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怠け者の心理・原因と診断、適切な対処法

怠け者の性格とは?原因と診断、心理学の対処法①

はじめまして!臨床心理士の兵働、精神保健福祉士の川島です。私たちは現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。コラムを読んで興味を持っていただいたら、是非お待ちしています。今回は怠け者についてお話していきます。目次は以下の通りです。

  • 3種類の怠け者
  • 学習性無力感型
  • モラトリアム型
  • 体調不良型
  • 専門機関も有効
  • 診断とチェック

各コーナーにはもっと深く知りたい!という方のためのリンクがあります。まずは全体を読んでみて、気になる場合はリンク先をクリックしてみてください(^^)それでは早速、怠け者について基礎から解説させて頂きます。

怠け者には3種類ある

やろうと思ってもやる気が出ない…あの人はなぜいつも怠けているのだろう…日常生活ではそんな怠け者の方と遭遇することがあります。

ただ一見怠けているように見えても、実はさまざまな種類があります。この点を誤ってしまうと、まったく間違った対処をしてしまうこともあるので注意しなくてはなりません。

怠け者のタイプは大きく分けて3つあります。

タイプ①学習性無力感型
タイプ②モラトリアム型
タイプ③体調不良型

怠けてしまうのは、これらの要因が複雑に絡まり合って発生するのです。以下にそれぞれについて説明します。

怠け者になる3つの原因

タイプ①学習性無気力型-怠け

「努力しても結果がでない」「何をやっても無駄だ!」という感覚があり、て怠けてしまう方は、セリグマン(Martin E. P. Seligman)が提唱した、学習性無力感にあてはまるかもしれません。たとえば、

・失恋
・過剰な労働
・DV家族

このような状況で、挫折が続き、自信を喪失している場合は学習性無力感が強くなりやすくなります。特に完璧主義や失敗過敏がある方が、怠け者に陥りやすいと言えます。

・注意!過度の目標設定
ミハイ・チクセントミハイは自分のスキルや作業の難易度によって、無気力になり怠け者になってしまうことを示唆しています。以下の図は、縦軸が「難易度」、横軸が「スキルの高さ」を示しています。概観してみてください。

ミハイ・チクセントミハイフロー体験

学習性無気力感から怠け者になりやすい人は、「スキルが低い」にも関わらず、「難易度が高い」チャレンジする傾向があります。とても頑張り屋といえますが、結果が出ない状態が長く続くため、最終的にやる気を失ってしまうのです。

・注意!失敗過敏
学習性無気力感によくみられる心の問題として「失敗を過度に気にする(失敗過敏)」が挙げられます。失敗過敏は、メンタルへルスに悪影響を与えることが分かっています。

斎藤ら(2003)の研究では、大学生474を分析対象に、質問紙を使って失敗過敏とその他メンタルへルスの関連について調べました。その結果が以下の図です。

自己志向的完全主義の特徴

図から、失敗過敏と「対人不安」「無力感」「問題回避」は正の相関があることが分かります。問題回避とは、問題が発生した時に、それを解決しよとせずに先延ばしたり、棚上げにして回避すること意味します。つまり、無気力で過度に失敗を気にすると、対人場面が嫌いになったり、無力感にさらされたり、先延ばしをしてしまうなどが考えられます。

*** ポイント ***
学習性無力感による怠け者の特効薬は、小さな成功体験です。特に頑張り屋さんは高い目標設定をしすぎて、苦しむケースが多いためスモールステップで成功体験を積み重ねていくといいでしょう。

・怠けて者にならない!対処法「60%基準法」

学習性無力感を緩和するには「ほどほど」という感覚を持つことが大切です。この感覚が身につくと怠け者の改善・予防にもなります。本コラムでは「ほどほど」の感覚を得られる2つの考え方のコツをご紹介します。

1つ目の考え方のコツは「基準は60%」です。人間のモチベーションは達成可能性が60%程度だとモチベーションが高くなると言われています。10回やって6割くらいの確率で成功するぐらいだと、チャレンジしよう!といいう気持ちになるということです。2つ目の考え方のコツは、コラム③でご紹介しています。

60%基準法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・高すぎる目標の問題
・ほどほどで幸福感UP
・失敗回避→失敗OK
怠け者の性格に対処「失敗OK!60%基準法」②

タイプ②モラトリアム型-怠け

「目標を見失っている」「何をすればいいのかわからない」「成長している気がしない・・・」こんな感覚がある方は、退屈型の怠け者になっているかもしれません。ミハイ・チクセントミハイの図をもう一度見てみましょう。

ミハイ・チクセントミハイフロー体験

図の右下にある燃え尽き症候群は、「スキルが高く」「難易度が低い」状態です。このゾーンは自分のエネルギーのぶつけ所がなく、つまらない、飽きた!という心理状態になりやすくなります。

・燃え尽き症候群
頑張ってきた仕事や勉強、スポーツなどで期待した結果にならなかった場合に起こる無気力状態です。介護や看護職、ホテルなどの接客業や教師などの職業の人にも表れやすいです。症状の経過や状態によってはうつ病と診断されることもあります。

・モラトリアム
自分を見失っていて、どこにエネルギーを向けていいのかわからないような状況です。アイデンティティ拡散という言葉を使うこともあります。

*** ポイント ***
退屈型で怠け者になっている場合は、新たな目標を見つけることがカギとなります。元々能力が高い方が多いので一度目標を見つけると、驚くほど怠け者の症状が改善することもあります。少し大変ですが自分と向き合い、新しい行動をすることで充実した日々に戻ることができるでしょう。

・怠け者にならない対処法「アイデンティティ確立」

怠け者の症状を克服するには、アイデンティティの確立が不可欠となります。アイデンティティとは「自分らしさ、自分なりの価値観」を意味します。人は大人として成長する、思春期〜青年期にアイデンティティを模索すると言われています。「自分と人とは違う人間だ」と気づき、それを受け入れで自分らしさを見つけていきます。そして自分を発見し自我を定めることを「自我同一性(アイデンティティ)の確立」呼びます。

怠け者とアイデンティティ

アイデンティティに関する質問をご用意しました。皆さんは、以下の問いにどの程度答えることができますか?具体的に考えてみてください。

「私は何者なのだろう?」
「私はどんな人生を歩みたいか?」
「私はどんな仕事がしたいのか?」
「私はどうして生きているのか?」

問いに全く答えられない人は、アイデンティティが拡散している可能性があるかもしれません。こうした問いの答えを明確にすることで怠け者の改善が目指せます。

アイデンティティを確立をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・アイデンティティとは
・質問法
・好奇心ツリー
怠け者の性格に対処「アイデンティティ確立」好奇心を見つける2つの方法③

タイプ③体調不良型-怠け

「身体の不調」「睡眠が不規則」「食生活の乱れ」などは、怠け者になりやすいと言われています。たとえば、睡眠にはさまざまな脳内物質を分泌する働きがあります。その脳内物質の中には、やる気と関係が深い「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などが含まれています。そのためあまり分泌されないと、日中にやる気が起きないというメカニズムができあがってしまいます。

やる気のメカニズム

・ジェームズ=ランゲ説
ジェームズ=ランゲ説とは、さまざまな感情状態は内臓や随意筋から脳へのフィードバックに起因するという説です(心理辞典,2013)。簡単にまとめると、身体の変化が感情を引き起こすということです。

ジェームズ=ランゲ説だと、“体がなまっているから怠け者になる”ということになります。やや強引な理論と感じた方も多いと思います。しかし体と心は連動していいますから、私は参考にはなると考えています。たとえば、以下の状態を比較するとどちらが、怠け者の気持ちになりそうですか?

「体の調子は良好。食生活が安定、睡眠が十分な時」
          ↕
「運動不足、睡眠時間が無い。連日カップ麺の時」

いかがでしょうか。おそらく後者の身体の状態の方ではないでしょうか。体と心は連動していますから心のあり方だけでなく、体の面からのアプローチも一定程度有効であると考えるといいでしょう。

・怠け者の対処法「生活リズムを整える」

日常生活に適度な運動を取り入れると、抑うつリスクが減ることが研究で分かっています。甲斐(2011)は、IT 関連企業 の従業員2952名に対して、余暇時間にどのくらいの運動をしているかで、1年後の抑うつのなりやすさを調査しました。以下の図は、1週間に運動する時間が「135分未満の人たち」と「135分以上運動する人たち」とを比較しています。※基準は、余暇時間の運動時間が1週間当たり「0分」の人たちとしています。

抑うつと運動量の調査

その結果、「135分以上運動している人たち」に比べて「135分未満の人たち」は、うつ病のなりやすさが2倍以上になることが分かりました。つまり日々の生活に運動を積極的に取り入れることで、抑うつのリスクを減らすことができると考えられます。

生活リズムを整えるをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
・ホメオスタシスとは
・睡眠と怠け者の関係
・日光を浴びる重要性
怠け者の改善方法「生活リズムを整える」④

専門機関の利用も有効

心理療法を独学で学ぶことに不安がある場合は、専門家の元でしっかり学ぶこともお勧めしています。 私たち臨床心理士・精神保健福祉士は、怠け者になる気持ちの改善、やる気が持続する目標設定のコツ、対人不安の改善を目指し、心理学講座を開催しています。体系的に勉強されたい方のご参加をぜひお待ちしています。

執筆者も講師をしています(^^)
・やる気が持続する‐行動療法
・無気力とうまく付き合うマインドフルネス療法
・人生の目標とアイデンティティ
初学者向け心理学教教室を開催しています

専門機関で怠け者改善

簡易診断で怠け者をチェック!

怠け者の改善を目指すときには、まず簡易チェックで今の心の状態を確認しておきましょう。以下に、怠け者の確認にも使える「無気力簡易診断」のリンクをご用意しました。客観的な状況を知りたい方はご活用ください。定期的に自己チェックしておくことをお勧めしています。

怠け者をチェック「無気力簡易診断」⑤

怠け者を克服しようここまで、怠け者になる原因と解決策をご紹介しました。怠け者の改善策は「①失敗OK!60%基準法」「②アイデンティティの確立」「③生活リズムを整える」の3つでしたね。次回からは、具体的な方法をご紹介していきます。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★ 3つの方法で怠け者を改善!まずは簡易診断でチェックを

目次

①3種類の怠け者-概観
②失敗OK!60%基準法
③アイデンティティの確立
④生活リズムの整え方
⑤簡易診断・チェック

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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科修士
  • 社会心理学会会員

取材執筆活動など

  • AERA 「飲み会での会話術」
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
  • TOKYOガルリ テレビ東京出演


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*出典・参考文献
・桜井茂男・大谷住子 1995 完全主義は無気力を予測できるのか 奈良教育大学教育研究所紀要,31, 171–175.
・対人援助職従事者におけるバーンアウトと感情労働の関係性について 49 事例分析を通した検討
・ミハイ・チクセントミハイ著,今村浩明訳:フロー体験 喜びの現象学,新思索社,2000
・認知行動療法を学ぶ(下山晴彦編 金剛出版,2011)
・認知行動療法(坂野雄二 日本評論社,1995)
・よくわかる臨床心理学 山口 創著 川島書店
・自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連から 2009 齋藤, 路子; 今野, 裕之; 沢崎, 達夫対人社会心理学研究. 9 P.91-P.100

・甲斐 裕子 永松 俊哉 山口 幸生  徳島 了 (2011)余暇身体活動および通勤時の歩行が勤労者の抑うつに及ぼす影響. 体力研究, 109, 1-8.
・ファンデンボス,G.R.(2013)APA 心理学大辞典 p330