる方法・感情的な人の問題 

冷静沈着な人になる方法・感情的な人の問題 

みなさんはじめまして!社会心理学の専門家、精神保健福祉士の川島です。私は社会心理学の大学院で、成人のコミュニケーションについて研究をしてきました。

本コラムでは「冷静沈着」をテーマに解説します。目次はこちらです。

しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;すこし大変ですが、ぜひお付き合いください。

冷静沈着になれない問題

冷静沈着とは、出来事に対して動じず落ち着いた態度のことです。

例えば、
「〇〇さんは冷静沈着だから頼れる」
「大変な時こそ冷静沈着でいたい」
「冷静沈着だから多少のことは大丈夫」
などの使い方をするため冷静沈着な行動や判断には、多くの人がプラスのイメージをもっているのではないでしょうか。

冷静沈着であれば、勢いで物事を判断したり、心が乱れることがないため、ベストな行動がとれることも多く憧れを持つ人も多いでしょうしかし私たちは状況によって、冷静な判断ができなかったり心が乱れて感情的になってしまう事は少なくありません。

もちろん何かに感情的になることは決して悪いことばかりではありませんが、感情に敏感になりすぎることは心理的負担がとても大きくなるため注意が必要です。

まずは、冷静でいられないことの問題点についてみていきましょう。

強い感情表現は人間関係にマイナス

心理学の世界では、表情・口調・態度などの感情の表し方を「感情表出(Expressed Emotion:EE)」と言います。感情表出は、家族など身近な対人関係での、過度なストレスを避ける環境づくりをする上でとても重要な要素の一つになっており、強い感情表出はメンタルヘルスでマイナス要因になりやすいことが判明しています。

感情表出については、統合失調症の再発と家族の感情表出の関係を調べた研究がいくつかあり、家族の強い感情表出が統合失調症の再発に影響を与えていることが報告されています。

強い感情表出の事を「高EE」といい、3つのタイプがあるとされています。

①批判的表出
「家にずっとなんて…」「仕事くらいしたどう」「何回言えばわかるの!」など、不満や文句を言う感情です。

②敵意表出
「腹が立つ!出て行って」「あんたなんかいなければいいのに」など、本人を敵視するような感情をぶつけることです。

③情緒的に巻き込まれすぎ
「かわいそうに…私がなんとかしなきゃね」「私だけがあなたの気持ちがわかるわ」過保護や過干渉、「わたしなんかどうせ…」なと自暴自棄になる感情です。

批判的・敵意・過度の感情的巻き込まれなどが強くみられる場合が「高EE」でそうでない場合を「低EE」といいます。高EEの場合は低EEに比べ再発率が著しく低くなることが分かっています。

高EEとは?心理学の専門家が解説統合失調症を発症した人は、周囲の人たちとの接し方に特に敏感です。また家族がツライ時期だからこそ、いいかかわり方をしたいのはだれしも同じですが、大切な人だからこそ冷静さを保てないのも私たち人間なのかもしれません。このような場面こそ、冷静沈着な行動ができるよう工夫が必要です。

過度な感情的な関り方は、周囲へのストレス負荷を大きくさせてしまう事につながります。またベストな判断ができず周囲を振り回してしまう事にもなります。特に怒りの感情は、上手にコントロールしないと、健康や人間関係にマイナスの影響が出てしまうため注意が必要です。

怒りの感情をコントロールできないことでの問題について見ていきましょう。

怒りが健康にマイナス?!

冷静な対応を心がけるうえで、怒りの感情をうまくコントロールすることが大切です。不適切な怒りの感情をコントロースする手法にアンガーマネジメントという方法が広く知られるようにもなっていることから、怒りの感情との付き合い方には関心が高いことが分かります。

アンガーマネジメントできないと、どのような影響があるんでしょうか。現在の生理学・心理学的な研究から見ていきましょう。

1:短期と身体への影響

井澤等(2004)は、「敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連」では、怒りと生理的な影響について男子大学生20名を対象に研究が行われました。その結果、衝動的な怒り情動を表す「短気」が、収縮期血圧・拡張期血圧の上昇と関連することが分かりました。

怒りに関する例の表

短気な人は敵意的でない人と比べて、日常場面でも怒り喚起時に高い心臓血管反応性を示しています。つまり、敬意的な人と比べて短気な人は、冠動脈疾患に罹患しやすい可能性があるということです。

2:怒りは影響する

筑波大学の渡辺俊太郎(2004)は「怒り感情が心身の健康に及ぼす影響に関する研究」で、怒りが生理的、心理的にどのような影響があるかを調査しました。その結果、怒り持続傾向の高い男性は、副交感神経が低下し抑うつにも影響を与えていることがわかりました。

このように怒りの感情は、心身ともにマイナスの影響が大きいため、しっかりコントロールすることが必要です。精神疾患やストレスが大きい時には、アンガーマネジメントが難しくイライラしたり怒りっぽくなったり、時には暴力行動にも発展することがあります。

冷静沈着な行動を心がけるうえで「怒り」の対処は重要と言えそうです。

感情表出は女性に特有?

一般的に女性は感情的になりやすいイメージがありませんか?感情表出には、性差があるのでしょうか?

女性ホルモンの1つであるエストロゲンは不足するとうつ状態を引き起こす原因です(野田、2018)。またエストロゲンの不足は、イライラや不安といった心の不調として現れることが分かっています(黒住・佐田、2016)。

エストロゲンは気持ちを高めるセロトニンという脳内物質と関連するホルモンで、女性の場合は生理前や更年期に減少する傾向があります。ホルモンのバランスが崩れている時期には、ストレスが無くても情緒不安定になりやすく症状が強い場合は、日常生活に支障が出ることもあります。

このようにホルモンバランスの崩れが、感情コントロールに影響をしている点から考えると、感情的になりやすいのは女性ならではの特徴の1つなのかもしれませんね。

解決策!マインドフルネスで冷静になる

ここからは、冷静沈着な行動をするための具体的な方法を見ていきましょう。本コラムでは、感情コントロールが苦手な人におすすめの「マインドフルネス認知療法」をご紹介します。

マインドフルネス認知療法とは

マインドフルネスとは?

マインドフルネス認知療法は、うつ病や不安障害などの精神疾患の患者に有効な心理療法です。また心の安定を図ることできるため、ストレスの対処法として注目を浴びています。マインドフルネス認知療法はアメリカから世界に広まった方法ですが、東洋的な思想が取り入れられているため日本人は取り組みやすいといえます。

マサチューセッツ大学「マインドフルネスセンター」の創設所長であるKabat-Zinnは、マインドフルネス認知療法を次のように定義しています。

「意図的に今この瞬間に価値判断をすることなく注意を向けること」

いいかえると、

『ただ 「いま」の自分の気持ちを評価をせずに観察する』

ということです。イメージできますでしょうか。

この評価をしないで観察するとはどういうことでしょうか?

キーワードは「観察」

冷静沈着を心がけていても、感情に振り回されることはだれしもあります。この感情に振り回されることを「自動操縦」といいます。イメージとしては、感情で自分の意思がコントロールできず自動的に操縦されてしまうような感じですね。

これに対し、マインドフルネスでは感情が出てきた時には、自己中心的な思考から脱する「脱中心化状態」を目指します。心に浮かぶ感情に対して「一歩離れて観察する」ことで、否定や怒りなどネガティブな感情をしっかりと観察をするのです。

このように、感情や考え方に意識を向けることで「今の私はイライラしている」「悲しい気持ちだ」と観察できます。感情にどっぷりつかってしまうと雑音が気になってしまいこの観察がなかなかできません。冷静沈着な状態でなければ、しっかりと感情を観察することは難しいのです。

マインドフルネスは、感情を修正したり操作することを目的とはしません。いまこの瞬間をあるがまま受け止める事に集中します。

例えば

「悲しい気持ちを忘れて集中しよう!」
「雑音を気にしないようにしよう!」

このように自分の感情を修正することはしません。

「悲しい気持ちを持っている自分がいるなぁ」
「雑音が気になる自分がいるなぁ」

自分の感情をしっかりと観察ができると、感情の自動操縦から抜け出し、冷静沈着な行動ができるようになります。

感情の観察が冷静な行動につながる

マインドフルネスの姿勢とは?-例文

ここで例をひとつご紹介しますね。

<会社員のAさん>
Aさんは仕事のスピードが人一倍速く上司からはとても良い評価を受けています。ただし、感情的ななりやすいところがあり仕事でイライラしたときには、冷静沈着な判断や行動ができないことがあります。先日も、仕事が遅い後輩に対して「これくらいならすぐにできるよねできるよね」「なんでこんなに時間がかかるの?」と、いらだちをぶつけてしまいました。

ここで、Aさんにマインドフルネスの姿勢を当てはめてみましょう。

「イライラしてきたな…」
「イライラしている自分がいるなぁ」

自分の感情をしっかり観察して、客観的に受け止めます。

イライラしている自分に対して「イライラするのはダメだ」「落ち着け落ち着け」と自分を評価したり抑え込む必要はありません。ただただ観察することだけでいいのです。観察がしっかりできれば、冷静な行動が可能となりますよ。

このようにマインドフルネスの姿勢を取り入れてれば、Aさんもいつもより後輩にやさしく手順を提案できるかもしれませんね。

マインドフルネスの姿勢の具体例

感情に気づいて冷静沈着になろう

マインドフルネスは、日本語で「気づき」という意味です。マインドフルネス認知療法では、自分の思考や感情ひとつひとつを一つ意識して気づいていくことを行っていきます。

自分をしっかりと観察して「イライラしている自分がいる(と気づく)」「今自分はイライラしているな(と気づく)」というように、“いま”を客観的に感じることで自分の感情に気づくことで、とらわれたネガティブな気持ちから距離を置くことができます。

マインドルフネスの姿勢を取り入れることで、冷静沈着な判断・行動を実践していきましょう。

専門家の講義を受けたい方へ

本コラムでは、冷静沈着をテーマに、感情に振り回されることでの問題や心身への影響、具体的な対処法をご紹介しました。マインドフルネスの、『「いま」の自分の気持ちを評価をせずに観察する』を意識することで、感情をコントロールしてくださいね。

最後に、「冷静沈着」コラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。まずは、ご紹介した方法を実践してみてくださいね。

そして、専門家から直接学びたい!という方は良かったら私たち臨床心理士・精神保健福祉士が開催している、コミュニケーション講座への参加をおススメしています。コラムだけでは伝えきれない知識や実践的なワークを進めています。みなさんのコミュニケーション能力が向上するよう、講師も一緒に頑張ります!よかったらいらっしゃってくださいね(^^)

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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