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疎外感の意味とは?心理的影響と5つの対策

疎外感の意味とは?乗り越える5つの方法

こんにちは。公認心理師の川島です。

今日のテーマは「疎外感」です。疎外感とはどんな感情なのでしょうか?心理学の視点から考えていきます。

  • 改善するお悩み
  • 仲間外れにされている
  • 自分だけ上手くいかない
  • 孤独で寂しい
  • 全体の目次
  • 入門①疎外感とは?
  • 入門②心理的影響
  • 入門③5つの対策で乗り越える
  • 助け合い掲示板

コラムを読み進めていくと、基本的な知識と対策を抑えることができると思います。せひ最後までご一読ください。もしお役に立てたなら、初学者向け心理学講座でもお待ちしています。

*動画の解説もあります。

疎外感の意味とは?

意味

エイリアン(alie)という言葉を聞いて皆さんどんなイメージがありますか?第一感としては、

宇宙人

が思い浮かびますね。英語を勉強したことがあるかたは、

外国人

とイメージされるかもしれません。どちらにしてもalieという言葉には「外、外部」のという意味がありそうです。

疎外感は社会心理学の世界で1960年代から「alienation」として研究されてきました。最初に疎外感を分析したのはSeeman (1959)という心理学者です。

Seemanは疎外感を以下の5つから構成されると主張してます。

無力さ、無意味さ、無基準、孤立、自己解離感

全体的に「無」が並んでいてネガティブな感情であることがわかります。孤立して、無力感があり、自分の存在意義を失っている感じがしますね。

私たちはある集団の「外」にいる感覚があるとこれらの感情を覚えると言えそうです。

疎外感の例

たとえば、飲み会に参加したときに、みんなが盛り上がっているのに自分だけが孤立しているような感覚になる時があります。

一見集団の中にいても「外」にいる感じがあると疎外感を覚えます。

飲み会の席で疎外感を感じる例

例えば、仲がよいと感じていたサークル仲間が、自分が知らないところで遊びに行っていたとします。この時も集団の「外」にいる感じがあり、疎外感を覚えます。

疎外感を感じる例

疎外感を覚える
「お前なんていらない」
「こっちに来るな」
「いらない」
といった感覚になり、無気力、存在意義の欠如にむすびつくのです。

疎外感の中身についての研究を見ていきましょう。

疎外感の中身

宮下(1981)は、疎外感の中身について調べました。疎外感には、以下の感覚があるとしています。疎外感の中身

・孤独感
孤独で寂しい気持ちです。

・空虚感
空しい感覚です。

・圧迫拘束感 
排除されると、拘束されている感覚です。

例えば、
海外渡航が禁止されるとします
→すると日本から出られない状況になります
→日本から出れないと自由を失う感覚で拘束されている気分になります

排除と拘束は表裏一体と考えられています。

・自己嫌悪
「自分はいなくなってもいいのかな…」という感覚です。Seemanの研究と似ています。

 

孤独感との違い

疎外感と似た言葉に、孤独感があります。疎外感と意味はかなり似ています。

孤独感とは、寂しいという感覚が強い言葉です。「孤独感」に「排除されている」という感覚が強くなってくると疎外感になります。疎外感と孤独感の違い

私は孤独感、疎外感どちらの論文も調査しましたが、孤独感より疎外感の方がより危険な兆候が見られるため注意が必要と感じています。

疎外感の心理的影響

疎外感は、心理面に様々なマイナスの影響があります。当コラムでは以下の3つを挙げます。

①自己価値の低下
②問題行動
③将来への希望がなくなる

それぞれについて詳しく見ていきます。

①自己価値の低下

西野(2007)の研究によると、疎外感を受けると自己価値が下がることが分かっています。疎外感と自己価値の関係「自分なんていらなくなっていいのかな」「社会にいらないのかな」という感覚から自己価値が下がってしまいます。

研究結果の数値から、男子より女子の方が相関が大きいことから、女性の方が疎外感が大きくなりやすい傾向が見えます。

②問題行動

疎外感を感じて自己価値が下がると、そのマイナス感情は行き場所を求めます。それが、問題行動につながりやすくなるのです。

間接的効果での問題行動加えて、疎外感が問題行動に直接つながることもあります。疎外感は、直接的な効果と間接的な効果から問題行動につながるのです。

疎外感と問題行動の関係図そして問題行動の行き場所は、大きくわけて2つあります。

・自責
自分自身を苦しめてしまう行動です。たとえば、自傷行為、ギャンブルにのめりこむ、お酒に走るなど、苦しさに耐えられず自分を苦しめてしまいます。

・他責
他人に対する問題行動です。暴言、暴力などに繋がります。極端な例となりますが、いくつかの事件にも疎外感が強く関連しています。

秋葉原通り魔事件
犯人は、事件前に「友人が欲しい」「彼女さえいればこんなみじけな思いはしない…」という書き込みをネットにしていました。

この気持ちの行き場を、自殺か他人を攻撃するかで悩み、最終的に他人への攻撃を選択してしまった事件です。

下関通り魔殺人事件
犯人には「賑やかな場所、にぎやかな時期に一層疎外感を持つ。楽しそうにしている人をみると攻撃心がでる」という心理があったとされています。

うまくいっている人に対して、自分だけうまくいっていない感覚があると、攻撃心が出てしまうのです。

 

③将来への希望がなくなる

以下のグラフは「友人の数」が「自分の将来への希望」にどのように影響するかを示しています(内閣府,平成25年)。

オレンジ色は「希望がある」、緑色は「希望が無い」というイメージで捉えてみてください。

グラフは上段に行くほど、友人の数が多い人の結果です。グラフが上段に行くほど、オレンジ色の面積が広くなっているのがわかりますね。

この結果から、疎外感を感じていると、将来への希望をなかなか見いだせないと推測できます。

診断・チェック

ここからは疎外感の改善方法をお伝えします。その前に、疎外感の親戚である孤独感で現在のご自身の状態をチェックしておきましょう。

5つの対策で乗り越える

ここからは疎外感を感じた時の対処法をお伝えします。具体的には

①自暴自棄に注意
②ネットの活用
③コミュ力
④芸術活動
⑤自我の確立

を提案させて頂きます。ぞれぞれについて詳しく見ていきましょう。

①自暴自棄に注意

疎外感は、自分、他人に攻撃性が向きやすい感情です。まずはそんな自分自身の状態に気が付かなくてはなりません。

ここで重要なのが、「メタ認知」です。メタ認知とは、自分の感情や考え方を把握する能力です。

メタ認知を高めるには、日記や診断がおススメです。日記は、自分がどのような状態かを書き込んでいけるのでメタ認知が高まります。

寂しい気持ちやイライラする気持ちがあった時には、日記を書いて診断と組み合わせていくと、自分の状態をかなり把握できると思います。

自分を冷静に見つめなおす力を付けたい方はメタ認知コラムを参照ください。

②ネットの活用

実は私(川島)は、ひきこもりだった時期があります。その時も、インターネットのブログだけは活用していました。そのおかげで、社会とつながっている感覚がなんとか保てたように思います。

ネットの活用はおすすめだと思います。

また、同じ悩みを持つ人をSNSやYouTubeで探してみるのもいいでしょう。自分の悩みに近い人の解決策を参考にするのもいいですね。

③コミュ力

疎外感を感じやすい方は、気持ちは人と接したくても、技術がおいついていないことがあります。

屈託のない会話ができるように傾聴力、発話力など、最低限のスキルは身に付けたいですね。

疎外感が薄れて、気持ちをほぐすことができます。以下の動画・コラムも参考にしてみてください。

傾聴力コラム
発話コラム

④芸術活動

Mohan(1987)は、インドのクリエイティブライター(23〜83歳)100名に疎外尺度の調査をしました。調査の結果、クリエイティブライターには、

疎外感
内向的

という特徴があることが分かりました。

疎外感と創作意欲

つまり、ヒット作品を出すライターは、疎外感や内向的な性格を、創作意欲に結び付けているといえます。

疎外感による攻撃性は、創作意欲に結びつけるという方法もあるのです。

⑤自我の確立

宮下(1981)は、272名(大学生176名・高校生96名)に「疎外感」の発達と適応との関係を調査しました。

その結果、自我の確立が疎外感に大きく影響していることが分かりました。自我の確立とは、自分はどういきるべきかが定まっている状態です。

以下の図をご覧ください。自我の確立と疎外感は負の相関になっています。つまり、自分が何者かがわかってくると疎外感が減りやすいと言えます。

疎外感と自我の確立の関係

ちなみに、-.69**という負の相関は影響が大きいことを示しています。

自分がどう生きるべきかが分かると、自身の人生への集中力が高まるため、他人の顔色をうかがわなくなると言えそうです。逆をいえば、疎外感がある状態は、自分が定まっていない可能性が高いといえます。

自我の確立についてより深く知りたい場合は以下のURLをご覧ください。

アイデンティティの確立とは?

まとめ‐助け合い掲示板

まとめ

疎外感とは、疎まれ排除されている感覚です。類似した言葉に孤独感がありますが、疎外感の方がより危険な兆候が見られるため注意が必要です。

疎外感は、自己価値の低下、希望のなさなどに影響し問題行動の根幹となりやすくなります。ご紹介した5つの対策を参考に、乗り越えていきましょう。

助け合い掲示板の活用

ページ下部には助け合い掲示板があります。当コラムは心理面に関する考え方が多く集います。お互いの悩みや経験談など相談してみましょう。*お互いを思いやったご投稿をよろしくお願いします。

講座のお知らせ

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助け合い掲示板

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・宮下 一博, 小林 利宣,青年期における「疎外感」の発達と適応との関係,1981 年 29 巻 4 号 p. 297-305
・西野 泰代,学級での疎外感と教師の態度が情緒的な問題行動に及ぼす影響と自己価値の役割, 2007 年 18 巻 3 号 p. 216-226
・平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 生活環境と個性が友人数に与える影響(内閣府))
・Personality and alienation of creative writers: a brief report 1987  Mohan, Jitendra Tiwana, Manjit

・Seeman, l 959, On the meaning of alienation. Amen can Sociological Reυieω,