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感情コントロールができない原因と対策

感情コントロールができない原因と対策

皆さんこんにちは。
公認心理師、精神保健福祉士の川島達史です。

今回のお悩み相談
「感情コントロールができない」

相談者
45歳女性
結婚10年目
共働き
中学生の子どもがいる

お悩みの内容
私は現在、フルタイムで働きながら子育てをしています。結婚前は温厚な性格で怒ることはめったになかったのですが、最近なぜか感情のコントロールが効かず、大きな声で怒ってしまうこともあります。

家庭でも仕事でも人間関係が悪くなっています。感情的になってしまいイライラする自分を止めたいです。どうすればいいですか?

感情が不安定で困っているのですね。

私はカウンセラーとして日々活動をしています。様々な方のお悩みをお伺いすると、人間関係のトラブルのほとんどに感情のコントロール力の不足が絡んでいると感じています。

「批判され暴言を書き込んでしまった」
「人前は怖いのでいつも逃げてしまう」
「一度不安になるとどんどん悲観的になる」

これらのお悩みに共通することは、まさに感情コントロール力の不足です。

感情コントロールができない

心理学の世界では、感情コントロールに関する様々な手法が生み出されています。当コラムでは様々な手法を解説していきますので、是非最後までご一読ください。

感情コントロール不足問題

感情コントロールが効かないと、さまざまな問題が起こることが分かっています。いくつかの研究を折りたたんで掲載しました。

興味があるタイトルがありましたら展開してみてください。

城月健太郎(2013)は、社交不安障害(SAD)患者14名と大学生251名に対し、不安のコントロール感に関する調査を行いました。

結果が以下のグラフです。
・大学生のグラフが伸び
・SAD患者のグラフが低く
なっています。

感情コントロールと不安

これは、健康的な大学生は不安に対して自分で制御できる感覚があり、SAD患者は不安をコントロールできない感覚があることを示しています。

つまり、感情コントロールができないと、不安に飲み込まれやすくなると言えそうです。さらに、不安に飲まれる状態が続くと、社交不安障害などのリスクが高くなるため注意が必要です。

筑波大学の渡辺俊太郎(2004)が、「怒り感情が心身の健康に及ぼす影響に関する研究」において、怒りが生理的、心理的にどのような影響を及ぼすかを調査しました。

その結果、怒り持続傾向の高い男性は、副交感神経が低下し、抑うつにもつながることがわかりました。

横山(2014)はうつ病と関連して、“怒り発作”の概念を取り上げています。“怒り発作”とは、

・過去6か月間、イライラが確認される
・少しの煩わしい出来事に過剰に反応
・過去1ヶ月間に1回以上の怒り発作
・怒り発作と性格が一致しないと感じる

などの条件により定義されます。こうした突然怒りの表出を表す人は、うつ病を伴う比率が高いとされています。

他にも、双極性障害(いわゆる躁うつ病)や若年性認知症においても、それまでの性格では考えられない激しい怒りを伴うことが知られています。もちろん、感情コントロールもできなくなります。

いずれにしても、突発的に怒りやすくなった場合は、精神疾患の可能性も視野に入れておく必要もあるのです。

精神疾患の場合は、心理療法や薬物療法などの視野に入れて改善していくことになります。

心理学の世界では精神疾患が多い家庭には、高感情出力の方がいることが分かっています。感情的になり続けることで、家庭が安心する環境にならず、心理的に追い込まれていくのです。

高感情出力の方は以下の特徴があります。

1.批判的な感情表出

「いい年して職にも就かないなんてだらしない」

「寝てばかりでゴロゴロして情けない」

などと、相手を批判することをいいます。感情的に怒鳴られると、相手に精神的な負担を与えてしまいます。

2.敵意のある感情表出

「この子がいなくなればいい」
「ぶん殴ってやりたい」
「この子のせいで私の人生は崩壊した」

などの敵対的な感情をぶつけることです。過剰になると、虐待やDVにつながってしまいます。

3.情緒的巻き込まれの感情表出

「この子は病人だから私が看病しないと」

「この子の気持ちは私にしかわからない」

など過保護や過干渉になってしまうことです。ちょっとしたことで泣き崩れたり、抱き着いたりなど冷静さを失うことも含まれます。

感情コントロールができず、感情のまま振舞ってしまうと、家族のメンタルへルスに悪影響が出てきます。深刻な状況になると、虐待、DVなどにつながる事もあるので注意が必要です。

井澤等(2004)は「敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連」において、怒りと生理的な影響について研究を行いました。

男子大学生20名に対して調査をしたところ、衝動的な怒り情動を表す「短気」が、収縮期血圧・拡張期血圧の上昇と関連を示す結果が得られました。

怒りに関する例の表

アンガーマネジメントができない人、いわゆる短気・敵意的な人は、日常場面でも怒り喚起時に高い心臓血管反応性を示します。その結果、冠動脈疾患に罹患しやすい可能性があることがわかったのです。

 

コントロールできない2つの原因

感情コントロールができない場合、大きく分けると2の原因があります。

原始的ルート

原始的ルートは直感的に反応する感情です。短時間で爆発的に大きくなる感情を意味します。

・カッとなりやすい
・見た瞬間、関わりたくないと思う
・地震があるとパニックになる
・肩がぶつかった瞬間怒りを覚える

これらは原始的ルートになります。当てはまる方は
・距離置き法
・深呼吸法
・メタ認知法
・森田療法
が有効となります。後程詳しく解説します。

 

思考系ルート

思考系ルートはあれやこれや考えていくうちにだんだん不安や怒りが大きくなっていくルートになります。

・老後を考えると不安が止まらない
・恋人の連絡がないと情緒不安定になる
・悲観的な未来を考える
・一度嫌いになると嫌な面ばかり見える

これらは思考系ルートになります。もし当てはまる方は
・認知療法
・日記法
が有効となります。後程詳しく解説します。

 

*詳しく理解したい方は下記の動画をご覧ください。ご自身の状態を冷静に判断するのに役立つと思います。

 

原始的ルートと4つの対策

まずはじめに原始的ルートの改善策を4つ提案させて頂きます。

距離置き法

カッとなりやすい、瞬間的に怒りや不安が出てくる方は、ひとまずその対象から距離を置くことが有効です。

例えば、肩がぶつかってイラっとしてしまったら、もしかしたらあなたが相手に暴言を吐いてしまったり、喧嘩を吹っかけてしまうかもしれません。

子育てがうまく感情が高ぶったら、子供が傷つく言葉を言ってしまうかもしれません。瞬間的な感情の爆発した時に人生に致命的な何かをしてしまう可能性があるのです。

まずは自分と相手を守るために、たったの3分でも良いので、距離を置くようにしましょう。

 

深呼吸法

少し距離を置いたら、次に、即効性のある深呼吸をすることがおススメです。深呼吸は副交感神経の働きを高め、感情を落ち着かせる効果があります。

おなかで息をしっかり吸って、鼻から息を吐くようにしましょう。これを1分間続けるだけで、かなり落ちつかせることができます。

感情的になったらまずは深呼吸!と覚えておきましょう。詳しくは以下のコラムで練習してみてください。

深呼吸の効果・やり方

 

メタ認知力

メタ認知力とは、自分の感情や考えを客観的に眺め、観察する力を意味します。感情コントロールがうまくできない方は、自分自身の状態に気が付くことがとても苦手です。

メタ認知力を高めると、「怒っている自分」に気が付き、そしてその背景を探る力がついてきます。例えば、深呼吸と組み合わせ、落ちついてきたら、自分がなぜ感情的になっているのか?を考えるようにしましょう。

そしてその背景を理解していくと、意外と冷静になることができます。感情的になると我を失う…という方は下記のコラムを参照ください。

メタ認知力コラム

 

森田療法

仕上げは森田療法の哲学を理解するとより効果的です。森田療法は日本人の森田正馬が作成した手法です。哲学としては、感情に流されるのではなく、目的を大事に生きていく姿勢を重視しています。

私たちは人間である以上、感情の浮き沈みがあるのは仕方がありません。大事なことはその浮き沈みに人生を支配されるのではなく、自分の人生を生きるということなのです。

詳しくは下記のコラムを参照ください。

森田療法コラム

アンガーマネジメントを実践する4つのコツ

思考系ルートと2つの対策

次に思考系ルートの改善策を2つ提案させて頂きます。

認知療法

思考系ルートとしては認知療法がおススメです。認知療法は感情を引き起こす考え方を発見し、修正していく心理療法です。

例えば、SNSでたまたま自分の悪口を言っている人を見つけたとします。この時、
「絶対に許さない!」

と考える人と
「まず自分の考えを伝えてみよう」
「様子をみて、改善してくれない場合は、残念だけどブロックしよう」

と考える人では、感情が変わってくるのは理解できると思います。感情コントロールが得意な方は、感情を安定させる思考の引き出しが多いのです。

以下の認知行動療法コラムでぜひ練習をしてみましょう。

認知行動療法の基礎

 

日記法

考え方を整理するには日記を書くことがとてもオススメです。心理療法の研究では古くから日記を書くことが有効とされています。

日記を書くことで、自分の気持ちが整理され安定させることができます。記録にも残るので自分の状態の変化や成長も実感できます。

日常的に自分の感情を記述する機会をつくるようにしましょう。

認知療法で怒りの感情コントロール

まとめとお知らせ

まとめ

今回は感情コントロールができない問題について対策をお伝えしました。繰り返しになりますが、世の中のトラブルのほどんどが、感情コントロールを失った状態に怒ります。

感情は私たちの人生を彩る一方で、攻撃性、怒り、不安を放置しておくと、自分も相手も傷つけることになります。

当コラムで紹介した手法をぜひ活かしてみてください♪

お知らせ

公認心理師,精神保健福祉士など専門家の元でしっかり心理学を学習したい方場合は、私たちが開催しているコミュニケーション講座をオススメしています。講座では

・心理療法の基礎
・認知療法の基礎
・イライラする気持ちの改善
・暖かい人間関係を築くコツ

など練習していきます。興味がある方はお知らせをクリックして頂けると幸いです。是非お待ちしています。

 

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・高倉実(1995,「大学生のタイプA行動パターンと日常苛立ち事、ストレス反応の関連」,日本心身医学会,35(4),p299-306.
・井澤修平・長野祐一郎・依田麻子・児玉昌久・野村忍 2004 敵意性と怒り喚起時の心臓血管反応性の関連 生理心理学と精神生理学,22(3)215-224 早稲田大学