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やる気がでない原因は何故

仕事でやる気がでない原因


やる気がでない原因!仕事を後回しにする心理-精神保健福祉士が解説①

やる気について専門家が解説します

みなさんはじめまして!臨床心理士の兵働、橋爪です。私たちは臨床心理士として精神疾患を抱える方へのカウンセリングや心理学の講義を行っています。当コラムは「やる気」をテーマに専門家が解説をしています。

コラム1ではやる気の理解を、コラム2~5では具体的な対策をお伝えします。しっかりとお伝えしたいので全部で8分程度かかります(^^;ちょっと大変ですが。是非お付き合いください。

やる気がでない「無気力状態」

やる気がでない、ダラダラとなんとなく過ごしてしまうことはありませんか?やるべきことがあってもなかなか手を付けられない、そんな時は自分を責めたくなってしまうかもしれません。

しかし、全く心配する必要はありません。やる気がでないのは怠けているのではなく、人間心理の一つの特徴だからです。やる気がでない状態は、臨床心理学的に「無気力」と呼びます。無気力はアパシーとも呼ばれることも多いです。「無気力な学生」「無気力な労働者」という言葉をよく耳にしませんか。「意欲がない」「やる気が感じられない」「無関心」といった、ネガティブな意味合いで使われることがほとんどですね。

やる気がでない状態である無気力については精神医学や心理学の世界ではるか昔から研究が行われてきました。まずはやる気がでない時を理解するためにいくつか紹介させて頂きます。

・自らやる気をなくす「退却神経症」とは

1960年代に日本の医師である笠原嘉は「退却神経症」という用語で無気力を説明しました。退却神経症とは、あえて無気力になることで、つらい事柄から退却しようとする症状です。仕事や学業などで追い詰められた時に多く見られます。ある特定の場所のみで無気力になるのが退却神経症の特徴なので、「職場鬱」といった仕事だけに鬱症状が表れる症状に似ているとも言えます

・「こんなに頑張っているのに・・・」の無気力

進学や就職、勉強や仕事、スポーツなどにおいて、精いっぱい全力を尽くしてきたけれど、望み通りの結果が得られなかった場合に起こるやる気がでない心理状態。これを「燃え尽き症候群」と言います。介護職や看護師に多い症状と言われていましたが、教員などの仕事やホテルなどの接客業の人にもバーンアウトが生じます。症状の経過や状態によってうつ病と診断されることもあります。

・やる気がでない時はうつ病のサインかも

うつ病の一つの症状に「やる気がでない」というものがあります。この場合の無気力は、日々の生活全般における意欲のなさ、無関心です。特に自責の念を感じやすく「自分はダメな人間だ」と思い詰めてしまい、悪循環を引き起こします。無気力症候群は本業に対して表れる症状ですが、うつ病の特徴は日常生活全般に対してやる気がでない状態になってしまうことです。

・無力の学習でやる気がでない

セリグマン(Martin E. P. Seligman)は「学習性無力感」という理論を唱えました。学習性無力感とは、努力していてもネガティブな結果が続く場合、「何をやっても失敗するなら、やるだけ無駄だ」という気持ちが芽生えていき、遂には無気力になってしまう心理を指します。学習性無力感がうつ病につながる一つの原因であることをセリグマンは発見しました。学習性無力感の例として、「婚活で頑張っても失恋が続く」「大きな組織でいくら仕事を頑張っても評価されない」といったものがあります。

・やる気がでないものが限定される時

ある特定の物事に対して「やる気がでない状態」で、本人にも自覚がないといった症状を「無気力症候群(アパシーシンドローム)」と言います。スチューデント・アパシーのように学業に対して無関心になる無気力は、それ以外のこと(趣味や家事など)には症状が現れないのが特徴です。うつ病の無気力は生活全般に関わるので比較的気付きやすいのですが、無気力症候群は症状が発見しづらいです。そのため、対処が遅れて、気づかないうちに症状が進行してしまう危険性があります。

・学業だけにやる気がでないのは何故?

無気力症候群において、学生(特に大学生)に多くみられる無気力症状。受験という大きな目標が急になくなってしまったことで、一気にやる気がでない状態に陥ってしまいます。次の目標を見つけ出せずに意欲が落ちて勉強に無関心になります。無気力症候群は、学業や仕事などの特定のこと「本業」に対してやる気がでない状態を示しますが、その学業や仕事内容など無気力の対象、年代によって呼び方が変わります。

やる気がでない時の解決策

ここからは、やる気がでなくなる原因とその解決策について考えていきましょう。無気力になる原因と解決策は、大きく分けると3つあります。全部読むのは大変なので、当てはまる項目についてリンク先をチェックしてみてくださいね♪

① 「失敗は当たり前!60%を目指そう」

やる気がでない原因は「完璧主義」
意外かもしれませんが、「完璧主義者」な人はやる気を失いやすいことが分かっています。1994年の桜井・大谷は、完全主義と無気力の因果関係を研究しました。結果としては、失敗を恐れる完全主義傾向が強い人はは無気力な傾向があることが明らかになったのです。完璧主義の人は常に100パーセント以上の力で物事に取り組みます。しかし、必要以上にエネルギーを使ってしまい、やる気がでない状態になってしまうのです。

完璧主義
 ↓
必ず成功しなくては・・・
 ↓
エネルギーを使いすぎる
 ↓
燃料切れで無気力になる

という悪循環になりやすくなります。

「腹6分目」の感覚を身に付けよう
やる気がでない原因として完璧主義が当てはまる人は、60~70%ほどの力でこなしていく感覚を身に付ける事が大切です。特に、失敗への恐怖感が強い人は要注意です。「肩の力を抜いた方が実力を発揮できる」と気づき、「腹6分目」の感覚を身に付けることが大切です。失敗するとすごく気にしてしまう…そんな方はコラム②がおススメです。

②自分がないとやる気がでない

周りの期待に応えよう!で無気力に
他人に「どう思われるか」を必要以上に気にする方、必ず期待に応えなきゃ!と感じる方は無気力になりやすい傾向にあります。みなさんはいかがでしょうか?特に幼稚園~高校時代など振り返って見てください。「両親の期待を背負っていた」という感覚が強い方は要注意です。「いい子でいないと」と頑張ってきた人は、やる気がでない状態に陥りやすいことが分かっています。

自分らしさを考えよう
人は自分で決めたことに対してはモチベーションが上がるという性質があるのです。やる気がでない状態の逆の理論として「自己決定理論」という言葉があります。これは感覚的にもわかりやすいかと思います。他人から「仕事をしろ!」と言われると強制された感じがしてやる気がでないですが、自分から「この仕事がやりたい!」と思ったものは自然とやる気がでてきますよね。

では、どうすれば私たちは自分の意思で物事を決めることができるのでしょうか?一つの手がかりとしてアイデンティティ(自分らしさ)の確立がカギになると思います。やりたいことがない、自分で決断することができない…という方はコラム③がおススメです。

③健康がやる気を高める

やる気をでないのは「脳」が影響?
睡眠が不規則、身体の不調、食生活の乱れがあるとモチベーションが上がりにくいと言われています。例えば、充分に睡眠によって様々な脳内物質が分泌されます。

その脳内物質の中には、やる気と深く関わっている「セロトニン」「ドーパミン」「アドレナリン」などが含まれているため、寝不足や不規則な睡眠によって3つの脳内物質が分泌されにくい状態が続くと、日中に無気力になってしまうというメカニズムが完成します。仕事が不規則な人は要注意ですね。

体調を万全にしよう
まずは食生活や睡眠から見直すことが大切です。コラム3では、やる気がでない状態から抜け出す身体の面からのアプローチについて解説していきます。最近体がだるくてやる気がでない…、不規則な生活が続いている…という方は、コラム④を確認してみてください。

やる気がでない!は改善できます

ここまで、やる気がでない原因と解決策をご紹介しました。やる気がでない原因としては「完璧主義者」「自分らしさの欠如」「体の不調」の3つでしたね。

これからご紹介する改善方法を知ることで、無気力状態から抜け出し、やる気と自信に満たされた生活を目指しましょう。きっと毎日が楽しくなりますよ。1日では難しいと思うのでブックマークしてゆっくり取り組んでみてくださいね(^^)

次回は、やる気がだすための1つ目の方法「失敗は当たり前!60%を目指そう」についてご紹介します。お楽しみに!(もう少し下に次のコラムボタンがあります)

★ 頑張りすぎず、自分の意思で決断!そして健康的な生活を

*出典・参考文献
・対人援助職従事者におけるバーンアウトと感情労働の関係性について 49 事例分析を通した検討
・桜井茂男・大谷住子 完全主義は無気力を予測できるのか 奈良教育大学教育研究所紀要 1995,31, 171–175. 
・認知行動療法を学ぶ(2011,下山晴彦編 金剛出版)
・認知行動療法(1995,坂野雄二 日本評論社)
・川島書店 山口 創著  よくわかる臨床心理学



やる気がでない原因を解説