緊張しない方法,ほぐす方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション教室を開催している公認心理師の川島達史です。当コラムは下記にあてはまる方におすすめです。
・人前で話すと頭が真っ白になる
・声や手の震えが止まらない
・失敗を考えすぎて動けない
当コラムを読み進めていくと、緊張をほぐす方法をおさえることができると思います。是非最後までご一読ください。
◆全体の目次
①緊張しない方法の基本
②適度な緊張を保つコツ
③成功イメージで緊張軽減
④目標を下げて緊張対策
⑤緊張に注目しない考え方
⑥深呼吸で緊張をほぐす
⑦体の緊張をほぐす方法
⑧緊張を受け入れる姿勢
⑨自己受容感を高めて緊張対策
⑩緊張と精神疾患の注意点
⑪緊張を根本改善したい方へ
緊張しない方法の基本
緊張を考える上で外せないのが以下の図です。こちらはヤーキーズ・ドットソン曲線と言われる図です。[1]
図のように、緊張は弱すぎても強すぎてもパフォーマンスが下がってしまいます。一方で、適度な緊張であれば、むしろあなたの集中力を高め、よりより結果をもたらすのです。
以下の対策は、主に強すぎる緊張を弱めるためのものですが、「適度な緊張はOK」という点を前提として抑えておきましょう。
適度な緊張を保つコツ
緊張をほぐすには「私的自己意識」を増やす必要があります。
人目を気にすると緊張する
緊張を克服する上で、2つの意識を抑えておきましょう。
私的自己意識
「自分の内面に注意を向ける」
「自分の伝えたいことを話す」
「自分が何を考えているかに注目する」
→私的自己意識が強い人は緊張しにくい
公的自己意識
「他者から見られる自分を意識する」
「周りの言うことを重視する」
「人にどう思われているかに注目する」
→公的自己意識が強い人は緊張しやすい
両者にはこのような違いがあります。緊張をほぐすには、「私的自己意識」を増やす必要があります。
私的自己意識を増やそう
例えば、試合の場合は
「失敗で仲間に迷惑をかけてはいけない」
と考えると緊張しやすくなります。
「自分がやるべきプレーに集中しよう♪」
と考えると緊張がほぐれるでしょう。
面接の場面では
「面接官に好かれないといけない!!」
と考えると緊張しやすくなります。
「自分がやってきたことを懸命にPR♪」
と考えると適度な緊張になりそうです。
このように、自分の話に集中すると、緊張は自然とほぐれていきます。詳しくは以下のコラムで練習問題など作成しました。周りの目を気にしてしまう…と感じる方は、参考にしてみてください。
緊張ほぐす作戦,私的自己意識を高める方法

成功イメージで緊張軽減
緊張を適度にほぐすうえで、ポジティブイメージを持つことが大切です。
心理学の研究では失敗する未来を考えると
・実際に失敗しやすくなる
・体が硬直しやすくなる
・より緊張しやすくなる
ということがわかっています。もちろん何かチャレンジするときは、失敗する未来が頭に思い浮かんでしまうものです。
ここで大事なことは、意識的に成功している自分をイメージすることです。
・楽しく会話をしている自分
・ちょっとした笑いを取っている自分
・評価をもらえている自分
これらも合わせて想像するようにしましょう。失敗を想像してしまう…という方は、下記のコラムを参考にしてみてください。

目標を下げて緊張対策
緊張しやすい人によく見られるのが、目標設定の誤りです。ハードルを高く持つためリラックスができません。
例えば、
「一度も噛んではいけない」という目標
「人前に立てればOK」という目標
どちらが緊張しやすそうでしょうか。
答えを言うまでもありませんね。緊張しやすい人は目標設定を程よく調節する必要があります。目標が高すぎると、プレッシャーとなり緊張を高めてしまいます。自分に合った目標をもち、適度な緊張で取り組むことが大切です。
また、緊張をゼロにしようとするのも現実的ではありません。「緊張しない」という目標設定をしがちな人は注意してみましょう。
本番で思った様に実力が出せない…と思っている方は、下記のコラムの中段にある「不安階層表」を参考にしてみてください。目標を小さくして、楽しく行動できる手法を解説しています。

緊張に注目しない考え方
人と接することが怖い(人に悪い評価をされることが怖いので,接するのが怖くなる)という感覚が強くなると「社交不安症」という病名がつくことがあります。社交不安症の方の特徴の1つに「体の緊張や変化に注目して、どうにか改善しようともがく」というものがあります。
・心臓の鼓動に必要以上に注目
・赤面している自分に注目
・滑舌が悪くなっている自分に注目
これらは余計に緊張を呼び起こす要因になってしまいます。緊張をして体が変化するのは自然なことですし、意識して治るものではありません。
気になってしまったら、まずは「緊張が過剰に気になっていることに気がつく」ことが大事です。そのあとは、やるべきことに集中する私的自己意識を高めたり、以下紹介するリラックス系のエクササイズをすると緊張をほぐすきっかけになります。
この意識のコントロールはマインドフルネス心理療法で鍛えることができます。詳しくは以下のコラムを参照ください。
深呼吸で緊張をほぐす
私たちの体は心とつながっています。緊張しているとき、からだ固まっている状態なので、リラックスさせて緩めていくことが大事になります。
からだをリラックスさせる手法として、ここでは「深呼吸法」を紹介します。
緊張する場面に遭遇したら以下の手順で呼吸をしてみてください。
・息を吸う
①鼻から3秒ぐらい息を吸う
②おなかを膨らませる
③綺麗で落ち着く空気が入るイメージ
④緊張しつつ程よく話せているイメージ
・息を吐き出す
①口からゆっくり息を吐く
②5~8秒ぐらい
③過剰な失敗や恐れが出ていくイメージ
これを10セットぐらい行ってみてください。緊張が和らぐことを実感できると思います(^^)以下のコラムでは呼吸の詳しいやり方を記載しています。参考にしてみてください。

体の緊張をほぐす方法
心理学のエクササイズの1つに漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)というやり方があります。簡単なやり方を紹介します。
・肩に力を入れる
①肩にギューッと力を入れます
②5秒程度でOKです
・肩の力を抜く
①ストーンと力を抜きます
②脱力した感覚を10秒程度味わいます
シンプルなやり方ですが、時間がない時はこの2点でOKです。こっそりばれないようにしたいときは、手で「拳を握る」→「力を抜く」という形でやってみてもOKです。
先程もお伝えした通り、心臓のドキドキなどに注目することはNGですが、リラックスしている部分に注目することは、緊張を緩めるのに効果的です。
詳しいやり方を知りたい方は下記を参照ください。
緊張を受け入れる姿勢
緊張はDNAレベルのもの
ここまでは緊張をほぐすやり方をお伝えしてきました。緊張は、これらの手法である程度緩めることはできますが、限界があるのも事実です。なぜなら、緊張は私たちにDNA(遺伝子)レベルで組み込まれている遺伝の影響があるからです。
あるがままの姿勢を大事に
遺伝は脳や体の仕組みの問題で、私たちが努力で変えられるものではありません。そのため、緊張については、「ある程度受け入れる」姿勢を持つことも大事になります。
・緊張は誰でもするもの
・多少の緊張はOK
・赤くなるのもご愛敬
と考えると、結果的に少しリラックスできるのです。このように、感情を自然なものとして、あるがまま受け入れていく心理療法を森田療法と言います。
緊張を打ち消そう!なくそう!と頑張りすぎてしまう方におススメの心理療法です。興味がある方は下記コラムを参照下さい。
自己受容感を高めて緊張対策
緊張を克服するには、自己受容感を高めることが大切です。その土台となるのが、無条件の自己肯定です。
無条件の自己肯定とは、成功や失敗に関係なくいつでも自分を受け入れることです。
・成果が出なくても、自分の努力を認める
・失敗しても、学びや成長を大切にする
・健康で過ごせているだけでも価値があると認める
このように、広い視野で自分を受け入れることで、自己肯定感が高まり、自信につながります。最初は難しいかもしれませんが、継続することで変化を感じられるでしょう。
自己受容感を高める方法を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてみてください。
緊張と精神疾患の注意点
緊張は個人差がありますが、もし常に緊張しやすい方は以下の精神疾患の可能性があります。以下あてはまると感じる場合は、リンク先を検討してみてください。
社交不安症
人前に立たない、友人の誘いを断る、電話に出ないなど、過度の緊張から人間関係を回避し続けることで日常生活に支障をきたしている場合、社交不安症と診断されることがあります。
パニック障害(パニック症)
動悸、めまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、日常生活に支障が出ていると、パニック障害と診断されることがあります。特に、電車、バス、飛行機、など閉鎖的な場所で緊張しやすい方は注意が必要です。
睡眠障害
緊張しやすい方は、精神的に興奮しやすいので寝つきが悪い傾向があります。いつも睡眠が乱れていると感じる方は注意しましょう。

まとめ
今回は緊張をほぐす方法を解説してきました。改めて整理すると、代表的な手法としては以下の10点があります。
①緊張しない方法の基本
②適度な緊張を保つコツ
③成功イメージで緊張軽減
④目標を下げて緊張対策
⑤緊張に注目しない考え方
⑥深呼吸で緊張をほぐす
⑦体の緊張をほぐす方法
⑧緊張を受け入れる姿勢
⑨自己受容感を高めて緊張対策
⑩緊張と精神疾患の注意点
是非、ご自身に合いそうな手法をみつけて実践してみてくださいね♪
緊張を根本改善したい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・緊張をほぐす考え方の練習
・私的自己意識を増やす練習
・リラックスできる目標設定練習
・リラクゼーション法の学習
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

4件のコメント
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緊張しない方法と検索してそれ系のサイトをいくつも見ていたのですがここのがダントツでわかりやすく、大丈夫だという気持ちになれた気がします、ありがとう!
すみません、診断するというボタンを押しても無反応なのですが、こちらは仕様でしょうか?
緊張の原因をデータで説明されていたのが面白かったです。
何だかストンと理解できました。
日本人は緊張する運命だっただったとは!(笑)頭が真っ白になってしまい頭がフリーズ場合でも、コラムにある対処法で改善んできますか。友人の結婚式でのスピーチの失敗が、結構トラウマです。まあ我が人生そんなことばかりですけど。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
[1] Yerkes, R.M., & Dodson, J.D. (1908). The Relation of Strength of Stimulus to Rapidity of Habit Formation. Journal of Comparative Neurology & Psychology, 18, 459–482.[2] 菅原 健介(1984). 自意識尺度(self-consciousness scale)日本語版作成の試み 心理学研究, 55, 184-188.[3] Sen, S., Burmeister, M., & Ghosh, D. (2004). Meta-analysis of the association between a serotonin transporter promotor polymorphism (5-HTTLPR) and anxiety-related personality traits. American Journal of Medical Genetics. Part B. Neuropsychiatric Genetics, 127B, 85-89.[4] 西 大輔 (2021). セロトニン e-ヘルスネット Retreived from http://e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html 2023年7月26日.



















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