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イライラする原因「女性ホルモンの問題」

イライラする人の原因・対処法-女性編②

イライラすることが増えると「自分の心に何か問題があるのでは?」と考えられがちです。しかし実際には、身体的な問題が原因であることもあります。今回は、イライラする原因の一つ「女性特有の問題」について解説します。

身体的な機能が不安定

イライラする理由に、身体的な問題が関わっているあることもあります。

たとえば、睡眠不足の状態では、ささいなことでイライラするなど感情コントロールに悪影響を及ぼすことがわかっています(Baum et al.,  2014)。人は、規則正しい生活が送れないだけでもイライラするのです。

イライラする理由このような状態では、日中の仕事や勉強にも負の影響を及ぼすため、悪循環につながる恐れがあります。これは男女に共通したイライラですが、女性に特有のイライラも存在します。

ライフステージの変化とイライラ

女性の場合、ライフステージの変化がイライラにつながるケースがあります。最近は、ライフスタイルも多様化しているので一概には言えないことですが、古くから女性の一生は、家庭生活や労働環境、社会・文化的環境における外的な変化が大きいことが言われてきました。

たとえば、妊娠・出産に伴い退職や転職、また家事と仕事、育児の両立などでライフスタイルが大きく変化しそれに伴うストレスも大きいことが考えられます。大きな環境変化の中で自分の思い通りにいかないことが増えるとイライラすることが増えがちです。

生理に関わるイライラ

ライフステージの変化は、長期的な時間の中での変化ですが、毎月の生理でイライラすることは女性にとっては、大事なポイントです。

生理のある女性においては、卵巣ホルモンや基礎体温の変動、排卵・月経に周期的な月経リズムがあることが認められています。そのリズムにより体内ではさまざまな変化が起こり、生理前から生理中にかけて気分の浮き沈みが激しくなるなどの症状が現れます。女性がイライラする原因身体的な機能によってイライラする要因としては、ホルモンバランスの崩れが挙げられています。たとえば、女性ホルモンの1つであるエストロゲンは、エストロゲンは気持ちを高めるセロトニンという脳内物質と関連するホルモンであり、エストロゲンの不足はうつ状態を引き起こす原因になります(野田、2018)。

エストロゲンが不足すると、イライラや不安といった心の不調として現れるのです(黒住・佐田、2016)。

以下は、月経周期とエストロゲンの量を示した図です。

女性のホルモン周期

女性は生理前や更年期になるとエストロゲンが減少することが分かります。特に月のはじめ、半ば、中旬にイライラする気持ちがある人は生理を疑ってみると良いかもしれません。ホルモンバランスが崩れている時期は、環境の変化やストレスが無くても情緒不安定になりやすく、日常生活に支障が出ることもあるため注意が必要です。

また、生理に伴いさまざまな心身不快症状(頭痛、腹痛、気分の変調など)がおこってきます。これには、黄体後期における自律神経活動の動きが関わっていることが報告されており、この時期のストレスは、自律神経のアンバランスさや機能異常を引き起こします。黄体期後期における交感神経の活動増加及び副交感神経の活動低下が月経に伴う症状を高めている(松本ら,2008)という報告もあります。

ホルモンバランスとイライラ

女性ホルモンの変化は、思春期、成熟期、妊娠・出産、更年期といった各年齢でも起こりえます。そのため、各年齢で心身、環境が変化することでこれまでの自分なりの方法を変えていく必要が出てくるかもしれません。

思春期などには、まだ未成熟な部分も多いので不調も多く、また妊娠・出産などでは情緒不安定になったり、産後うつなどの問題がおこることがあります。また更年期の変化にも要注意です。更年期は身体の衰えや環境的な変化も多く、「中年の危機」と呼ばれる大きな過渡期になっています。

女性がイライラする原因はホルモンバランス

更年期で起こる変化とは?

更年期障害とは、日本産科婦人科学会では、「更年期に現れる 多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更年期症状とよび、これらの症状の中で日常生活に支障をきたす病態」を更年期障害と定義しています。またその原因については、

・卵巣機能の低下
卵巣機能の低下により女性ホルモンの減少が起こる。これに伴い、ホットフラッシュなどを代表する自律神経症状を中心としたさまざまな症状が出る。

・加齢に伴う身体的変化
体重の増減、肌質の変化、髪質の変化など容姿や体力の衰え

・精神心理的な要因
抑うつや不安を中心とする変化

・社会文化的な環境因子
子どもの自立や親の介護、夫婦関係など人間関係に変化

などが複合的に影響することにより発現する」とされています(日本産婦人科学会,2013).

上記に伴い起こってくる症状は、

自律神経失調症状
のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、冷え、動悸、腹痛、息苦しさ、疲労感、頭痛、めまい、肩こり
精神症状
イライラ、怒りっぽさ、抑うつ、涙もろさ、意欲低下、不安、集中力低下
その他
関節痛、筋肉痛、むくみ、しびれ、食欲不振、便秘

などがあげられます(相良,2013)。

女性がイライラする原因イライラすることもそうですが、自分の思い通りにならない症状が出て環境も変化するとなればさらにイライラは増しますよね。このような時期には、「こころ」だけ「からだ」だけではなく、両方を見た心身医学的アプローチが推奨されています。

女性のイライラと女性ホルモンの変化は切っても切れない問題です。各年齢ごとに自分のこれまでのやり方を変えていかなければいけない時期があり、すぐには解決できないこともあります。しかし、いろいろな方法を模索していく中で問題が解決したり、あらたな適応方法が見つかるでしょう。

PMSの症状「イライラする」の対処法

女性特有の問題「女性ホルモンバランスの変化」は、生理の1~2週間ぐらい前から、イライラする、腹痛や眠気、頭痛などのさまざまな症状が現れやすくなります。こうした生理前から生理中にかけておこる症状の総称をPMS(プレ・メンストラル・シンドローム=生理前症候群)といいます。ここでは、イライラする原因の一つ、PMSの症状を和らげる方法をご紹介します。

排卵抑制療法

排卵を止めることで症状を和らげる方法です。PMSでイライラする原因は、排卵によって、女性ホルモンの大きな変動があるためです。排卵を止めてしまうことで症状を和らげます。治療では、主に以下の薬が用いられます。

・低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)
・低用量エストロゲン
・プロゲスチン配合薬(LEP)

これらの薬は、少ないホルモン量で排卵を止めることができ、薬の副作用も少ないです。また、服用期間だけ排卵を止める一時的なものなので、服用をやめるとすぐに排卵が戻ります。そのため、その後の妊娠に悪影響を及ぼすことがありません。

痛みや不安を抑える薬

神経症状や自律神経症状からイライラする場合には、心を安定させるホルモンであるセロトニンの分泌を促すことで症状を和らげます。

神経症状や自律神経症状には、「SSRI(精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使用し、痛みに対しては、ロキソニンなどの鎮痛剤で対処します。

イライラする女性の対処法

漢方療法

PMSの症状によっては、漢方を使うことがあります。治療では、主に以下の漢方が用いられます。

・帰芍薬散(とうきしゃくやさん)
体温を上げて水分代謝を高め、むくみを解消する働きがあります。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血液の循環を良くして、のぼせ・足冷えなど感じる方の生理痛を和らげます。

・加味逍遥散(かみしょうようさん)
不足している血液を補うことで、精神を安定させる効果があります。

イライラする、むくみや冷えなど症状によって、漢方を使い分けることでPMSを和らげることができます。ご紹介した漢方薬は、すべてドラッグストアなどでも購入できますよ。

イライラする症状と上手に付き合う

女性の場合、女性ホルモンの変化がイライラする理由になっていることが、多くあります。特に、生理中や更年期になりやすいため、症状が重い場合には、クリニックを受診して適切な薬を処方してもらうといいでしょう。

ホルモンバランスが崩れている時期は、ストレスがなくてもイライラするなど情緒不安定になりやすく、日常生活に支障が出ることもあります。うつ状態になる可能性もあるため、深刻になる前にしっかりと対処しておきましょう。

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目次

①イライラする原因・対処法
②身体機能の問題-女性編
③心理的な問題とは
④怒りっぽい人の性格と特徴
⑤イライラするのは病気?!
⑥怒りの火種を見つけよう
⑦論理療法「ABCシェマ」で改善
⑧簡易瞑想法で感情コントロール
⑨「投影」の解消法
⑩イライラする診断・チェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献・引用文献
・相良洋子. (2018). 更年期障害の治療における心身医学的視点の重要性. 心身医学58(8), 688-695.
・Baum, K. T., Desai, A., Field, J., Miller, L. E., Rausch, J., & Beebe, D. W. (2014). Sleep restriction worsens mood and emotion regulation in adolescents. Journal of Child Psychology and Psychiatry55(2), 180-190.
・松本珠希, 後山尚久, 木村哲也, 林達也, & 森谷敏夫. (2008). 生体のゆらぎ現象から心身相関を探る: 心拍変動から評価した自律神経活動動態と月経前症候群・月経前不快気分障害との関連 (第 6 回池見賞受賞論文). 心身医学48(12), 1011-1024.
・日本産婦人科学会(2018)http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
・NCS調査(National Comorbidity Survey) (1990-92、2001-02)
・黒住紗織・佐田節子(2016) わたしのカラダは、私が守る 女性ホルモンの教科書 日経ヘルス
・野田順子(2018) 女性のうつ病(よく分かる最新医学) 主婦の友社
・参考サイト(茶屋町レディースクリニック心斎橋)https://shinsaibashilc.com/guide/pms